Loading AI tools
現在HCL Technologiesが開発・販売しているグループウェア用ミドルウェア ウィキペディアから
HCL Notes/Domino(HCL ノーツ/ドミノ)はHCLテクノロジーズが開発・販売しているグループウェア用のミドルウェア、アプリケーション開発・実行環境。
当初はロータス (Lotus Development) 社の Lotus Notes(ロータスノーツ)、Lotus Domino(ロータスドミノ)という製品で[1][2]、1995年のIBMによるロータス社の買収以降はIBMソフトウェア部門のロータスブランドの中核製品となり、2013年の9.0からIBM Notes/Domino(IBMノーツ/ドミノ)という製品名になった[3]。2018年12月6日にIBMは2017年10月より協業しているHCLテクノロジーズに Domino/Notes を含む複数製品の売却を発表[4][5]、2019年7月1日に完全移行され、HCL Notes、HCL Domino 等 HCL を冠する製品名となっている。
Lotus Notesは1989年に登場した、クライアントサーバー型のグループウェアであり、グループウェアという言葉を市場に浸透させたソフトウエアであるといわれている。
非定型の情報を扱う分散型の文書データベースの構造と、強力な複製機能を持っており、プラットフォーム依存性が低く、カスタマイズ性が非常に高いとされる。このため大規模なシステムの基盤となる事が多い。
Lotus Notes/Dominoは以下で構成されるが、両者とも「Notes」または「Notes/Domino」と呼ばれる事も多い。
Lotus Notes/Dominoは、サーバ(Lotus Domino)に対して、専用のクライアントソフトウェア(Lotus Notes)や汎用ブラウザ(Domino Web Access)でアクセスするハイブリッド型グループウエアであり、電子メール・電子掲示板・データベース・スケジュール管理などの機能を備える。Lotus Notesの登場前は、システムの活用といえば大型コンピュータからの数値データの還元帳票が中心であったのに対し、Lotus Notes/Domino では、掲示板機能による非数値データの共有、あるいは電子会議室機能が特に注目された。
各種の開発言語による開発が可能で、現在のリッチクライアント的な要素を先進的に持っており、本来はユーザ部門だけでグループウェアシステム構築が出来ることを目的としていた。開発言語は以下の3種類が使用できる。
またクラスタリング機能を標準で持っており、サービスのサーバーの障害時には、各クライアントがスタンバイのサーバーに対して、引継ぎ(フェイルオーバー)できる。
Lotus Notesの基幹となるサーバソフトウエア。構築時の設定によってHTTPサーバ・SMTPサーバの機能などを持つ。多数のデータベース(DB)をデフォルトでデータ部分に格納しており、更に追加、編集する事ができる。DB構成によって、Dominoの果たす機能は大きく変わる。現場レベルではクライアントソフトウェアのLotus Notesに対してDominoサーバなどと呼ばれることが多い。
Dominoを操作するためのクライアントソフトウエア。Microsoft Exchangeに対するOutlookのような存在。メールやカレンダーなど、基本的な機能に加え、サーバの管理ができる(サーバー管理には管理者IDおよびパスワードが必要)。また後述するDesignerやAdministratorの機能を使用することで、より高度な設計を行うことが可能である。
8以降はEclipse RCPを基盤としたStandard版が追加され従来からあるものがBasic版と呼称されるようになった。14からはBasic版が廃止されStandard版のみとなった。
Standard版はEclipse上に展開するため、下記のような違いがある。
スマホおよびタブレット用アプリ。バージョン10で IBM Domino Mobile Apps の名称で追加された。HCL への移管後は HCL Nomad Mobile と改称された。Notes クライアントのBasic版相当の機能 (Java等一部機能は除く) が利用でき、Notes クライアントで使っているアプリケーションをそのまま実行が可能である。ローカルストレージへのデータベースの複製も可能である。スマホのカメラやGPSを使用したアプリケーションも利用できる。Notes ID ファイルを使用した強固なセキュリティが維持されているが、指紋認証や顔認証など OS と連動した認証により、ユーザーは Notes ID を意識する必要はない。
