RTEMS
ウィキペディアから
RTEMS (Real-Time Executive for Multiprocessor Systems) はフリーでオープンソースのリアルタイムオペレーティングシステム (RTOS) であり、組み込みシステム向けの設計となっている。
元々は Real-Time Executive for Missile Systems の略とされていたが、後に Real-Time Executive for Military Systems の略とされ、さらに現在の頭字語となった。RTEMSの開発は1980年代末ごろに始まり、1993年ごろにはFTPでダウンロード可能になっていた。OAR Corporationはユーザーの代表者などを含む運営委員会と協力してRTEMSプロジェクトを運営している。
RTEMSはリアルタイムの組み込みシステム向けに設計されており、以下のような各種プロセッサアーキテクチャに移植されている。
- ARM
- Atmel AVR
- Blackfin
- Freescale ColdFire
- TI C3x/C4x DSPs
- H8/300
- Intel 80386、Pentium、およびそれ以降のx86アーキテクチャ
- Lattice Mico32
- 68k
- ルネサス エレクトロニクス M32C
- ルネサス エレクトロニクス M32R
- MIPS
- Nios II
- PowerPC
- ルネサス エレクトロニクス SuperH
- SPARC
RTEMS はPOSIXやμITRONといった各種オープンAPI標準をサポートするよう設計されている。もともとのAPIは Classic RTEMS API と呼ばれており、Real-Time Executive Interface Definition (RTEID) 仕様に基づいている。またFreeBSDのTCP/IPスタックや、NFSやFATといった各種ファイルシステムをサポートしている。
RTEMSではメモリ管理やプロセス管理を行わない。POSIXの用語で言えば、シングルプロセス・マルチスレッド環境を実装している。そのため、POSIXサービスのうち、メモリマッピング、プロセス生成、共有メモリといった関連の部分は提供していない。RTEMS は POSIX Profile 52 すなわち "single process, threads, filesystem" にほぼ相当する[2]。
RTEMSは様々な分野で利用されている。EPICSコミュニティでもRTEMSサブミッタとして活動している人が複数存在する。宇宙開発においても、SPARC、ERC32、LEON、MIPS Mongoose-V、Coldfire、PowerPCといったマイクロプロセッサが使われているため、RTEMSが活躍している。マーズ・リコネッサンス・オービターでは Electra ソフトウェアラジオにRTEMSが使われている[3]。
RTEMSは修正版GPLライセンスで配布されており、RTEMSオブジェクトと他のファイルをリンクしたとき、実行ファイル全体をGPLとすることを要求しない。これは GNAT Modified General Public License に準じているがAda言語に限定されない。
脚注
外部リンク
Wikiwand - on
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.