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XaviX(ザビックス)は、新世代株式会社(SSD COMPANY LIMITED)が開発したユニークな技術の総称、あるいはそのコアとなるLSIチップのこと。多くの家庭用体感型玩具(体感ゲーム)に採用されていた。
本稿ではXaviXチップを開発した新世代株式会社(しんせだい)についても解説する。
XaviXは、正式にはXaviX Technology(ザビックス・テクノロジー)と言い[1]、LSI技術、ソフトウェア技術、センシング技術などが含まれるが、通常XaviXと記述されている場合、そのコアとなるLSIチップであるXaviXチップのことを指す。XaviXチップは8ビットのCPU(6502カスタム)ながら、コアとなるマイコン、ビデオプロセッサ、オーディオプロセッサ、A/D、D/A変換器、ヒューマンインターフェースI/Oなど、コンピュータに必要とされるすべての要件を4mm角のチップ内に搭載した、ユニークな高速システムLSIと言える。
1997年頃より徐々に米国や日本のおもちゃメーカーの玩具に搭載されはじめ、アプリケーションは200種類以上にのぼる。代表的な製品は、エポック社の「体感ゲーム」シリーズ(2000年~)[2]、タカラから発売されたe-kara、ポピラなどの「PlugIt!」シリーズ(2000年~)、トミーの「テレビで遊び隊」シリーズ(2001年~)、スクウェア・エニックスから発売された『剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣』(2003年)、バンダイの「Let's! TV プレイ」シリーズ(2004年~)[3]、などがあげられる。
代表的な入力インターフェースは、「エキサイトボクシング」や「剣神ドラゴンクエスト」のように赤外線センサーを使用してプレイヤーの動きをとらえるものであるが、「ファミリーマットレ」、「東京フレンドパークⅡ」のようなマット型、「スーパーダッシュボール」、「たまごっちりぞーと」のようなトラックボール型、「ぐるりんワールド」のようなハンドル型、「エキサイトステージ サッカー日本代表チーム」、「デジタルモンスター バトルジャンクション」のようなカードスキャン型、「アンパンマン かぞくで!育脳マットDX」におけるスティックのような加速度センサー型、音声認識型など多彩なタイプが開発されている。
2004年にはカートリッジ式で複数の体感ゲーム(フィットネス)が楽しめるフィットネス機器『XaviXPORT』も発売されている[1]
XaviXを開発した新世代株式会社(しんせだい)は、1995年に滋賀県草津市にて設立された会社。元々は滋賀県の隣の京都府京都市にある大手ゲーム会社任天堂にてファミリーコンピュータ、スーパーファミコン、NINTENDO64などのゲーム機の開発に携わった任天堂製造本部開発第二部の社員十数名らが、世代が進むにつれてどんどんマニア向けになっていくゲーム機市場に対する反省から、真に「家庭用」のゲームを作るためにスピンアウトして設立した会社である[5]。社長となった中川克也はファミリーコンピュータの開発の中心人物(元任天堂業務部技術課長)であった[4][6]。
新世代社はベンチャー企業として滋賀県からの援助を受け、4年の歳月をかけてXaviXチップを開発し、それによって2000年頃から「家庭用体感型ゲーム」という新たなジャンルのゲーム市場を切り開いた。2004年には任天堂のファミリーコンピュータのようなコンシューマーゲーム機としてXaviXPORTを販売したが、体感が売りであるため、あえてゲーム機ではなくフィットネス機器として売り出した。
しかし、新世代社のスピンアウト元である任天堂がNINTENDO64・ニンテンドーゲームキューブと2世代続けてゲーム機のシェア争いに敗れた反省と、市場全体に目新しいゲームが生まれず広がり始めたマンネリへの打開策が求められていたことから、2006年、体感型コントローラーであるWiiリモコンを採用したゲーム機Wiiを市場に投入した。Wiiの大ヒットによって、新世代社は体感ゲーム機の市場シェアを奪われた。さらに2007年、任天堂はXaviXPORTと類似したフィットネス用周辺機器Wii Fitを投入した。大手の任天堂が直接競合する製品をリリースしたことで、新世代社は市場から撤退せざるを得なくなった[4]。
新世代は市場撤退後、人体の運動状態を測定して運動量やカロリー消費などを測定できる動作分析システムの開発を行っていたが、業績回復には至らず、同時に資金繰りも悪化[4]。このため新世代は、2022年2月17日に大津地方裁判所から破産手続開始決定を受けた[4]。負債総額は約30億円。
2004年当時、体感ゲームが遊べる汎用のプラットホーム(ゲーム機)は存在せず、体感ゲームが遊べるゲーム機はプラグ&プレイ型のゲーム玩具のみだったが、当時は児童用の体感ゲーム玩具に汎用SoCを搭載するのはコスト的に難しく、またグラフィック性能的にも無理だったことから、独自アーキテクチャを採用した体感ゲーム玩具専用のSoCが各社で盛んに開発され、それらを採用したアプリケーションも多くあった。XaviXと同時代に開発されたプラグ&プレイ型体感ゲーム玩具用のSoCとしては、ハドソンとコナミが共同開発した「POEMS」や、株式会社コトとLSI Logicが共同開発した「ZEVIO」などが挙げられる。
しかし、2005年にはWiiが発売され、また2010年にはkinectなども発売されるなど多数のソフトが発売され、家庭用ゲーム機で体感ゲームブームが起こると、プラグ&プレイ型体感ゲーム機のブームは終了した。また、同時期よりスマホブームに乗って高性能なARM系の汎用SoCが安価に市場に供給されるようになるに至って、体感ゲーム機専用SoCは淘汰された。
競合製品の登場は、新世代株式会社の経営破綻の遠因ともなった[4]。
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