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Cliché (大貫妙子のアルバム)
大貫妙子のスタジオアルバム (1982) ウィキペディアから
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『Cliché』(クリシェ)は、1982年9月21日に発売された大貫妙子の6作目のスタジオ・アルバム[2]。大貫のブレイク・ポイントとなった作品で[4]、次作の『SIGNIFIE』(1983年)と並んで、大貫の80年代を代表する傑作アルバムと評価されている[5]。大貫としては初となる海外レコーディングをフランス・パリで行った[1]。
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概要
前々作の『ROMANTIQUE』(1980年)、前作の『AVENTURE』(1981年)と共に「ヨーロピアン三部作」と呼ばれ[5][注釈 1]、本作で一つの完成がなされた集大成的なアルバムと評されている[5][4]。前半のA面(CDでは1~4曲目)は、坂本龍一が編曲を担当。後半のB面(CDでは5〜10曲目)が映画音楽の作曲などを手がけるジャン・ミュジーの編曲によるフランス録音で、ヨーロッパ志向が深化している。
アルバム・タイトルの「クリシェ」は、フランス語で ″常套句″ ″決まり文句″ という意味。また音楽用語としては、ある和音を連続して使用するとき、その和音の中の一音を少しずつ変化させる技法のこと。大貫はタイトルに込めた意味について、「普段よく使われている音やメロディーをもう一度取り上げることで、そこから新しい価値観を生み出す」といった解釈であるといい、「私の中の音楽をフランスで録音することこそが私にとっての ″クリシェ″ でした」とも語っている[6]。
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制作
アルバム制作を始める前に、大貫はまずヨーロッパへ行こうと思い、都市への憧れからパリを選んだ。ジャン・ミュジーにアレンジを依頼したのは、大貫自身が好きだったフランシス・レイの楽曲のアレンジを手掛けており、フランスのロマンティシズムを非常に大事にする人だったという理由からである[7]。レコーディングの前にアルバム『ROMANTIQUE』と『AVENTURE』に手紙を添えて送ったところ、「非常に気に入ったから是非一緒に仕事をしたい、今度レコーディングする曲が出来次第送って欲しい。ただし、その曲を気に入らなかったらアレンジは出来ない」と、かなりの好感触であると同時に厳しい条件付きの返事を貰い、大貫は全力を挙げて曲を仕上げた[7]。出来上がった曲を送ったところ「全部OK」との返答が来たため、レコーディングのスケジュールを決めてパリへ向かい、初めに詞の内容や、こういう楽器を使って欲しい、この映画の様なイメージで、といった要望を伝えた。ジャン・ミュジーの楽曲制作は、まずピアノと歌のみで全曲を録音し、その上にシンセサイザー、ドラム、ベース、ギター、最後にストリングスを被せていくという、日本での録音の仕方とは若干違いを感じるものではあったが、アレンジに関しては「いくらか表現が違う」と感じることはあっても意見が衝突するようなことはなく、むしろ想像以上のものを作ってくれることの方が多かったという[7]。ジャン・ミュジーの仕事のやり方から大貫は、歌心、メロディーが持つリズムや流れといった基本的なものを学ぶことが出来たといい、コンピューターを多用した現代の日本のポップスとはかなり異なったフランスの音楽家の手法を見て、改めて「いいもんだな」と思ったと語っている[7]。なお、ジャン・ミュジーのアレンジだけではやりたい事を全て補うのは難しいとして、収録曲中数曲のアレンジは坂本龍一に依頼された。
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アートワーク
ジャケットには大貫が絵描きに扮したカラフルなデザインが施されているが、これは前作、前々作とモノトーンが続き、″意地悪そう″ や ″冷たい女″ であるといったイメージが付くことに抵抗を感じた大貫自身の希望によるものである。撮影は写真家の大西公平[8]が担当している。
なお、LPレコードのジャケットと同時発売のミュージック・テープとでは使用されている写真が異なっている。
収録曲
LP / CT
CD / SACD
楽曲解説
- 黒のクレール
- 大貫自身とても気に入っており、よく聴く曲だという。本作より1年近く前に発売されたシングルであるが、アルバムにはまだ収められていないため是非収録したいと希望し、1曲目に配された[7]。
- 色彩都市
- 当時の心境や生活態度といったものが現れており、大貫はこのアルバムで一番好きな曲であるとのこと。自分のことをこの曲の主人公のような女性だと思ってもらって結構だと、冗談混じりに話している[7]。
- ピーターラビットとわたし
- LABYRINTH
- 風の道
- 女性歌手RAJIEのために書かれた曲で、フランソワーズ・アルディの歌の世界をイメージして作られた。他人に提供した曲を自身のアルバムに収録するのは、大貫にとって初めてのことであった[7]。
- 光のカーニバル
- フランスをイメージさせるこのメロディー・ラインは、元々自身の中に温めていたものだという。日本人のアレンジャーが手掛けると ″フランス風″ になってしまうので、絶対、現地のミュージシャンに任せたいと思っていたが、本作でそれを実現出来てとても嬉しいと話している[7]。
- つむじかぜ〈tourbillion〉
- 憶ひ出〈mémoire〉
- 映画のワン・シーンを想像させるような曲を作りたいとの思いから生まれた作品。大貫はこの曲を「非常にドラマティックな曲にしたい」と考え、その意図をアレンジャーに伝えたところ予想以上の完成度となって、ちょっとびっくりしたと語っている[7]。
- 夏色の服
- 黒のクレール (reprise)
- 大貫は本作を一つのトータル・アルバムと考え、「映画が終わり、字幕スーパーが静かに流れるといった状況を想像しながら聴いてもらえたら、私の『クリシェ』は完成したという感じなんですが」と述べている。また、いずれインストゥルメンタル曲で構成されたアルバムを作りたいという気持ちが影響したかもと話している[7]。
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参加ミュージシャン
黒のクレール 色彩都市 ピーターラビットとわたし
LABYRINTH
風の道
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光のカーニバル
つむじかぜ〈tourbillion〉
憶ひ出〈mémoire〉
夏色の服
黒のクレール(reprise)
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カバー
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発売履歴
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脚注
参考資料
外部リンク
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