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Temu
中国のPDDホールディングスが運営するオンラインマーケットプレイス ウィキペディアから
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Temu(テム[3][4])は、中華人民共和国のPDDホールディングス(拼多多/ピンドゥオドゥオ)が中国国外向けに運営するオンラインマーケットプレイス[5]で、アパレル、化粧品、家電、家具、雑貨などを廉価販売する[5]。アフィリエイト、ソーシャルメディアを通じて宣伝を行っており、新規ユーザーの勧誘に成功した一部のユーザーに無料で商品を提供している[6]。
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Temuはアプリのマルウェア感染[7]、個人情報保護[8]、製品の安全性[9]、新疆ウイグル自治区の人権に関わる問題が指摘されており[10]、アメリカモンタナ州グレッグ・ジャンフォルテ知事(共和党)は、TikTok、テレグラム、WeChat、Temuを州内で禁止する法案を2023年5月に署名した[11]。
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歴史
TemuはPDDホールディングスによって所有・運営されている。PDDホールディングスはケイマン諸島に登録された多国籍商取引グループであり、ダブリンも主要なオフィスの住所とされる[15]。 PDDホールディングスは、中国で人気のオンラインコマースプラットフォームである拼多多も所有する[16][17]。 米国では、TemuはPDDホールディングスの子会社であり、デラウェア州とマサチューセッツ州に登録されているWhaleco, Inc.(ホエールコ・インク)の所有下にある[18]。
Temuプラットフォームは、2022年9月1日に米国で事業を開始[19]し、2023年2月14日のスーパーボウルで多量に広告して23日までにスマートフォンアプリが4000万回ダウンロードされる[19][20]。
2023年2月にカナダ[21]、3月にオーストラリアとニュージーランド[22]、4月21日にイギリス、23日にドイツ、オランダ、イタリア、フランス、スペイン[23]、それぞれでサービスを開始し、年後半にラテンアメリカ市場にも進出した。2023年7月、Temuは日本で正式にリリースされ、初めてアジア市場に参入した[24]。 2024年1月17日には、2022年9月のサービス開始以来、Temuの進出49カ国目となる南アフリカで正式にサービスを開始した[25]。2025年1月末の時点で、Temuは世界90カ国・地域以上で展開されている。
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低価格の理由
Temuは低価格を維持するには、余分なコストをかけないようにしなければならない。その最たるものが固定費であり、地代家賃や水道光熱費、人件費といった毎月のコストが発生する実店舗といえる。Temuは、ショールームを含む実店舗を一切持たないオンライン販売で固定費を削減している[26]。
低価格の理由には、中間業者を媒介しないメーカーからの直接仕入れという仕組みがある[27][28]。
卸売業者のような中間業者は、消費者であるエンドユーザーに商品を販売するのではなく、メーカーから仕入れて販売会社などに流通させる役割を担う。そういった業者を経由すると、利益確保の関係で顧客に販売する際の最終的な価格が上がりやすくなる。
中間業者を媒介しないメリットには、中間業者への手数料といったコストの削減に加えて、商品の流通が迅速になることや在庫管理の効率化といったものがある。これが最終的な商品の低価格維持に加えて、Temuの利益率の向上や市場での競争力強化につながっている。
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事業地域
要約
視点
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- 南北アメリカ
- ヨーロッパ
- 中東
- アフリカ
- アジア・オセアニア
日本では2023年7月にサービス開始後[24][29]、わずか1年で急成長し、国内ECプラットフォームの4位に位置している[30]。 2025年1月に日本国内の販売事業者を自社のオンラインマーケットプレイスに招致するプログラム「Local-to-Local」を開始した。現地販売者から現地消費者へ商品を届けるこのビジネスモデルはすでに、米国、フランスなどの市場で導入されている[31]。
