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オリンピックの陸上競技種目 ウィキペディアから
2020年東京オリンピックの陸上競技・女子100m(2020ねんとうきょうオリンピックのりくじょうきょうぎ・じょし100メートル)は、2021年7月30日から7月31日にかけて、東京の国立競技場で開催された[1]。前回覇者のエレイン・トンプソン=ヘラが今大会でも優勝し、オリンピック新記録を樹立した[2]。トンプソン=ヘラにとっては生涯3個目のオリンピック金メダルである[3]。前回の銅メダリストで2008年と2012年の勝者であるシェリー=アン・フレーザー=プライスが銀メダルを獲得した。銅メダルはシェリカ・ジャクソンが勝ち取り、ジャマイカが表彰台を独占した[2]。
女子100mは1928年大会で導入されて以来、22回目の開催となった。
2021年5月初旬、2度のオリンピック・チャンピオン・シェリー=アン・フレーザー=プライスは、「私のキャリアはまだ終わっていない」と宣言した。初の金メダルから13年、フレーザー=プライスは自己記録を更新してきただけでなく、歴代2位の10秒63をマークしてきた。ジャマイカのオリンピック選考会では3位で、何とか出場権を得た。アメリカの選考会では、シャカリ・リチャードソンが歴代6位に匹敵する10秒72で走り、出場権を獲得したかに見えたが、ドーピング検査の結果、大麻(マリファナ)の陽性反応が出たため、失格となった。(リチャードソンがマリファナを使用したオレゴン州では合法化されているが、陸上競技の規定では禁止薬物に含まれる[4]。)日本の女子選手は短距離種目での代表選出がなかった[5]。
予選ではマリー・ジョゼ・タ・ルーがアフリカ新記録となる10秒78でトップ通過した。準決勝ではフレーザー=プライスが10秒73でトンプソン=ヘラをかわした。タ・ルーとジャマイカのシェリカ・ジャクソンも10秒8を切って決勝進出を決めた。ダリル・ネイタは10秒992で決勝に駒を進め、ミシェル=リー・アイは10秒993で決勝を逃した[6]。
フレーザー=プライスはスタートの良さで知られ、決勝でもうまくいったが、トンプソン=ヘラも追随した。30メートル付近でトンプソン=ヘラがリードし、ジャクソンとタ・ルーが銅メダル争いを繰り広げた。そこからトンプソン=ヘラはフレーザー=プライスを引き離していき、ジャクソンがタ・ルーを離し、フレーザー=プライスを追走した。トンプソン=ヘラはゴールラインを切るころには2位以下に大きな差を付けており、タイム表示板やカメラマンを指さす余裕を見せた[2]。記録10秒61は快勝だっただけでなく、自己新記録を0秒09更新し、フローレンス・グリフィス=ジョイナーが1988年大会でマークしたオリンピック記録を塗り替え、ジョイナーの2番目に良い記録に並んだ[7]。2位のフレーザー=プライスと3位のジャクソンは0秒02差で、ほぼ同時にゴールした[2]。4位入賞のタ・ルーはジャマイカトリオから0秒15離されてゴールした。
トンプソン=ヘラは、ワイオミア・タイアス、ゲイル・ディバース、フレーザー=プライスに次ぐ100mの2大会連続制覇を成し遂げた。フレーザー=プライスはこの種目で金・銀・銅のすべてのメダルを獲得し、マリーン・オッティのメダル獲得数に並んだが、オッティは金メダルを獲得したことはない。
各国内オリンピック委員会(NOC)は参加標準記録を突破するか、期間内に国際陸連ランキングで上位に入った選手を3人エントリーすることができる。(3人の制限は1930年のオリンピックコングレス以来継続している。)参加標準記録は11秒15であった。国際陸連ランキングは各人のベスト5の記録を平均したものを基礎として、各大会の重要度で重み付けして算出したもので、56人はこのランキングに基づき選出された。参加標準記録は、ランキングでの出場権を獲得できなかった選手に参加資格を与えるために設定されたものである。[8][9]
選手選考の対象となる期間は当初、2019年5月1日から2020年6月29日までであった。新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受け、対象となる選考会が2020年4月6日から11月30日まで中断し、選考期間は2021年6月29日まで延長された。選考期間外でも直近のエリア選手権大会はランキングに反映されうる。記録は屋外で測定されたもののみ有効である。[8][10]
各NOCは陸上競技の参加標準記録を突破する選手が誰もいない場合、いずれかの種目に男女1人に限ってエントリーすることが可能である[8]。
開催形式は、2012年に導入された予備予選と3段階の本戦(予選・準決勝・決勝)の形式を踏襲する。参加標準記録を突破せずにエントリーされた選手は予備予選から、参加標準記録を突破してエントリーされた選手は予選から出場する[11]。
今大会前の各種記録は次の通りである。
