CentOS(セントオーエス[4][5][注釈 1])は、Red Hat Enterprise Linux(以下「RHEL」と呼ぶ)と機能的に互換性があることを目指した[6]フリーのLinuxディストリビューションである。

概要 開発者, OSの系統 ...
CentOS
Thumb
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CentOS 8.3標準のGNOME Shellデスクトップ環境
開発者 The CentOS Project(レッドハット後援)
OSの系統 Unix系, Linux
開発状況 開発終了
ソースモデル FLOSS
初版 2004年5月14日 (20年前) (2004-05-14)[1]
最終版
  • 8.5.2111[2] - 2021年11月16日 (2年前) (2021-11-16) [±]
  • 7.9-2009[3] - 2020年11月12日 (3年前) (2020-11-12) [±]
パッケージ管理 RPM
プラットフォーム IA-32, x64, それらに加えてCentOS 8よりPOWER8と64-bit ARM
カーネル種別 モノリシックカーネル
既定のUI GNOMEまたはKDE
ライセンス GPL
ウェブサイト www.centos.org
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2020年12月8日にCentOSプロジェクトは、RHELのアップストリーム(開発版)であるCentOS Streamの開発にプロジェクトのフォーカスを変更し、CentOS Linux 8のサポートを2021年末で終了すること、RHEL 9のリビルドとしてのCentOS Linux 9をリリースしないことをアナウンスした[7][8][9]。なお、CentOS Linux 7は2024年6月までサポートされていた[10]。CentOS Stream 9は2021年12月にリリースされた[11]

概要

レッドハットはRed Hat Enterprise Linuxに含まれているソフトウェアソースコードオープンソースライセンスに基づき無償公開している。CentOSはこれをもとに、商標や商用パッケージ等を除去したものをリビルドしている。White Box Enterprise LinuxScientific Linux等を含めて、一般に「RHELクローン」と呼ばれることもある。ただしCentOSプロジェクトのFAQでは"CentOS Linux is NOT a clone of Red Hat® Enterprise Linux."[12] と明記されておりRHELのクローンではないとしている。 RHELに由来するソースコードは変更されないように意図されている[13]が、CentOS独自の追加機能を提供するリポジトリを提供している[14]

開発

RHELの一般公開されたソースコードにもとづくディストリビューションとしてWhite Box Enterprise Linux が先にリリースされている[注釈 2]。これが人気を得たことを契機にCentOSプロジェクトは有志のボランティアにより立ち上げられた。呼び名は「コミュニティベースで開発されたエンタープライズクラスのオペレーティングシステム (Community ENTerprise Operating System) 」に由来する[15]

開発当初、レッドハットはCentOSの配布・開発に関与してこなかったが、2014年1月にCentOSプロジェクトを支援していくことを表明。プロジェクトの中心メンバーを同社員として迎え入れた[16]

ターゲット

ターゲットはRHELと同様に企業のサーバデスクトップ環境の構築[17]としている。サポートが必要な場合にはレッドハットの製品を勧めるとしている[18]。デスクトップも想定されていることから、高機能なGUI環境も標準で提供されている。LibreOfficeOracle VM VirtualBoxなどのパッケージや後述のサードパーティーリポジトリを用いてビジネスソフト、デスクトップ仮想化ソフト、GPUや周辺機器のデバイスドライバセキュリティソフトデジタルコンテンツ制作ツール、メディアプレーヤー、ビデオコーデックなどをインストールすれば、本格的なデスクトップOSとして使用することが可能である。

ライセンス費用が無償であるにもかかわらずサポート期限が非常に長かった。安定性にも優れ一部メーカーのLinux搭載パソコンやワークステーションでの採用も増加しつつある。[要出典]

入手方法

公式及びミラーサーバからCDおよびDVDのISOイメージHTTPFTPでダウンロードできる。バージョン7からはBlu-ray DiscのISOイメージも追加されている。

パッケージ管理

ツール

CentOSはRed Hat Linuxを源流とするRPM系Linuxに属しており、パッケージ管理システムYumおよびその後継のDNFを採用している。RHELがRed Hat Networkサーバをデフォルトにしているのに対し、CentOS Mirror Networkが用意されている。

リポジトリ

CentOSにデフォルトで含まれるリポジトリ (Base, Updates, Addons, Extras, CentOS Plus) に加えて、Fedora提供のepel (Extra Packages for Enterprise Linux) やサードパーティーのNux Dextop リポジトリ[19]やRPM Fusion[20], ELRepo[21], Les RPM de Remi[22], RPMForge[23], JPackage[24]などがよく使われている。CentOS Plusはデフォルトで無効化されている。RPMForge及びRemiに関しても、オリジナルのパッケージを上書きしてしまう可能性があるとしてインストール後はOFFにして運用することが一般的である。

