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中国が開発した戦闘機 ウィキペディアから
J-20は、中国航空工業集団公司が中国人民解放軍空軍のために開発した双発ステルス制空戦闘機。アジアで運用開始された第5世代ジェット戦闘機としては初のものである[4]。
J-20(殲撃20型、歼-20“威龙”)
Chengdu J-20
中国語では殲-20(歼-20、ピンイン:Jiān-20)または殲撃20型と呼び、欧米メディアではChengdu J-20とも表記される。「殲撃」の発音は「ジエンジー」に近い。Chengdu(成都)は、テスト飛行場を所有する成都飛機工業公司または所在地の四川省成都が由来。「殲-20(J-20)」という名称はメディア報道によるもので、正式名称は当時不明であった。2016年10月28日、中国人民解放軍空軍の公式メディア「空軍発布(空军发布)」が中国の新浪微博で初めて「殲-20飛行機」(歼-20飞机)という名称を使い、「殲-20(J-20)」という表記は正式名称として定着した。開発時のコードネームを「鯤鵬」(こんぽう=伝説上の巨鳥)とする報道もある[5]が、実際のコードネームは「鯤鵬」ではなく、「威龍(威龙)」である。「鯤鵬」は中国の大型輸送機Y-20 (航空機)のコードネームである。
正式な愛称ではないが、J-20を含むJ-XXとして開発された機体のいくつかは、中国の軍事マニアからは「絲帯(絲帶/丝带、リボンの意)」と呼ばれている。これは、第5世代機の中国での呼び方である四代機(四代机)の「四代」と「絲帯」の発音が類似すること(四代はsìdài、絲帯はsīdài)と、これらの機体の胴体が薄く平らな印象を与えることに由来している。
J-20は、1990年代にコードネームJ-XXとして開発されたステルス機の1つで、第5世代とされる。#2001および#2002と呼ばれる2つの原型機が2010年末までに製作された[6]。成都市の成都飛機工業公司テスト飛行場敷地内で飛行を伴わない地上走行が確認されたとされ[7][8]、また、その容姿は2010年末に非公式の軍事関連のウェブサイトにJ-20のものと思われる画像が掲載されたことで明らかになった[7]。2011年1月11日に初飛行に成功したと公表され、赤い星に金の縁取りの国籍マーク(フィンフラッシュ)がある全面黒色の電波吸収塗装のこの1号機(技術実証機)は機首の番号から「2001号機」と呼ばれた[9][10]。2012年には2つ目の原型機「2002号機」も初飛行が報じられた[11][12]。
中国空軍首脳は2009年時点において、中国初のステルス戦闘機がまもなくテスト飛行の段階に入ると述べており、その8-10年後に配備されるであろうとしていた[7]。
2011年1月23日に1999年のコソボ紛争で撃墜されたF-117の残骸から得られたステルスの技術情報がJ-20といったステルス機などに使用されたと紛争当時のクロアチア陸軍参謀総長だったドマゼット=ロソが主張したことを各国メディアは報じ、25日に中国の環球時報はこれに反論した[13][14][15]。また、アメリカ国防総省のジェフ・モレル報道官も同年1月26日の会見で過熱ぎみな脅威論に懐疑的な見方を示し、F-117の技術を盗用したとする報道にも否定的な見解を示した[16]。
F-35やB-2などステルス機の開発データを標的に設計者のノシル・ゴワディアらのスパイ行為や中国のハッカーがサイバー攻撃していることが度々指摘されているが、関連性は現時点で不明である[17][18]。
2016年11月1日、広東省珠海で開催された中国国際航空宇宙博覧会で初公開。2機によるデモンストレーション飛行も公開された[19]。
J-20はアクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーを搭載しており、J-20のAESAレーダーは約2,000-2,200個の送受信モジュールを備え出力電力は24kWに達する[20]。送受信モジュール数及び出力電力の大きさはF-22が搭載しているAN/APG-77を上回っているため、J-20が搭載しているAESAレーダーはAN/APG-77より探知距離が長いと推測されている[20]。また、J-20はF-35のAN/AAQ-37 EO-DASに酷似した分散開口システム(DAS)を採用しており、機体各部に複数のセンサーを備えている[21][22]。機首下面にはF-35と同じくEOTS(EOTS-86)も備えているが、空対空目標の捕捉・照準が中心で、現時点では対地攻撃能力が限定的又は皆無と指摘されている[23]。