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ビジネスモデル
Temuは、商品の価格設定、販売、マーケティング、物流、カスタマーサービスをプラットフォーム側が一括管理する「フルホスティングモデル」を採用している [32][33]。販売者は商品の供給に専念するため、マーケティングや運営の負担が少なく、かつ Temu のグローバルな販路を通じて多くの消費者にリーチできる[34]。
また、中国の低コストなサプライチェーンの中でも特にPDD ホールディングズの関係会社ピンドゥオドゥオのノウハウを活用し、倉庫賃料や人件費を抑えていると言える[35]。商品は中国の広州を始めとする倉庫から直接空輸され、コストパフォーマンスを重視する消費者層に訴求する[36]。中国に拠点を置く販売業者が仕向国で中間販売業者に頼ることなく、顧客に直接販売・配送することを可能にしている[37]。販売業者には入札モデルを導入し、毎週の入札で低価格を提示する必要があるため競争を通じて価格を抑えられている[38]。
Temu は、アフィリエイトコード、ソーシャルメディア、「友達招待」キャンペーンへの参加を通して無料ギフトを提供するなどのゲーミフィケーションを取り入れて、新規ユーザーを紹介することに成功したユーザーに無料の商品を提供している[39]。
Temu でのオンライン購入は、ウェブブラウザまたは専用のモバイルアプリから行うことができる。Temu は Facebook と Instagram を始めとする SNS や Webサイトで大規模なオンライン広告キャンペーンを展開している[40]。
Temu と Amazon の競争により、両社は 2024 年に互いのサプライチェーン戦略を一致させることになった[41]。Temu は、配送時間の短縮、大型商品の販売、少額配送からの多様化を図るため、米国に倉庫を開設した[42]。一方、Amazon は、既存の「フルフィルメント・バイ・アマゾン」倉庫を使用する代わりに、中国の販売業者と契約し、購入者に直接商品を配送し始めている[43]。
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特徴
要約
視点
利用者層
日本で2023年7月にサービスが開始される後から、ユーザーの男女比では、SHEINは女性が約70%と女性比率が高いのに対して、Temuは男女がおよそ半々と、男女の偏りなく利用されている[注釈 1][44]。年代比率では、ネット利用者全体と比べて20-30代の利用が目立つSHEINに対し、Temuは50-60代の利用者割合が大きくなっている[44]。それぞれの利用者における未既婚状況や子どもの有無を見てみても、Temuはユーザー年代が高いためか、SHEINと比較してやや既婚者割合、子どもあり割合ともに高いことが分かる[44]。
トランスコスモスが発表した「Temu」を含む格安EC利用実態によれば、2025年2月の時点で、調査対象とする世界8都市の中から東京では「よく利用している」(8%)「利用したことがある」(15%)で、23%が利用経験があることがわかった。ロンドン(70%)、ロサンゼルス(63%)、バンコク(60%)の3都市と比較すれば低い方で、東京とジャカルタでは利用率が3割程である[注釈 2][45]。
イプソスが2025年6月に過去1カ月にオンラインショッピングを利用した20代から60代までの男女2000人を対象に実施したTemuの分析調査では[46]、 利用者は特に20代を中心としていて、子育て世帯や勤労世帯で利用が活発であることが分かった[47]。
イプソスの調査結果から「オンラインショッピングに積極的」な利用者による購入カテゴリーは「衣料品・靴」が最多で、「収納・インテリア」「家電」「アクセサリー」が続いている。EC全体と比べ、生活必需品以外でよく利用される傾向が見られた。また、利用者の約4分の3が「Temuを利用することで、日常の買い物支出が節約できた」と感じている結果も得られている [48]。
「他のECサイトよりも常に利用している/よく利用している」と回答したTemuユーザーは約3割で、中でも20-40代は「常に利用している/よく利用している」が約4割に上っている[49]。
Temu利用者は「値段のわりに使いやすくて、お得だと感じる」点に最も満足しているため、“安くて満足できる”ことを評価している様子が同じ調査からうかがえる。
カスタマーサービス