WR 世界記録 | AR エリア記録 | CR 選手権記録 | GR 大会記録 | NR 国家記録 | OR オリンピック記録 | PB 自己ベスト | SB シーズンベスト | WL 世界最高(当該シーズン中)
区分 | 選手 | 記録 | 会場 | 日付 |
世界記録 | フローレンス・グリフィス=ジョイナー (USA) | 10.49 | アメリカ合衆国インディアナポリス | 1988年7月16日 |
オリンピック記録 | 10.62 | 韓国ソウル | 1988年9月24日 |
エリア | 記録 | 風 | 選手 | 国籍 |
---|---|---|---|---|
アフリカ | 10.78 | +1.6m | ミュリエル・アウレ | コートジボワール |
アジア | 10.79 | +0.0 | 李雪梅 | 中国 |
ヨーロッパ | 10.73 | +2.0 | クリスティーン・アーロン | フランス |
北中米カリブ | 10.49 WR | +0.0 | フローレンス・グリフィス=ジョイナー | アメリカ |
オセアニア | 11.11 | +1.9 | メリッサ・ブリーン | オーストラリア |
11.11 | +0.0 | デニス・ロバートソン=ボイド | オーストラリア | |
南アメリカ | 10.91 | -0.2 | ロサンジェラ・サントス | ブラジル |
今大会で以下の記録が更新された。
エレイン・トンプソン=ヘラがフローレンス・グリフィス=ジョイナーが1988年にマークしたオリンピック記録を0秒01更新した。この記録はボブ・ビーモンが1968年に走幅跳でマークしたオリンピック記録に次ぐ、長年更新されていない記録であった。
このほか、以下の国家記録が樹立された。
2日間にわたって開催された[1]。
日付 | 時刻 | ラウンド |
---|---|---|
2021年7月30日(金) | 9:00 19:00 | 予備予選 予選 |
2021年7月31日(土) | 19:00 21:50 | 準決勝 決勝 |
WR 世界記録 | AR エリア記録 | CR 選手権記録 | GR 大会記録 | NR 国家記録 | OR オリンピック記録 | PB 自己ベスト | SB シーズンベスト | WL 世界最高(当該シーズン中)| Q 順位による通過 | q 記録による通過 | DNS 棄権
予備予選は参加標準記録を突破していない選手が出場し、参加標準記録を突破している選手は予選から出場した。各組上位3人(Q)と最も記録が良い選手(q)が予選に進出した。
順位 | レーン | 選手 | 国籍 | 反応時間 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | ナターシャ・ヌゴイエ | コンゴ共和国 | 0.124 | 11.47 | Q, SB |
2 | 8 | マギー・バーリー | シエラレオネ | 0.142 | 11.53 | Q, SB |
3 | 5 | アミヤ・クラーク | セントクリストファー・ネイビス | 0.155 | 11.67 | Q |
4 | 9 | ジェネブー・ダンテ | マリ | 0.169 | 12.12 | SB |
5 | 1 | ハデル・アブド | リビア | 0.126 | 12.70 | PB |
6 | 2 | バシャー・オバイド・マナリ | カタール | 0.142 | 13.12 | PB |
7 | 7 | カミア・ユースフィ | アフガニスタン | 0.157 | 13.29 | NR |
8 | 3 | アルバ・ムボ・ンチャマ | 赤道ギニア | 0.148 | 13.36 | PB |
9 | 4 | アメド・エルナ | コモロ | 0.161 | 14.30 | PB |
風速:+0.3 m/s |
順位 | レーン | 選手 | 国籍 | 反応時間 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | ファシヒ・ファルザネヘ | イラン | 0.142 | 11.76 | Q |
2 | 8 | アズレーン・ナビラ・アリアス | マレーシア | 0.168 | 11.77 | Q, PB |
3 | 4 | ムダウィ・シャマリ | クウェート | 0.167 | 11.82 | Q |
4 | 5 | レジーン・テゥガデ | グアム | 0.135 | 12.17 | SB |
5 | 7 | シャルロット・アフリア | モナコ | 0.131 | 12.35 | |
6 | 9 | シリーナ・パ・アファイ | ラオス | 0.170 | 12.41 | SB |
7 | 6 | 謝喜恩 | チャイニーズタイペイ | 0.171 | 12.49 | PB |
8 | 2 | サルスワティ・チョーダリ | ネパール | 0.158 | 12.91 | SB |