中国中央電視台は2017年3月9日、空軍に実戦配備されたと伝え[24]、9月28日には国防部も就役を発表した[25]。
2018年9月6日、中央日報はJ-20が今年末にも量産体制に入る見込みだと報じた[26]。また、9月9日にはRecord ChinaはJ-20が年間40機生産される可能性があると報じている[27]。
中国メディアによるとJ-20は2019年に東部戦区に配備され、2022年4月12日に記者会見した中国航空工業集団幹部は東シナ海や南シナ海での飛行訓練が常態化していると語った[28]。
J-20とされる原型機は、ロシアスホーイのSu-57や、アメリカロッキード・マーティンのF-22 ラプターより一回り大きく見え、エンジンはロシア提供によるサトゥールン 117S(AL-41F1S)ターボファンエンジン2基を搭載している可能性を欧米メディアは伝えている[29]。しかし、写真を見る限り排気ノズルには推力偏向機構は付けられていない。
『戦闘機年鑑2013-2014』によると、エンジンは試作初号機ではサトゥールン 117Sターボファンエンジンが使われていると見られる。また、中国は殲撃20型用の新ターボファンエンジンWS-10Gを開発しており、試作2号機にはそのエンジンが付けられているという。
『アヴィエーションウィーク&スペーステクノロジー』にて航空専門家のビル・スィートマンによると、2機の原型機は排気ノズルの形状の違いから、一つはAL-31Fで、もう一つは中国製のWS-10Aだという(WS-15だという資料もある)。
機首の断面はF-22に似た菱形に近い形状だが、エアインテークの形状はF-22と違い、F-35のようにDSI(ダイバーターレス・スーパーソニック・インレット)を採用している。DSIはアメリカが1996年にF-16を改造してテストした技術[30]であり、後にF-35に採用されたものであるが、最初に量産された機体は中国とパキスタンが共同開発したFC-1である。その後、中国ではJ-10Bや改修されたJL-9と次々新型機に採用されており、近年の中国機の特徴の一つとなっている。DSIはステルス性に優れているが、実際に採用したF-35やFC-1の最高速度がM1.7とM1.8だった事もあり、高速時のエンジン効率が下がると言われている。しかし、F-16のテスト機で試験した時、旧式のダイバーター方式を採用した通常のF-16と同じ最高速度M2.0を達成し、通常の機体と同じ飛行性能を発揮[30]しており、実際にどれほど飛行性能や速度に影響があるかは不明である。
J-20は、翼はカナードと後縁に緩い前進角を持つデルタ翼に近い主翼を組み合わせたクロースカップルドデルタ翼を採用している。そのためか海外の専門家からはカナード翼がないとバラバラになると指摘がある。 タイフーンやラファールといった欧州機によく見られる形式であり、中国機でもJ-10が用いているが、実用化した機体の多くは単垂直尾翼で、外側に傾斜した小さめの双垂直尾翼およびベントラルフィンとの組み合わせはミコヤンの試作した1.44に近い[31]。
また、ステルス性のために、垂直尾翼およびベントラルフィンの傾斜は胴体側面の角度と等しくなっている。カナードと垂直尾翼は全遊動式であり、垂直尾翼は90度近くまで作動することからYF-23の尾翼と同様にエアブレーキの機能を持つと見られる。
第5世代機では世界初となる複座型が製作され、追加された乗員は、搭載センサーの情報処理や随伴無人機(オーストラリア軍でいうMQ-28 ゴーストバット)の管理等を行うと推測されている[32]。
武装
内部ウェポンベイ
2001号機の初飛行が報じられてから4ヶ月余り後の2011年5月に、香港の模型メーカードラゴンモデルズから1/144スケールのプラモデルが発売された。細部の省略が可能な小型モデルとは言え、ネット上に地上テストの映像がリークされてからでもほぼ5ヶ月という短期間で射出成形キットが発売されるのは極めて異例である。メーカーはメディアの公開以前からキット開発をスタートしたとしている。キットの形状は公開されている写真と大きな相違はなく、胴体下面には写真ではかすかにしか確認できないウェポンベイ[37]が筋彫りで表現されている。キットの大きさは長さがピトー管を含まずに153mm、幅が93mm程で、144倍するとそれぞれ22.0m、13.4mとなる。
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