アプリケーションのインストール不要で、ブラウザのみで動作するNotes クライアントのBasic版相当の機能。2021年5月に初回リリース。Notes クライアントのBasic版相当の機能 (Java等一部機能は除く) が利用でき、Notes クライアントで使っているアプリケーションをそのまま実行が可能である。ブラウザーのキャッシュ領域にプログラムをダウンロードして実行させる。サーバー側でプログラムが更新されるとブラウザーのキャッシュが行われ、最新のプログラムの状態が維持できる。
1990年代後半、インターネットおよびブラウザの普及に伴い、ブラウザーからもノーツのアプリケーションにアクセスする必要が発生した。最初にWWWベースでのNotesの利用を可能にしたのは、Notes 4用のアドオン「Web Publisher」だった。この機能はサーバの管理するデータをバッチ処理でHTMLに変換するものであったが、この機能はダイナミックにHTMLを生成する方式へ進化し、次バージョンのNotes 4.5からNotes Server本体に統合されたことが、サーバを「Domino」(ドミノ)と呼ぶきっかけになった。Domino R5.0.8からiNotes Web Accessに名称を変更し、更にLotus Notes/Domino 6.5で、Domino Web Accessに名称変更された。しかし、Lotus Notes/Domino 7でも、DWAファイル格納フォルダは[iNotes]のままである。Lotus Notes/Domino 8.5では再びLotus iNotesという名称に変更された。
6.5以前はiNotes Web Acsess (IWA) Dominoサーバ内に設置されたメールボックスに対して、ウェブブラウザでアクセスすることで、Personal Information Manager (PIM) 機能が使用可能となる機能である。Microsoft Exchangeに対するOutlook Web Accessのような存在であり、Lotus NotesのインストールされていないPCにおいても、受信したメールや、Lotus Notesで作成したカレンダーなどが限定的に閲覧できる。しかし送信元のメール形式によっては、Lotus Notesで表示すると正常に表示されるが、DWAで表示するとバグや仕様で表示できない場合もある。ただし、DWA専用に用意されたActiveXを導入すると、バージョンによっては若干機能が向上する。
iNotes はDOMを使用しているなどアーキテクチャが古くなっているため、iNotes はバージョン 14 でもサポートされているが HCLでは後継として HCL Verse を提供している。
iNotes の後継となるメール、カレンダー機能を提供し、ブラウザでの利用に加えて、スマホ・タブレット用アプリが提供されている。スマホ・タブレットで利用する場合は、Domino サーバーとの間に HCL Traveler という中間サーバーが必要である。
モバイルデバイスのメール、カレンダー機能から Domino を利用できるようするために開発されたサーバー機能で、ActiveSync プロトコルでモバイルと通信できるよう、Domino との間入り変換する役割を持つ。IBM Lotus Domino 8.0.1 で追加された。当初は Microsoft Windows Mobile や BlackBerry をサポートしていた。その後、iOS も追加された。HCL Verse もまた ActiveSync プロトコルを使用している。
Dominoサーバを管理するための管理者用クライアントソフトウエア。グループ化したDominoサーバ群を一括管理したり、遠隔地からでもこのソフトウエアを使用することで、Dominoに対して直接コマンドを送信することができる。ACL(アクセス操作リスト)やディレクトリリンクなどの設定をする際には、このソフトウエアを使用すると便利である。
DBのソースコードに対して直接入力したり、一からDBを設計する開発者用クライアントソフトウエア。Eclipse RCP 上で動作する。開発環境はノーツ R1 から存在していたが、Domino Designer として分離されたのは R5 からである。
Nomad 1.0.10 (2023年12月リリース) で追加されたもので、ブラウザ上で Domino アプリケーションを開発できるもの。上記の Eclipse RCP 版のサブセット。
Lotus Dominoの機能の一つ。ひとつのOSに対して複数のDominoサーバを構築し、起動させるための機能。
