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DESTINY+[1](デスティニー・プラス[1], Demonstration and Experiment of Space Technology for INterplanetary voYage, Phaethon fLyby and dUst Science[1])は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、宇宙科学研究所(ISAS)が開発中の深宇宙探査技術実験ミッション、およびミッションに使用される小型科学探査機・工学実験機の呼称。
この記事にはまだ開始されていない宇宙飛行計画が含まれています。 |
DESTINY+[1] デスティニー・プラス[1] | |
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所属 | 宇宙科学研究所 (ISAS) /宇宙航空研究開発機構 (JAXA) |
主製造業者 | 日本電気 |
公式ページ | 深宇宙探査技術実証機DESTINY+ |
状態 | 基本設計 |
目的 |
流星群母天体のフライバイ観測および惑星間ダストのその場分析 小型深宇宙探査機技術の獲得[2] |
観測対象 | ファエトン (3200) Phaethon[2] |
計画の期間 | 最大6.2年[3] |
打上げ機 | H3ロケット[4] |
打上げ日時 | 2028年度(予定) |
物理的特長 | |
本体寸法 | 太陽光発電パネル展開時:横9.12m |
質量 | 約480 kg(推進薬を含む)[2] |
発生電力 |
スパイラル上昇フェーズ末期:2851W ノミナルミッション期間末期:2447W[3] |
主な推進器 | 電気推進イオンエンジン(μ10×4台)[3] |
姿勢制御方式 | 3軸制御[2] |
軌道 | 初期投入(230 km×37,000km, 30.42°) - 月高度(38 万km) - ファエトン遷移軌道[5] |
観測機器 | |
望遠カメラ | TCAP |
マルチバンドカメラ | MCAP |
ダストアナライザ | DDA |
ミッションではふたご座流星群母天体(3200)Phaethonに500kmの距離まで接近し、搭載カメラによる数時間のフライバイ観測とダストアナライザにより惑星間ダストの質量・速度・飛来方向・化学組成をその場で分析する計画となっている[3]。開発・製造は日本電気が担当。総開発費は213.1億円[3]。
プロジェクトは当初「DESTINY (Demonstration and Experiment of Space Technology for INterplanetary voYage)」という名称で、2013年9月に打ち上げられたひさき (SPRINT-A)、2016年12月に打ち上げられたジオスペース探査衛星あらせ (ERG) に続く小型科学衛星の3号機として、イプシロンロケットでの打ち上げを目指していた。2014年にISASが行った次期小型科学衛星の公募では、宇宙理学・工学委員会による審査で7件の応募から本プロジェクトと小型探査機による高精度月面着陸技術実証(SLIM)が候補ミッションに選定された[6]。2015年2月にISASはSLIMを最終候補として選定し、DESTINYは2号機以降での選定を目指すこととなった[7]。その後、理工学委員会の推薦を受け、DESTINY+(PLUS, Phaethon fLyby with reUSable probe, 後にPhaethon fLyby and dUst Science) として「公募型小型2号機」に選定された[8]。2021年度の打ち上げを目標に開発研究が進められていたが、ドイツ提供のダストアナライザの予算獲得の遅れ、イオンエンジンの熱設計関連の対応等の理由から、2024年度の打ち上げを目指すこととなった[5]。
2024年10月には2023年7月に能代ロケット実験場で発生したイプシロンSロケットの第二段モーターの燃焼試験中の爆発事故の影響によりイプシロンへの搭載が断念され、2028年年度にH3ロケットで打ち上げる計画に切り替えることが発表された[9][10]。ただし、打ち上げに用いるロケットの大型化によって地球軌道からの脱出に時間を要する軌道を取る必要が無くなったことから、打ち上げ予定は遅延するものの小惑星への到達時期に大きな変更はないとされる。
ミッションのコンセプトとして「将来の深宇宙探査の鍵となる先端技術」が示されており、これらの要素技術の実験・実証により、探査機バスの重量を大幅に軽量化、高度化されたイプシロンロケットとの組み合わせで、月、金星、火星などの探査において50kgから200kgのミッションペイロードを持つ小型高性能深宇宙探査機を実現するとしている。[11]
イプシロンロケットで打ち上げ、アポロ群の (3200) ファエトンなど複数の小惑星をフライバイするミッションが予定されている[2]。旧DESTINYでは打ち上げ後、地球を周回しながらイオンエンジンで増速、月スイングバイを行い、L2ハロー軌道の投入・離脱を行う提案がされていた。
小惑星ファエトンには相対速度36km/sの高速フライバイをする計画で、往復伝播遅延が5分以上となることから、自律的な撮像が必須とされている[3]。最接近の約7.5時間前、距離100万km以下からカメラによる観測を開始し、接近に従って輪郭観測・日照域三次元地形観測・表層地形観測・マルチバンド観測を実施する[10]。
以下の2つの工学目的の達成を目指す[12]。
DESTINY+は小惑星ファエトンをフライバイ中、放出されたガスのその場分析やハイビジョンカメラによる撮影を行う。これらにより太陽加熱が小天体の進化にどのような影響を及ぼしているのかを観測する。また、ファエトンはふたご座流星群の母天体であり、彗星・小惑星遷移天体だと考えられている。
DESTINY+ではオプションとして子機を分離し、小惑星の近接フライバイを行う案も出されていた[13]。この案では、はやぶさ2の打ち上げに相乗りした超小型深宇宙探査機PROCYON(Proximate Object Close flyby with Optical Navigation)を軽量化した、PROCYON-miniを利用することが想定されていた。子機を搭載することで、DESTINY+本体を危険に晒すことなく小惑星の近接観測が可能となる。またフライバイ後にPROCYON-miniを母機が回収することで、近接フライバイを複数の小惑星で繰り返し行うことができる。もし実現すれば、これは世界初の深宇宙でのランデブー・ドッキングとなる。
衛星バスにはSPRINTシリーズで採用されているNEXTARが使用されると思われる。メインスラスタとしてはやぶさ2で使用されたμ10を12mNに高推力化した改良型を4基搭載し、普段は10mNで4台同時運転し合計推力40mN、1台故障時には12mNで3台同時運転し合計推力が36mNの運用を行う予定である。また、巨大な薄膜軽量太陽電池パネルが外観上の特徴となる。2015年の旧DESTINYの検討ではより大口径のμ20を1基搭載することが想定されていた[14]。また、μ10を高比推力化したμ10HIspを使用することも検討していた[15]。
以下の研究機関と協力して機体の開発を進めている[1]。
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