バージョン

番号の規則

CentOS 6以前はメジャーバージョンとマイナーバージョンの二つより構成される。メジャーバージョンはベースとしたRHELに対応しており、マイナーバージョンはそのRHELのバージョンアップに対応する。例えばCentOS 4.3はRHEL 4 update 3のソースコードよりビルドされており、これとの互換が目標となっている。CentOS 7以降はメジャーバージョンとマイナーバージョンに加えて、タイムスタンプ(年、月)が追加された。例えばCentOS 7.0-1406はRHEL7.0の2014年6月にリリースされたソースコードを基にしていることを示している[25]

リスト

メンテナンス更新期限はRHELと同じく10年(CentOS 4以前は約7年)程度[26]と非常に長かった。完全更新は新たな機能の追加とセキュリティパッチ配布を意味し、年2~4回が予定されていた。その後は必要不可欠なセキュリティパッチ配布のみを想定している。

2020年12月に開発方針の転換が発表されており、以後はRHELの開発版がベースとなるCentOS Streamの開発に注力し、安定版がベースとなっていたCentOS Linux 8は2021年を以てサポート終了となった[27]

さらに見る バージョン, アーキテクチャ ...
バージョンのリスト[28]
バージョンアーキテクチャ[29]カーネルリリース日ベースとなった
RHELのリリース日
遅延完全更新期限
Full Updates
メンテナンス更新期限
Maintenance Updates
22.1(最終)i3862.4.92004年05月14日2002年05月17日728日2005年05月31日2009年05月31日
33.1i386, x86-64, IA-64, s390, s390x2.4.21-152004年03月19日2003年10月23日148日2006年10月31日2010年10月31日
3.9(最終)i386, x86-64, IA-64, s390, s390x2.4.21-502007年07月26日2007年06月15日41日 
44.0i386, x86-64, PowerPC(ベータ版)2.6.9-52005年03月09日2005年02月14日23日2009年02月29日2012年02月29日
4.9(最終)i386, x86-642.6.9-1002011年03月02日2011年02月16日14日 
55.0i386, x86-642.6.18-82007年04月12日2007年03月14日28日2014年 Q12017年03月31日
5.1i386, x86-642.6.18-532007年12月02日2007年11月07日25日
5.2i386, x86-642.6.18-922008年06月24日2008年05月21日34日
5.3i386, x86-642.6.18-1282009年03月31日2009年01月20日69日
5.4i386, x86-642.6.18-1642009年10月21日2009年09月02日49日
5.5i386, x86-642.6.18-1942010年05月14日2010年03月31日44日
5.6i386, x86-642.6.18-2382011年04月08日2011年01月13日85日
5.7i386, x86-642.6.18-2742011年09月13日2011年07月21日54日
5.8i386, x86-642.6.18-3082012年03月07日2012年02月21日15日
5.9i386, x86-642.6.18-3482013年01月17日2013年01月08日10日
5.10i386, x86-642.6.18-3712013年10月19日2013年09月30日19日
5.11(最終)i386, x86-642.6.18-3982014年09月30日2014年09月16日14日
66.0i386, x86-642.6.32-712011年07月09日2010年11月10日242日2017年 Q22020年11月30日
6.1i386, x86-642.6.32-1312011年12月09日2011年05月19日204日
6.2i386, x86-642.6.32-2202011年12月20日2011年12月06日14日
6.3i386, x86-642.6.32-2792012年07月09日2012年06月21日18日
6.4i386, x86-642.6.32-3582013年03月09日2013年02月21日15日
6.5i386, x86-642.6.32-4312013年12月01日2013年11月21日10日
6.6i386, x86-642.6.32-5042014年10月28日2014年10月14日14日
6.7i386, x86-642.6.32-5732015年08月07日2015年07月22日16日
6.8i386, x86-642.6.32-6422016年05月25日2016年05月10日15日
6.9i386, x86-642.6.32-6962017年04月05日2017年03月21日15日
6.10(最終)i386, x86-642.6.32-7542018年07月03日2018年06月19日14日
77.0-1406x86-643.10.0-1232014年07月07日2014年06月10日27日2020年 Q42024年06月30日
7.1-1503x86-643.10.0-2292015年03月31日2015年03月05日26日
7.2-1511x86-643.10.0-3272015年12月14日2015年11月19日25日
7.3-1611x86-643.10.0-5142016年12月12日2016年11月03日39日
7.4-1708x86-643.10.0-6932017年09月14日2017年08月01日44日
7.5-1804x86-643.10.0-8622018年05月10日2018年04月10日30日
7.6-1810x86-643.10.0-9572018年12月03日2018年10月30日34日
7.7-1908x86-643.10.0-10622019年09月17日2019年08月06日42日
7.8-2003 x86-64 3.10.0-1127 2020年04月27日 2020年03月30日 28日
7.9-2009(最終) x86-64 3.10.0-1160 2020年11月12日 2020年09月29日 44日
88.0-1905x86-64, POWER8 LE, AArch644.18.0-802019年09月24日2019年05月07日140日2021年12月2021年12月31日[30]
8.1-1911 x86-64, POWER8 LE, AArch64 4.18.0-147 2020年01月15日 2019年11月05日 71日
8.2.2004 x86-64, POWER8 LE, AArch64 4.18.0-193 2020年06月15日 2020年4月028日 48日
8.3.2011 x86-64, POWER8 LE, AArch64 4.18.0-240 2020年12月07日 2020年11月03日 34日
8.4.2105 x86-64, POWER8 LE, AArch64 4.18.0-305 2021年06月03日 2021年05月18日 16日
8.5.2111(最終) x86-64, POWER8 LE, AArch64 4.18.0-348 2021年11月16日 2021年11月 9日 7日
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アドオン