9 | 1 | ヤスミーン・ダバグ | サウジアラビア | 0.153 | 13.34 | |
風速: +0.5 m/s |
順位 | レーン | 選手 | 国籍 | 反応時間 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9 | ジョエラ・ロイド | アンティグア・バーブーダ | 0.179 | 11.55 | Q |
2 | 5 | アシメニエ・シムワカ | マラウイ | 0.164 | 11.76 | Q, NR |
3 | 7 | アルプヒナ・テフペイオリ | インドネシア | 0.194 | 11.89 | Q, SB |
4 | 1 | カーラ・シクルーナ | マルタ | 0.152 | 12.11 | q |
5 | 4 | ハンナ・バラカト | パレスチナ | 0.164 | 12.16 | NR |
6 | 8 | マズーン・アラウィ | オマーン | 0.191 | 12.35 | |
7 | 3 | アイサタ・デン・コンテ | ギニア | 0.157 | 12.43 | PB |
8 | 6 | マティ・スタンリー | ツバル | 0.159 | 14.52 | PB |
9 | 2 | フーリー・バ | モーリタニア | 0.147 | 15.26 | PB |
風速: +0.8 m/s |
各組上位3人(Q)と記録上位3人(q)が準決勝に進出した。
順位 | レーン | 選手 | 国籍 | 反応時間 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | エレイン・トンプソン=ヘラ | ジャマイカ | 0.158 | 10.82 | Q |
2 | 5 | ムジンガ・カンブンジ | スイス | 0.111 | 10.95 | Q, NR |
3 | 6 | タチアナ・ピント | ドイツ | 0.164 | 11.16 | Q |
4 | 4 | カミカ・ビンガム | カナダ | 0.156 | 11.21 | q |
5 | 3 | ロサンジェラ・サントス | ブラジル | 0.180 | 11.33 | SB |
6 | 9 | ケリー=アン・バプティステ | トリニダード・トバゴ | 0.150 | 11.48 | |
7 | 8 | ビットリア・フォンタナ | イタリア | 0.149 | 11.53 | |
8 | 2 | アルプヒナ・テフペイオリ | インドネシア | 0.189 | 11.92 | |
風速: +0.1 m/s |
順位 | レーン | 選手 | 国籍 | 反応時間 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | ブレッシング・オカグバレ | ナイジェリア | 0.147 | 11.05 | Q |
2 | 5 | アシャ・フィリップ | イギリス | 0.110 | 11.31 | Q |
3 | 6 | タイニア・ゲイサー | バハマ | 0.141 | 11.34 | Q |
4 | 9 | クリスツィナ・ツィマノウスカヤ | ベラルーシ | 0.149 | 11.47 | |
5 | 8 | マリア・イサベル・ペレス | スペイン | 0.151 | 11.51 | |
6 | 3 | ナターシャ・ヌゴイエ | コンゴ共和国 | 0.137 | 11.52 | |
7 | 2 | アズレーン・ナビラ・アリアス | マレーシア | 0.173 | 11.91 | |
風速: -0.1 m/s |
順位 | レーン | 選手 | 国籍 | 反応時間 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | ミシェル=リー・アイ | トリニダード・トバゴ | 0.123 | 11.06 | Q |
2 | 5 | シェリカ・ジャクソン | ジャマイカ | 0.170 | 11.07 | Q |
3 | 7 | ジェンナ・プランディーニ | アメリカ合衆国 | 0.148 | 11.11 | Q, SB |
4 | 8 | ディアナ・バイスマン | イスラエル | 0.132 | 11.27 | SB |
5 | 4 | ハナ・ベーシック | オーストラリア | 0.147 | 11.32 | |
6 | 2 | 韋永麗 | 中国 | 0.174 | 11.48 | SB |
7 | 9 | ジャスミン・エイブラムス | ガイアナ | 0.148 | 11.49 | |
8 | 3 | ムダウィ・シャマリ | クウェート | 0.167 | 11.81 | |
風速: -0.2 m/s |
各組上位2人(Q)と記録上位2人(q)が決勝に進出した。
風速:-0.6 m/s
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