『リターナー』(英題:Returner)は、2002年8月31日公開の日本映画。VFXを多用したSFアクション映画である。
概要
金城武と鈴木杏がダブル主演したSFアクションムービー。2000年公開の『ジュブナイル』に続く山崎貴監督の劇場用作品第2作である。
主に横浜が舞台になっているが、実際には神戸など日本各所で撮影された。
コンピュータグラフィックスなどのVFXを多用する一方、銀残しによる表現などアナログ技術も効果的に用いられている[2]。
ストーリー
2084年の地球は「ダグラ」と呼ばれる宇宙人に侵略されており、人類は絶滅の危機にさらされていた。未来を守るため、2002年に地球に侵略してきた最初のダグラを抹殺すべく、時を越えて少女ミリがやって来る。たまたま彼女は、銃の使い手で闇の取引現場からブラックマネーを奪還して依頼者にその金を送り戻すプロの仕事人「リターナー」のミヤモトと出会った。最初はミリの話に耳を傾けなかったミヤモトだったが、首に爆弾を仕掛けられ、嫌々そのミッションに手を貸す。しかし、そこに15年前、かつてのミヤモトの幼馴染を殺したチャイニーズマフィア・溝口がからんでくる。地球に侵入してきた最初のダグラを巡る攻防が繰り広げられるが、その先には意外な事実があった。
登場人物
主要人物
- ミヤモト - 金城武(幼少期:本郷奏多[注 1])
- 闇取引を妨害してブラックマネーを奪還する裏世界の仕事人“リターナー”。幼少期を大陸(恐らく中国)のマンホール(地下道)で過ごした孤児だったが、友人のシーファンを殺した溝口への復讐のために裏稼業の世界へ飛び込んだ。非常に高い身体能力を持ち、卓越した射撃能力を兼ね添えた銃の使い手。
- ミヤモトという名前は日本に渡ってきたときに謝によって命名してもらったもの。名前の元になったのは、日本で一番強い人物[3]。主に使用する拳銃は、ガバメント9mmカスタム。
- ミリ - 鈴木杏
- ダグラとの戦争を回避するため未来から来た14歳の少女。弟(上坂巧)をダグラに殺害され、弟の形見のクマのぬいぐるみを所持している。当初は自分の話を信じないミヤモトとは時にいがみ合いながらも、彼の相棒として未来を変えるため行動を共にする。ダグラの侵略戦争によって荒廃した貧困の未来世界でまともな食事を取ったことがないため、食事の作法がまったくなっておらず、ミヤモトに出されたパスタをとても気に入っている。パスタの存在すら知らないため、ゆで方の「アルデンテ」を料理そのものの名前と間違えてしまっている。
- 銃の扱いには長けており、ターゲットや銃口の向きが見えていない状態でも射撃を命中させられる。2084年から2002年へ来た当初所持していたレーザー拳銃は1発でエネルギー切れとなったため、謝から提供されたワルサーP99拳銃を使用している。銃を受け取った際には「古臭いけどしかたないね」と言い放ってしまった。
- 溝口 - 岸谷五朗
- 劉グループ幹部。人を殺すことに何の躊躇も見せず、気に入らないことがあれば平然と人を殺害するような残忍な性格。臓器売買のためミヤモトの友人のシーファンを殺害した張本人。国立宇宙開発研究所第2研究所で捕獲されたダグラのパワーに魅了され、その力を自分の手中に収めようと画策する。愛用する銃はS&W M29のヘビーバレルモデル。
- 謝 - 樹木希林
- ミヤモトを育てた情報屋。その辺の道端にいそうな小汚い婆さんに見えるが、裏世界の情報に精通しており、様々な情報をミヤモトに流して仕事を依頼している。
- どこか掴みどころのない飄々とした性格で、他人の言動の真贋を目を見ただけで見透かしたりする。ダグラの襲来といった未来の話を当初ミヤモトはまともに信じていなかったが、謝は彼女の話を信じた。
- 劉グループに脅されてミヤモトの居場所を教えてしまうが、逆に劉の手下の車に爆弾を仕掛けて吹き飛ばすという派手な仕返しをしてミヤモトたちの行動を援護した。
その他
- 劉老板 - 高橋昌也
