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ゲムツズマブ オゾガマイシン(Gemtuzumab ozogamicin)は急性骨髄性白血病(Acute Myelogenous Leukemia:AML)の治療に用いられる抗体薬物複合体(Antibody-drug conjugate、ADC)の一つである。CD33に対するヒト化モノクローナル抗体(ゲムツズマブ)部分と、細胞毒性を有するカリケアミシン系のオゾガマイシン部分から成る。商品名マイロターグ。米国では2000年から2010年まで販売されていたが、ダウノルビシン・シタラビン併用療法への上乗せならびにシタラビン大量投与への上乗せで有効性が見られず、死亡例が増加したとして承認取下げとなった[1]。日本では2005年5月に承認[2]:2され、添付文書の警告欄で、他の抗悪性腫瘍剤と併用しないこととされており販売は継続されている。
ゲムツズマブは、末梢血では単球に、骨髄中では顆粒球およびマクロファージ前駆細胞に発現するCD33[3]に対するモノクローナル抗体であり、細胞毒であるカリケアミシン系のオゾガマイシンと結合している。CD33はほとんどの白血病性芽細胞にも発現しているため、オゾガマイシンを選択的にがん細胞に送達できると期待されていた[4]。
重篤な副作用とされているのは[5]、
である。
頻度の高い副作用は、悪寒、発熱、嘔気、嘔吐である。患者の全員に(重篤な)骨髄抑制が起こり得る。殆どの注入時反応は投与24時間以内に発生する。末梢血白血球数が30,000/µL以上であると、注入時反応に続いて肺障害が発生する頻度が上がる。またインフュージョンリアクションと無関係の間質性肺炎等も発生し得る。III型アレルギーが発現する。
米国では迅速審査にて2000年にFDAに承認された。対象疾患は60歳以上の再発性急性骨髄性白血病で標準治療の対象とならないものであった[6]。
承認後の最初の年に、FDAはゲムツズマブに黒枠警告を設置させた。その内容は、骨髄移植しない場合の静脈閉塞性疾患[注 2](VOD)のリスク増加であった[7]。その後骨髄移植をした場合でもVODリスクが増加することが示された[8]。2008年のJAMA誌上で生物学的製剤の製造販売後調査の不備について議論された際に取り上げられた[9]。
FDA迅速審査プロセスに従って第III相比較臨床試験(SWOG S0106)が2004年に開始されたが、憂慮すべき事象の発現により中止された。評価された症例について見ると、致死的毒性の発現率が標準治療群に比べてゲムツズマブ併用群で有意に増加していた。死亡率は標準治療群で1.4%(4/281)、ゲムツズマブ併用群で5.7%(16/283)、検定結果p=0.01であった[10]。
2010年6月、ファイザーはFDAの要請を受けてマイロターグを市場から回収した[11][12]。しかし他国の行政機関はFDAに同調せず、日本のPMDAは『ゲムツズマブ オゾガマイシンのリスク-ベネフィット バランスは承認時と変わらない』とした[13]。
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