基幹部分を共有し、個別に設定された部分のみ別パーティションへ設置することで、複数台のDominoサーバを稼動させる事が出来る。そのことがこの機能名の由来ともなっている。
Windowsの場合は、基本的にはCドライブにプログラム(基幹部分)をインストールし、DやEなどにデータ(個別に設定・作成されたデータなど)を設置する。エンジンを共有しているため、負荷は実質1.5倍程度であり、それぞれに別の役割を持たせたい場合には非常に効率の良い構成を構築する事が出来る。特にエンタープライズ環境のような、多数のユーザがアクセスする環境では、往々にしてネットワーク負荷が非常に高くなってしまう。そのためDominoサーバ毎にネットワークカードを割り当て、サーバ単体に対してのアクセス負荷を分散することが出来る。ただし、サーバに対する物理負荷は当然変わらない。
Dominoの機能のひとつであるディレクトリリンクとは、Dominoサーバのデータを設置したディレクトリ(Dominoデータディレクトリ)内から、他パーティションのディレクトリや外付けHDD、ストレージサーバなどにリンクを作成し、リンク先があたかも同一ディレクトリであるかのように、Dominoサーバが振舞わせる機能である。
主にリソース対策や、データ拡散などを目的に使用される。
従来設置してあったHDDでは容量が足りなくなった場合、データの整理や削除・またはHDDをより大容量なものに交換する必要があるが、そういった手間を省略するため、他のパーティションにもスペースを占有する機能である。そのため、データの拡散化も可能であるため、万一HDDが破損してしまった場合の保険にもなりうる。
Dominoサーバによる悪意ある異常コード削除機能。Dominoサーバに設置されたメールボックス宛に送信されたメールに、悪意あるActiveXやJavascriptなどを発見すると、そのメールのヘッダごと削除してしまう機能。ただしNotesではメールを正常に表示できるが、DWAで表示した場合には、ACFの誤作動が原因で本文が丸ごと消失してしまうなどの問題点もある。
Lotus Notes/Dominoは、大企業・防衛省・自衛隊などを中心に採用されており、特に都市銀行での普及率は100%とされる。IBMテクニカルサービスによる平成18年度の普及率調査では、300〜999人規模の企業(9229社)で24%、1000〜4999人規模の企業(2552社)で38%、5000人規模以上の企業(385社)においては55%であると報告された(なおこの普及率には、保守目的でのライセンス購入などは含まれていないため、実際の割合は更に高いとされた)。
Lotus Notes/Dominoはオープンシステム向けのパッケージソフトウェアであるが、レガシーマイグレーションの対象とされる場合がある。これはLotus Notesがグループウェア製品としては最も古い事、現在のWeb系グループウェア製品と比較するとクライアントサーバー型であり、クライアントの配布や管理が必要な事などが挙げられる。
また2002年~2007年には、IBMはJavaおよびWebベースのIBM Workplaceを推進したため、一部では「Lotus Notes/Dominoは無くなるのではないか」との観測が流れた。しかしLotus NotesはR8よりeclipseベースに移行して存続し、Web系製品との連携を強化した。またIBM Workplace製品群は、Lotusブランドの中の製品となった。
Lotus Notes/Dominoの主な競合製品は、1990年代にはMicrosoft Exchange Server(および現在ではSharePoint Server)であり、2000年代にはWeb系のサイボウズ Officeなどである。なお、これら製品に対しNotesのPIM機能を限定的に使用できる「Domino Web Access」などの製品も出ている。製品コンセプトの比較では、Exchangeはメールベースの製品であり、ワークフローなど高度な機能では複数のサーバ製品を組み合わせる必要がある。サイボウズなどは用意されたWeb画面をすぐに手軽に使える製品である。これらに対してLotus Notes/Dominoは、強力な複製機能を持つ非定型文書データベースであり、ユーザーの開発プラットフォームとしての側面が強い。
Lotus Notes/Dominoの修正モジュール(FIX)には、主に以下の3種類(3レベル)がある[11]。
例えば、8.5に対して、メンテナンスリリース1、フィックスパック2、ホットフィックス345を適用した場合の表示は「8.5.1 FP2 HP345」である。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.