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『NOëL』(ノエル)は、パイオニアLDCより発売された恋愛シミュレーションゲームのシリーズ。
本シリーズは高性能かつ小型化されたコンピュータネットワークが一般家庭へほぼ完全に浸透した近未来[1]を舞台に、ヒロインたちとの会話でゲームが進んでいくという、当時の他の恋愛シミュレーションゲームとは大きく異なるシステムで注目された。ゲーム中にプレイヤーの分身となるような主人公キャラクターは存在せず、常に「主人公=プレイヤー」として会話が進行する点も、大きな特徴である。ヒロインは各タイトル3人。
『NOëL』の初登場は、PlayStationではなくパソコンであり、1996年2月23日にパイオニアLDCから出している「アニメ美人〜パイオニアLDC編〜」でのことであり、収録されているCGには『NOëL』に出演している桜井智、岩男潤子、飯塚雅弓の音声データが収録されているものだった。
対応機種はPlayStation(『NOëL3』のみセガサターン)。ジャンルは、『NOT DiGITAL』と『La neige』シリーズが「アタッチメント・ソフト(接触型・愛着育成ソフト[2])」、『NOëL3』シリーズは「ハッキング・アドベンチャー」。
制作当時のゲーム機の性能に合わせ、会話パートの思考エンジンには少量のデータでも破綻無く動作する人工無脳を採用している。当時の研究機関ではデータ量を増やすことで自然な会話を目指していたが、本シリーズでは極めて少量のデータで自然な会話を実現していたことから、制作者は京都のATR(国際電気通信基礎技術研究所)にも呼ばれている[3]。
ジャンル | アタッチメント・ソフト |
---|---|
対応機種 |
PlayStation PlayStation Portable PlayStation 3 |
開発元 | パイオニアLDC |
発売元 |
パイオニアLDC ハムスター(ゲームアーカイブス) |
人数 | 1人 |
メディア | CD-ROM 2枚組 |
発売日 |
1996年7月26日 1997年11月20日(廉価版) 2009年12月24日(ゲームアーカイブス) |
対象年齢 | CERO:D(17才以上対象) |
コンテンツアイコン | 飲酒・喫煙 |
売上本数 | 約17.9万本[4] |
その他 |
マウス対応 品番:SLPS-00304/5(限定版) SLPS-00316/7(通常版) SLPS-91043/4(廉価版) ©1996 PIONEER LDC, INC.(PS) ©1996 GENEON UNIVERSAL ENTERTAINMENT JAPAN, LLC.(ゲームアーカイブス) |
『NOëL NOT DiGITAL』(ノエル・ノット・デジタル)。夏の海辺で少女3人組と知り合った主人公が、テレビ電話を通じて徐々に彼女達と親密度を高めていき、約3か月後のクリスマスまでに3人のいずれかから告白されることを目的とする。
テレビ電話のシステム画面をベースに、オンラインでの会話シーンと時々届くムービーメールを軸としてゲームが進行する。会話シーンは実際のテレビ電話同様にヒロインがフルアニメ・フルボイスで喋る演出となっている(会話内容は文字では表示されない)。会話の際は新しい話題が出た時にキーワードとなる言葉がボールとなって画面のゲージ上を流れていくので、先ずそれをつかまえる。「会話ボール」をストックし、タイミングを見計らって会話ボール(キーワード)[5]を使用することで主人公がその話題に関し発言したことを表現している。
会話の時間は基本的にリアルタイムで進行し、ポーズは効かない[5]。通話時以外は任意に時間を進めることも可能。ヒロインとのアクセス方法は電話を使う。ヒロインたちはアルバイトや部活動で忙しく、曜日によって相手が不在の場合もある[6][5]。適切な時間帯(主に夕方から夜)に電話を掛けるか彼女達から電話が掛かってくるのを待たなければならない[6]。それ以外の時間帯(深夜など)に相手へ発信することもできるが、ヒロインによっては一方的に怒られ、電話を切られてしまう事になる[6]ほか、留守番電話での応答、または迷惑電話として最悪ゲームオーバーとなってしまう。ただし、例外的に隠しイベント的な会話が発生する場合もある。
