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アグリー・クリスマス・セーター(英: Ugly Christmas Sweater)とは、セーターの一種、もしくはジョークグッズで、クリスマスに特有の柄を過剰なまでに編み込んだ「悪趣味」さを逆に楽しもうとするものである[1]。悪趣味であればあるほどよく[2]、ウォール・ストリート・ジャーナルは2010年に「いま最もホットなファッション」と評している[3][4]。
他に「クリスマスセーター」、「アグリーセーター」、「ダサいセーター」[5]、「ダサセーター」[6]、「駄セーター」などとも呼ばれる。
欧米では、たいていの人間が「おばあちゃんからのクリスマスプレゼント」として、着るのが恥ずかしい悪趣味な手編みのセーターをもらった経験がある[7][8]。それはたいてい、雪だるまやトナカイ、クリスマスリースやクリスマスツリーをでかでかと、または大量に編みこんであり、クリスマスらしい赤や緑の派手な色をしていて[7][1]、欧米人にとって子供時代の嫌な思い出のひとつになっている[9]。こうしたアグリー・クリスマス・セーターは少なくとも19世紀から存在した[1]。
アグリー・クリスマス・セーターは1990年代から2000年代にかけて、ジョークギフトとしてクリスマスの人気アイテムの一つになった[10]。ニューヨーク・タイムズやインデペンデントによれば、1980年代のイギリスBBCの子供向けチャンネル(CBBC)で人気パペット「ゴードン・ザ・ゴーファー」(Gordon the Gopher[注 1])のクリスマス特番で歌手のアンディ・ウィリアムスがアグリー・クリスマス・セーターを着用して登場したのが、人気に火がついたきっかけである[10][9]。また、TIMEやオンライン辞書のUrban Dictionaryでは、コメディアンのビル・コスビーがコメディ番組のコスビー・ショーで1980年代から着ていた派手なセーターがトレンドのルーツだとしている[1][2]。
アグリー・クリスマス・セーターは、2001年の人気映画『ブリジット・ジョーンズの日記』の中で、コリン・ファースがお母さんにもらったトナカイ柄のセーターを着るエピソードで再び注目を集めた[7][10][8][11][1]。2010年代にかけて、その悪趣味さがかえって「ダサかわいい」ものとして人気となってゆき[7][10]、セレブたちも愛好するようになった[12]。通販大手のアマゾンでは、アグリー・クリスマス・セーターの売上が1年で6倍に伸び[12]、Googleでは「アグリー・クリスマス・セーター」の検索が3割増えた[3]。
イギリスでは、セーブ・ザ・チルドレンの一環として、「クリスマス・ジャンパー・デイ(Christmas Jumper Day)」というチャリティー運動が興った[13]。これは特定の日にアグリー・クリスマス・セーター(クリスマス・ジャンパー)を一斉に着て、子供のために皆が最低1ポンドを寄付するというものである[13][11]。
一方アメリカでは、2011年に12月12日を「アグリー・クリスマス・セーターの日」と定め、多くのファッションブランドがアグリー・クリスマス・セーターを売り出している[7]。アグリー・クリスマス・セーターは、悪趣味であればあるほど高価で[7]、参加者が全員アグリー・クリスマス・セーターを着て集まるパーティーやコンテストが全米で開かれる[14][7]。2011年に出版された『アグリー・クリスマス・セーター・ブック[15]』(Ugly Christmas Sweater Party Book)では、こうしたパーティーは2001年頃から行われていたとされる[1]。これに対し、カナダでは2002年にバンクーバーで開催されたアグリー・クリスマス・セーター・パーティーが起源だと抗議している[2]。
10月末のハロウィンの仮装はもっぱら子供のためのものだが、12月のアグリー・クリスマス・セーターは大人向きのイベントである[9]。ブルーミングデールズのような高級デパートからH&Mのような低価格ショップまでがアグリー・クリスマス・セーターを取り揃え、アバクロンビー&フィッチやラルフ・ローレンのような高級ブランドが悪趣味さを争っている[7][3]。ヴィンテージものも登場し[16]、スラッシュメタルバンドのスレイヤーでさえ、アグリー・クリスマス・セーターを売り出している[17]。ウォール・ストリート・ジャーナルはアグリー・クリスマス・セーターが服飾業界のリテール部門に大きなビジネスチャンスを創出しているとしている[2]。
日本でもSNSやTVメディアで特集されるなどの盛り上がりを見せている[18]。
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