年中無休・24時間対応のチャットサポートと、電話対応を希望するユーザーにフリーダイヤルを開設する[50]。購入した商品のキャンセル・追跡・返品・返金の手続きは、ウェブサイトまたはモバイルアプリのマイページ「ご注文」から行える。
送料無料
Temuは一定金額(初回注文の場合は1,400円、2回目以降の注文の場合は2,100円)以上の商品購入を条件に、通常配送無料を実施している[51]。一方で現地倉庫から出荷する販売者では、販売者が決める一定の基準を満たすと送料無料になる場合がある。
ベストプライス保証
プライスマッチと価格調整のポリシーにより、ユーザーによる競合他社との商品価格競争を可能とするプライスマッチの申請と差額返金、同じ販売者による急なプライスダウンの訴求に対応する価格調整を保証している。
購入者保護プログラム
商品に不備があった場合や配送に遅延があった場合に、返金や補償を受けられる仕組み「購入者保護プログラム」を導入し[52]、商品購入から90日間の返品ポリシー、通常配送の配達遅延に対するクレジットサービス、破損した商品や追跡情報が更新されない商品、配達されない商品の返金ポリシーを提供する。
TEMU Circle
2025年6月からTemuの公式ロイヤルティープログラム『TEMU Circle』(テム・サークル)が導入され、有償で会員特典が利用可能となった[53]。加入対象となるユーザーがサブスクリプションをアクティベートすると、24時間年中無休のカスタマーサービスへの優先アクセスを含めるプレミアムサービス、Circle会員日(毎月15日)、Circle会員価格、無料アイテム、クレジットバックの特典合計5点が受けられる。
カスタマーレビュー
カスタマーレビュー[54]とは、ユーザーが商品購入後、到着した商品に対して星1 - 5つの評価やコメントができるものである。実際に購入した客によるタグ分類されたレビューと機械学習モデルを取り入れた総合星評価を参考に、ユーザーは動画と写真による商品利用の外観と、テキストによる商品詳細、ファッション商品ではサイズのちょうど良さなどを確認できる。全てのレビューは役に立ったと思うユーザーが投票できるため、有用と考える人数を知ることができる。
操作性
各国のドメインともインターフェイスは概ね同様で、キーワード検索に依存するのではなく、AIアルゴリズムによるレコメンデーションと、特にアプリの場合は、TikTokのような無限スクロールUIとを重視したものである。 ユーザーの行動データ(閲覧履歴、購入履歴など)や市場トレンドを利用して、個々のユーザーに合わせたパーソナライゼーション済みの商品を自動で推奨する[55]。 Temuのプラットフォームでは、タイムセールや時候によるイベント、ミニゲームによる無料ギフトの提供、地域別ローカライゼーションによる割引キャンペーンなど、多くのセールやキャンペーンを頻繁に開催しているため、これらはユーザーエンゲージメントとアプリ滞在時間を最大化する結果につながっている[56]。
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表彰
Temuは2023年7月に日本でサービス開始後、日経トレンディ誌が公表する『2024年ヒット商品ベスト30』では割安なセールを連発した越境ECサイトとして注目を浴びたため第9位に入賞した[57][58]。スマートフォンアプリ専門メディアのアプリブ主催『Best App Award 2024』では、ショッピング部門で優秀賞を受賞する成績を納めた[59][60]。
同年のアップルが主催するAPP STORE AWARDS は、iPhoneやiPad、Apple Arcadeで最も多くダウンロードされた無料アプリのランキングを、30以上の国と地域のユーザー向けにローカライズして発表している。日本では2024年に1位のTikTok Liteに続く2位をTemuが獲得している[61][62]。Temuは、イギリス、アメリカ合衆国、ドイツ、スペイン、アイルランド、オーストラリア、韓国、メキシコを含める24の国と地域で1位になったことがある[62][63]。
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諸問題
要約
視点
訴訟(法律問題)
2024年3月、ベビーセンターはTemuのレビューを行い、リコール対象となった製品、偽造品の疑いが強い製品、米国の安全基準を満たしていなかったり、窒息などの事故のおそれがある製品が見つかったと発表した[9]。
2024年5月、消費者団体の欧州消費者機構は、トレーサビリティ要件、アルゴリズムの透明性と説明責任に関するEU DSA法違反を主張して、欧州委員会に対してTemuを告訴した[8][65]。
