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微量アミン関連受容体(びりょうアミンかんれんじゅようたい、英: trace amine-associated receptor、TAAR、微量アミンレセプター(TA、TAR)と呼ばれることもある)は、2001年に発見されたGタンパク質共役受容体のグループである[1][2]。ヒトには6種類存在する機能的なTAARの1つであるTAAR1は、フェネチルアミン、チラミン、トリプタミン(それぞれフェニルアラニン、チロシン、トリプトファンの代謝産物である)、エフェドリン、そしてアンフェタミン、メタンフェタミン、メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)といった合成精神刺激薬などの微量アミンに対する内在性受容体としての役割のため、学術研究や医薬品開発において大きな関心が寄せられている[3][4][5][6][7][8]。2004年、哺乳類のTAAR1は甲状腺ホルモンの脱炭酸・脱ヨード化類縁体であるチロナミンの受容体であることも示された[5]。脊椎動物では、TAAR2からTAAR9は揮発性のアミン系の匂い物質に対する嗅覚受容体として機能する[9]。
ヒトでは6種類のTAAR(TAAR1、TAAR2、TAAR5、TAAR6、TAAR8、TAAR9)が同定され、部分的に特性解析が行われている。下の図は総説や薬理学関連データベースのほか、発現プロファイル、シグナル伝達機構、リガンド、生理学的機能に関する一次資料からの情報をまとめたものである。
サブタイプ | 以前の名称 | シグナル伝達 | 発現プロファイル | ヒトにおける既知もしくは推定される機能[note 1] | 既知のリガンド | 文献 |
---|---|---|---|---|---|---|
TAAR1 | TA1 TAR1 |
Gs、Gq、GIRK、 β-アレスチン2 |
CNS: 脳 (広範)、脊髄 末梢: 膵β細胞、胃、十二指腸、腸、白血球、その他[note 2] |
• CNS: モノアミン/グルタミン酸神経伝達の調節 • CNS: 認知過程、気分状態の調節 • 末梢: 白血球の走化性 • 末梢: 消化管ホルモン放出と血糖値の調節 • 満腹感と体重の調節 |
• 微量アミン(チラミン、フェネチルアミン、N-メチルフェネチルアミンなど) • モノアミン神経伝達物質(ドーパミンなど) • アンフェタミンと一部の構造的アナログ |
[3][12] [14][15] |
TAAR2 [note 3] |
GPR58 | Golf、その他不明な共役Gタンパク質[note 4] | CNS: 脳(限定的)[note 5] 末梢: 嗅上皮、腸、心臓、精巣、白血球 |
• 末梢: 白血球の走化性 • 嗅覚: 揮発性匂い物質に対する化学受容体[note 6] |
[9][12] [14][15] [17][18] | |
TAAR3 | GPR57 | N/A | N/A | ヒトでは偽遺伝子 – N/A | N/A | [16][12] [14] |
TAAR4 | TA2 | N/A | N/A | ヒトでは偽遺伝子 – N/A | N/A | [16][12] [14] |
TAAR5 | PNR | Gs、 Golf、Gq、G12/13 | CNS: 脳(限定的)、脊髄 末梢: 嗅上皮、腸、精巣、白血球 |
• 嗅覚: 揮発性不快臭に対する化学受容体[note 6] | • アゴニスト: トリメチルアミン、N,N-ジメチルエチルアミン • インバースアゴニスト: 3-ヨードチロナミン |
[9][12] [14][20] [21][22] [23] |
TAAR6 | TA4 TAR4 |
Golf、その他不明な共役Gタンパク質 | CNS: 脳 末梢: 嗅上皮、腸、精巣、白血球、腎臓 |
• 嗅覚: 揮発性匂い物質に対する化学受容体[note 6] | • アゴニスト: プトレシン、カダベリン[24] | [9][12] [14][25] |
TAAR7 | – | N/A | N/A | ヒトでは偽遺伝子 – N/A | N/A | [9][12] [14] |
TAAR8 | TA5 GPR102 |
Golf、Gi/o | CNS: 脳 末梢: 嗅上皮、メラノサイト[26]、胃、腸、心臓、精巣、白血球、腎臓、肺、筋肉、脾臓 |
• 嗅覚: 揮発性匂い物質に対する化学受容体[note 6] | • アゴニスト: プトレシン、カダベリン[24] | [9][12] [14][27] |
TAAR9 [note 7] |
TA3 TAR3 |
Golf、その他不明な共役Gタンパク質 | CNS: 脊髄 末梢: 嗅上皮、腸、白血球、下垂体、骨格筋、脾臓 |
• 嗅覚: 揮発性匂い物質に対する化学受容体[note 6] | • アゴニスト: N-メチルピペリジン(N-methyl piperidine、CAS: 626-67-5)[28] | [9][12] [14][29] |
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ウロタロント/SEP-363856は、統合失調症に対する第3相臨床試験、パーキンソン病における精神症状に対する初期段階の試験が行われているTAAR1アゴニストである。この薬剤はFDAによる「画期的治療薬」指定を受けている[30][31][32]。
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