リング・ア・リング・オー・ローゼズ (英題 : Ring-a-Ring-o' Roses )は、古くから伝わる童謡 のマザーグース に分類される、子供たちが手をつなぎ輪になって唄われる歌謡。
アリス・ゴム (英語版 ) による楽譜1898年
"The Little Mother Goose"ジェシー・ウィルコックス・スミス 画1912年
みんな転んだ "All Tumble Down"レスリー・ブルック (英語版 ) 画1922年
英詞 (イギリス)
"Ring-a-Ring-o' Roses"
Ring-a-Ring-o' Roses,
A pocket full of posies,
Atishoo! Atishoo!
We all fall down.
[1]
英語(アメリカ)
"Ring Around The Rosies"
Ring around the Rosies,
A pocket full of rosie,
Ashes! Ashes!
We all fall down.
[1]
日本語訳 (イギリス英語ベース)
「バラの花輪だ 手をつなごうよ」
バラの花輪だ 手をつなごうよ、
ポケットに 花束さして、
ハックション! ハックション!
みいんな ころぼ。
起源の説
歌詞の発祥については、下記2つの説がある。
1664年 から1666年 にかけてイギリス ・ロンドン で広く流行した感染症のペスト に由来とする説。「薔薇(ばら)」はペストの症状の赤い発疹、「花束」はペストを防ぐための薬草の束、「ハックション!(くしゃみ)」は病気の末期症状、そして最後に「みんな ころぼ」は死んでしまうというもので、イギリスではこの説が広く知られている[2] [3] [注釈 3] [注釈 4] 。
イギリスだけでなく、ヨーロッパ各地にバラの花が出てくる輪遊び唄が伝わっていることから、この唄の起源は、前述のペストではなく「五月祭 」で飾られたバラの花輪の名残であるというのが、マザーグース研究家のオーピー夫妻の説である[3] 。
マザーグースには「桑の木のまわりをまわろうよ」(Here we go round the mulberry bush) という別の輪遊び唄がある。輪踊りの最中に歌詞に合わせたジェスチャーを行う点が、「リング・ア・リング・オー・ローゼズ」と異なる。
ペストのことを歌ったマザーグースでは、1645年 頃、スコットランド のパース を中心に流行したペストにちなんだ「ベッシー・ベルとメリー・グレー」(Bessy Bell and Mary Gray) という唄がある[2] 。
注釈
アメリカ では "Ring around the rosy" と歌われている[3] 。
イギリスとアメリカでは歌詞が異なり、西田ひかる は『ケイト・グリーナウェイ の マザーグース』(2003年)のあとがきに「勘違いで子供の頃は、"Ring around a roses" と歌っていました」と記しているが、それは勘違いではなくアメリカ版の歌詞で、カリフォルニア 育ちの西田がこのバージョンで覚えているのはむしろ当然であると、鷲津名都江 は『ようこそ「マザーグース」の世界へ』(2007年)に記している[4] [5] 。
この唄は14世紀と17世紀に大流行したペストの奇禍(きか)を歌い込んだものとされていると、藤野紀男 は2007年に記す[6] 。
出典
Delamar (2001), pp. 38-9.
『英国への招待 マザー・グースをたずねて』鷲津名都江 著(筑摩書房 、1996年)参照。
『もっと知りたいマザーグース』鳥山淳子 著(スクリーンプレイ、2002年)参照。
『ケイト・グリーナウェイの マザーグース』(飛鳥新社 、2003年)
『ようこそ「マザーグース」の世界へ』鷲津名都江 著(日本放送出版協会 、2007年)
『図説 マザーグース』藤野紀男 著(河出書房新社 、2007年)