知的財産権
Temuでは知的財産権を侵害した製品がたびたび販売されているとされる[66]。デザイン盗用の事例も報告されている[67]。
労働問題
Temuは過酷な労働文化や、996工作制を推進しているとして批判を受けている[68]。従業員の死亡事件も発生しており、同社の労働文化との関係が指摘されている[68]。
2024年、フィナンシャル・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナルは、Temuの親会社であるPDDホールディングスが、同業他社に転職した元従業員に対して監視や訴訟を行っていると報じた[69][70]。
新疆ウイグル自治区の人権問題
2023年6月、連邦議会の「米国と中国共産党との間の戦略的競争特別委員会」は、Temuがウイグル強制労働防止法を遵守するための「有意義なコンプライアンスプログラムの建前すら」維持していないとの声明を発表した。同法は、強制労働で作られた商品をプラットフォームから排除することを目的としている[71][72][73][74]。 委員会の報告書はTemuへの厳しい評価を下し、Temuのサプライチェーン内には「強制労働による汚染のリスクが非常に高い」としている[74]。
不適切な広告
2023年、英国の広告基準局(ASA)はTemuの広告の一部を禁止した。これにはビキニを着た少女が「かなり大人」なポーズをしたり、「股間の輪郭」を強調したジョックストラップ、裾が切り取られた「下着のように見える」サイクリングシャツや、モデルの顔が省略されたドレスの写真などを含む。Temuは、少女の写真は同社の方針に違反しており、今後は掲載しないと公表したが、モデルの顔を公開しないのは女性を性的対象化する意図はなく、他の小売業者も同様の写真を掲載していると述べ、ASAの調査結果に一部異議を訴えた[75]。
Sheinとの訴訟
2022年12月、Temuは自社商品の宣伝のためにインフルエンサーに競合企業のSheinについての「虚偽で欺瞞的な発言をさせる」ように促したとして、Sheinから訴訟を起こされた。その後、Temuは2023年7月にSheinを告訴し、Temuと協力していると思われる衣料品メーカーに対し、Sheinが「脅迫、侵害に関する虚偽の主張、根拠のない懲罰的罰金を科す試み」を行ったと主張した[76]。
プライバシーの問題
個人情報保護
ポリティコは「Appleは、Temuが同社のプライバシー規則要件に違反し、ユーザーのデータ利用についてミスリードを行ったと述べた」と報道した[77]。
2023年にイリノイ州とニューヨーク州でTemuに対して集団訴訟が起こされた。これはTemuの利用者アカウントから収集された個人データの取り扱いに関するものである[78]。
2024年2月、韓国の個人情報保護委員会は、Temuや他のECプラットフォームに対するユーザーデータの取り扱いに関する調査を開始した[79]。
セキュリティの問題
マルウェア汚染
2023年5月、Temuの中国国内版である拼多多がGoogle Playから一時停止されたことを受け、アメリカ中経済安全保障調査委員会はTemuでの個人データの安全リスクについて懸念を表明した[80][81]。これはGoogle Play Store以外のバージョンにマルウェアが含まれていたことが判明したためである[82][83][84]。拼多多はマルウェア削除のためのアップデートをリリースして2日後に、マルウェア開発に携わったエンジニアとプロダクトマネージャーのチームを解散した。CNNの情報筋によると、チームの大部分はTemuに異動し、各部門で働いているが、一部のエンジニアは拼多多に残留しているとされる[85]。
2023年5月17日、モンタナ州知事グレッグ・ジャンフォルテは、TikTok、WeChat、Telegramを含むByteDance関連アプリとともに、州政府機関内でのTemuの使用を禁止した[86][87]。
公式サイトと偽るサイトの存在
2024年、Temuの公式サイトと偽るサイトが確認されている。いわゆる偽サイトというものだが、悪意のある第三者からのSNSを通じたDMを経由して偽サイトに飛ばされるケースが考えられる。現状公式サイトの確認方法として最も有効だと考えられるのがURLの確認である。クレジットカードなどの情報を盗まれる可能性がある[88]。
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脚注
外部リンク
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