キャラクターデザイン・作画監督は阿部恒、アニメーション制作はマッドハウスが担当した。総セル画枚数は約6,000枚[2]、音声データは合計で10時間を超える[2]。なお、当初の発売予定は1996年春だった。
限定版特典は、イメージソング2曲(「kahoの唄 〜ガールズ BE シンデレラ〜」(歌 - 桜井智)、「ありがとう」(歌 - 岩男潤子))を収録したシングルCD(品番:LPR-205)。予約キャンペーンでは、セル画・テレカ・特典シングルCD収納ケースのいずれかが抽選でプレゼントされた[2]。
1996年12月には期間限定(7日 - 31日)で、特製パッケージとクリスマスカードが付属する『NOëL クリスマススペシャルパッケージ』が発売された。1997年11月には廉価版『NOëL NOT DiGITAL PlayStation the Best』が発売されている。
2009年12月より、ゲームアーカイブスで配信が開始された(発売元:ハムスター、品番:SLPS-00304/5、マニュアルのみSLPS-91043/4)。スクリーンショット機能対応。なお、PlayStation 3(PS3)でディスク版をプレイすると正常にセーブできないという問題があることがソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)から公表されており、PS3ではこちらを使用する必要がある。また、PlayStationフォーマットで発売されたシリーズ作品中唯一、ゲームアーカイブス版がPlayStation Vitaに非対応である。
江珂高校は近未来的な高層ビルの建物内に存在する[8]。
テレビ電話のような「ビジュアルフォン」を使って遠く離れた場所に住む3人の女子高生とコミュニケーションを取る。コンピュータの内部を意識したような未来的な画面構成や画面に現れる「会話ボール」を使う話し方が使われている。その際、新しく加わったアイコンによって、プレイヤーは肯定的、否定的、それ以外の3種類の意思表示が可能となった。[9]
前作では茶髪やルーズソックスなど現実味のある女子高生だったが、本作は純情可憐な女子高生という設定。豊富なアニメーションを前作の2倍以上収録している事も大きな特徴とされている。[9]
冬のスキー場で転倒し大怪我を負った主人公が、同じスキー場に遊びに来ていた鎌倉の女子高生3人組に助けられ、そのうちの1人から見舞いの電話がかかって来るところから物語が始まる。3人が高校を卒業する春までに3人のいずれかから告白されることを目的とする。「La neige(ラ・ネージュ)」はフランス語で「雪」の意味。作品世界の期間は2014年12月23日(冬至の翌日)から2015年3月21日(春分)まで。
『NOT DiGITAL』からヒロインを一新し、舞台も東京都臨海区から神奈川県鎌倉市に移った。それに伴いヒロインも変更された。キャラクターデザインはおがたたくみ、アニメーション制作はスタジオ・ザインが担当し、アニメーションのボリュームは『NOT DiGITAL』の約2倍となった。
東京ゲームショウ'97秋(1997年9月5日 - 7日開催)でプロモーション用CD『NOëL La neige VOICE MESSAGE 〜まだ見ぬあなたへ〜』(品番:LPR-256)が配布され、予約キャンペーンではトレーディングカード、テレカ、ピンバッジのいずれかが入った「NOëL缶」が抽選でプレゼントされた[10]。また30,000本限定[10]の限定版には、プロローグドラマCD『NOëL La neige 〜prelude〜』(品番:LPR-281)が付属する。
2010年6月23日より、ゲームアーカイブスで配信が開始された(SLPS-01190〜2、マニュアルのみSLPS-01193〜5)。スクリーンショット機能対応。
『NOëL 〜La neige〜 Special』は『La neige』の後日談。高校を卒業し大学進学を控えたヒロインたちの、鎌倉で過ごす最後の2週間を描く。本作を単体でプレイする場合は3月30日からスタートするが、『La neige』の3月18日以降のセーブデータがメモリーカードにある状態で3人のヒロインそれぞれに対応した特定の操作を行うと、『La neige』でグッドエンディングを迎えたという設定が追加された上で、3月24日(涼のみ30日)からのボーナス会話を楽しむことができる。