Software Collections (SCL) はより新しいバージョンもしくはシステムに元来含まれていない動的プログラミング言語、データベースサーバ、それらに関連した様々なパッケージを提供するレポジトリである[31]。これらはCentOSで標準的に提供されるパッケージを置き換えるものではない。/optディレクトリに並行してインストールされて提供される。sclユーティリティによってはアプリケーションごとに選択できる。例えばPerlやMySQLの標準のバージョンはCentOSの基本的なインストールのままである[31]

さらに見る アドオン名, アーキテクチャ ...
アドオン名 アーキテクチャ[29] CentOSのバージョン CentOS リリース日 RHEL リリース日 遅延(日)
Software Collections (SCL) 1.0[32] x86-64 6.4 2014-02-19[33] 2013-09-12[32] 160
Developer Toolset 2.0[34] i386, x86-64 6.4 [35] 2013-09-12[34]
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アーキテクチャ

CentOSは8ではx86-64POWER8 LE、AArch64のアーキテクチャをサポートする。7ではx86-64アーキテクチャしかサポートしない。ただしIA-32をサポートしたCentOS 6は依然サポートの対象内である[28](6は2020年11月末でもってサポート終了とアナウンスされた)。

以下は現在、サポートされていない:

派生品

CentOS/RHEL派生

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Red Hat 系統樹

CentOS/RHEL派生版一覧に掲載され、パッケージ管理等が同様のもの

さらに見る 配布版, 説明 ...
配布版説明
AlmaLinux CloudLinux OSの開発元であるCloudLinux Inc.により支援されたコミュニティによるCentOS代替。
Asianux アジア5ヵ国の企業が共同開発。Red Hat Enterprise Linux派生。前身はMIRACLE LINUXRed Flag Linux英語版Haansoft Linux(韓国製)。開発終了。
ClearOS英語版 スモールビジネス向けのサーバーOS。ファイル、印刷、メッセージング、VPNサーバーやUTMの機能を有す。
Fermi Linux LTS Scientific Linuxの前身。フェルミ国立加速器研究所の研究施設に特有のソフトウェアを追加[37]
MIRACLE LINUX サイバートラストが提供する無償かつ日本製のCentOS代替。
Oracle Linux OracleがOracle製品に最適化したUnbreakable Enterprise Kernel(UEK)を採用。
Red Flag Linux英語版 紅旗Linuxを参照。中国製。Asianuxへと移行。
Rocks Cluster Distribution英語版 コンピュータ・クラスター向け。現在はCentOSベースである。
Rocky Linux CentOS創設者の一人であるGregory Kurtzer氏が立ち上げたコミュニティによるCentOS代替。
Scientific Linux Fermi Linuxの後継。Red Hat Enterprise Linuxのクローン。
SME Server英語版 CentOSから派生。
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その他

  • NuOnce Networks CentOS / BlueQuartz CD
  • BlueOnyx
  • Openfiler
  • Trixbox, a PBX solution
  • XenEnterprise
  • PBX in a Flash
  • FreePBX Distro

脚注

外部リンク

関連項目

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