- チャイニーズマフィア「劉グループ」のボス。常に母国の北京語で会話し、溝口らにもそれを強要している。溝口の育ての親のような存在。
- 八木 - 岡元夕起子
- 国立宇宙開発研究所第2研究所に所属する科学者。劉グループと繋がりがあり、未来の戦争の原因となった“最初のダグラ”の研究を担当している。
- 溝口に接触して彼のカリスマ性に魅入られたために劉を裏切り、彼の愛人となる。
- 唐沢 - 飯田基祐
- 頭脳派な溝口の部下。彼もまた劉を裏切る。
- 村上 - 清水一哉
- 肉体派な溝口の部下。
- 人身売買の業者 - 趙暁群
- 取引の最中にミヤモトに撃たれ死亡。
- 溝口の手下 - 村田充
- ミヤモトが妨害した貨物船での子供たちの臓器売買の取引現場に居合わせた。隠れていたところをミヤモトに見つかり、銃を捨てて命乞いをするが、脚を撃たれてしまう。
- 劉の通訳 - 川合千春
- 劉老板の傍らに着き、通訳を担当。
- ブラウン博士 - ディーン・ハリントン
- チベット基地の統括者。戦略時間兵器やソニックムーバーを開発した。
- シーファン - 石田法嗣
- ミヤモトの幼馴染。臓器売買のため、溝口に連れ去られ、そのまま殺された。
設定
- ダグラ
- 2002年に地球に襲来した宇宙生物。チベット語で「敵」を意味する。宇宙船を旅客機や戦闘機に擬態させる、強力かつ小型なエネルギー兵器を装備するなど高いテクノロジーを持ち、未来人類が開発したエネルギー弾やレーザー弾を無効化するバリアも保有する。人類側にはバリアを貫通する強化徹甲弾も存在するが、ダグラ側も対策を行っており、劇中には徹甲弾を無効化する新型バリアが登場した。実際には身長わずか数十cmの生物だが、装甲強化服を纏い、2mもの巨人となっている。
- ソニックムーバー
- 未来のレジスタンスで使われた装備で、手首に装着して使う。スイッチを押してエネルギーをチャージし、離すと数秒間の間体感時間を20倍に引き延ばし、爆発的なスピードで動くことが出来るようになる。ミリが未来で戦死した兵から受け取り2002年に持ってきたが、回数制限があり6回しか使えなかった。戦闘のプロであるミヤモトがこれを用いると、拳銃のみでサブマシンガンを装備した兵士を数人倒すなどの超人的なことも可能。
- 戦略時間兵器
- いわゆるタイムマシン。未来の人類の切り札であり、最後の望みでもある。ブラウン博士が発明した。転移先の時間軸、座標を入力し、現在地との間にエネルギーチューブを張って時間の移動を可能にする。ミリがこれに飛び込んだ際にはこのエネルギーチューブが安定しておらず、結果ダグラのコンタクトまで3日しか無い時間に来てしまった。
スタッフ
- 監督・脚本・VFX - 山崎貴
- 共同脚本 - 平田研也
- 音楽 - 松本晃彦
- 製作者 - 亀山千広(フジテレビ)、島谷能成(東宝)、阿部秀司(ROBOT)
- 企画 - 島村達雄
- プロデューサー - 宅間秋史(フジテレビ)、堀部徹(ROBOT)、安藤親広(ROBOT)
- 撮影 - 柴崎幸三、佐光朗
- VFXプロダクション - 白組、Motor/lieZ、オムニバス・ジャパン、特撮研究所、IMAGICA
- 特殊人体造形 - 松井祐一
- アクション監督 - 高橋伸稔
- ガンエフェクト - BIGSHOT
- カースタント - TA・KA
- 制作プロダクション - ROBOT
- 配給 - 東宝
- 製作 - 「リターナー」フィルムパートナーズ(フジテレビジョン、東宝、アミューズピクチャーズ、ROBOT、白組、IMAGICA)
主題歌
- レニー・クラヴィッツ「Dig in」
パッケージソフト
テレビ放送
4Kデジタルリマスター
2024年11月29日から1週間限定で全国の一部劇場にて上映された。
脚注
外部リンク
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