システムは『La neige』とほぼ共通だが、会話の進め方によっては、柚実との神経衰弱や千紗都とのあっち向いてホイといった追加要素としての扱いだったミニゲームが直接楽しめるようになる。また、涼とのグッドエンディング後にはCG・ムービーギャラリーが登場し、『La neige』の攻略情報も閲覧可能。初回プレス版購入者を対象に、「NOëLスペシャルボックス」または描き下ろしテレカのプレゼントキャンペーンが実施された。電源が入ってすぐのゲーム初期画面で、隠し要素となる条件を満たすと、ミニゲームやCGギャラリーなどを自由に選ぶことのできる「デバッグメニュー」が現れる[8]。
なお、門倉千紗都役の水樹奈々が歌うエンディングテーマ「Monologue」は、グッドエンディングではノーマルバージョン(アコースティックギターの伴奏によるバラード)、バッドエンディングでは演歌バージョンとなる。ともにCD化はされておらず、「Monologue(Shooting Star Version)」がアルバム『départ chisato×nana』に収録されているのみである。
2010年7月14日より、ゲームアーカイブスで配信が開始された。
発売日:1998年12月10日、メディア:CD-ROM 3枚組、品番:T-22205G(限定版)、T-22206G(通常版)
『NOT DiGITAL』のパラレルストーリー。2013年のクリスマスイブに学校でパーティーを行うことを予定して準備に取り組んでいた。[12]自然環境団体を名乗るテロリスト集団によって江珂高校が占拠され、パーティーの準備のために集まっていた3年B組の生徒たちが人質にとられてしまう。主人公はハッキングにより内部に侵入し、人質とされた生徒たちに適切な指示を与え、無事救出を目指す。
ノエルシリーズの特徴といえるテクノロジー「ビジュアルフォン」も健在だが、本作の使用目的は、女の子の無事の確認や安全な場所へ誘導するためでもある。前作同様、相手が電話に出られない時には、映像付きの「留守電」に切り替わる。[13]
生徒全員の救出が目的であり、展開によって一部救出、全滅などエンディングが分岐する。ストーリー展開や設定との関係から岡野由香がメインヒロインとして扱われ、サブヒロインとして西村知奈と和倉古都海が新たに登場している。また、『NOT DiGITAL』で名前のみ登場していたクラスメイトたちについても、全員分の設定が用意された。なお、会話シーンには前3作と同じくテレビ電話が使用されているが、本作の攻略要素はハッキング操作に集約されているため、会話シーンは幕間劇の意味合いが強い。
前3作から一転して映画『ダイ・ハード』調の緊迫感溢れるストーリーや、覗き見にも等しい少々過激な舞台設定を重視する意味で、本作のみセガサターン (SS) をメインプラットフォームとして開発された。ムービーはセル画でなくデジタルとなり、BGMなど全ての音声もデジタルにしたことでデータ量が膨大になってしまい当初は2枚組の予定だったが3枚組になった、との事。[13]キャラクターデザイン・作画監督は入江泰浩。
予約特典は、ファンディスク『NOëL3 ハッキングCD-ROM』(品番:LPR-307、CD EXTRA (Windows 95/98) 仕様)[12]。限定版特典は、イメージソング「WHITE MORNING」(歌 - 飯塚雅弓)とメッセージを収録したシングルCD(品番:LPR-313)。
発売日:1999年3月11日、メディア:CD-ROM 3枚組、品番:SLPS-01895〜7
『NOëL3』のPlayStation移植版。『NOëL NOT DiGITAL』の世界をベースに、外伝的なエピソード構成となっている。SCEの表現規制の厳しさから、SS版にあった一部の過激な描写やヒロインの素肌露出・パンチラなどが修正されている。
2000年8月31日にハムスターのMajor Wave シリーズで廉価版が発売され(品番:SLPM-86609〜11)、2010年8月25日よりゲームアーカイブスで配信が開始された。レイティングはCERO:B(12才以上対象)。
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