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2020年東京オリンピックのスポーツクライミング競技[1](2020ねんとうきょうオリンピックのスポーツクライミングきょうぎ)は、国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が管轄し、2020年東京オリンピックにおいて実施された追加種目スポーツクライミングである。なお、オリンピックのスポーツクライミング競技が実施されるのはこの大会が初めてである[2][3]。
2020年東京オリンピック スポーツクライミング競技 | |
会場 | 青海アーバンスポーツパーク |
---|---|
開催日 | 2021年8月3日-8月6日 |
参加選手数 | 19か国 40人 |
2024 » |
大会は江東区にある青海アーバンスポーツパークで複合(スピード・ボルダリング・リード)男女、計2種目が実施される。男女20名ずつ40名が出場する。出場選手は2019年世界選手権とオリンピック予選、大陸選手権の成績及び招待により選ばれる。男女ともに1カ国最大2名まで出場できるが、開催国日本は最低1名ずつの出場が保証されている(実際には招待選手が選出されなかったため、世界選手権の成績により追加の出場選手が選出された)[4]。
なお、スポーツクライミング競技は2024年パリオリンピックでも追加種目として実施される予定であるが、スピード種目が独立して行われることとなったため、スピード・ボルダリング・リードの3つによる複合種目として行われるのは今回限りとなる。
選考大会では、1つの国は、本大会に出場可能な2名を超えて出場枠を獲得できるため、出場枠を獲得した選手の中から誰を本大会に派遣するかは国内競技連盟(NF)・国内オリンピック委員会が選考できると認識されており[5]、日本のNFである日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)では、2019年世界選手権(英語版)の国内最上位選手を男女1人目のJOC推薦選手とし、2人目は選考大会(世界選手権、オリンピック予選、大陸選手権)のいずれかで出場枠を獲得した選手の中から、2020年コンバインド・ジャパンカップの成績により、決定するとしていた[6]。
最初の選考大会である2019年8月の世界選手権(八王子市エスフォルタアリーナ)の上位7名(ただし1カ国2名まで)[7][8]の選手が出場枠を獲得するとされたため、男女4人ずつが7位以内に入賞した日本からは、男子の楢﨑智亜(優勝)、原田海(4位)、女子の野口啓代(2位)、野中生萌(5位)が出場枠を獲得し、JMSCAの選考基準により国内最上位選手である楢﨑と野口のみがJOC推薦選手として確定した。前述の4名を除く日本選手は、オリンピック予選と大陸選手権を通じて、出場枠獲得を目指すこととなった。
しかし、IFSCは2019年10月に解釈を変更し、選考大会にて出場枠を獲得できる選手は1カ国男女2名ずつまでとされたため、JMSCAの3名以上の出場枠獲得選手の存在を前提とした選考基準が適用できない事態となり、11月1日にJMSCAが解釈変更の取り消しを求めて、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したことを発表するに至った[9][10][11]。11月から12月にかけて、フランスのトゥールーズで開催されたオリンピック予選[12][13]では、男子の藤井快(1位)、楢﨑明智(3位)、女子の伊藤ふたば(1位)、森秋彩(5位)がいずれも出場枠獲得圏内(上位6名(ただし1カ国2名まで))に入ったが[14][15]、IFSCが公表する2020年4月30日現在の本大会出場選手リスト[16]では、日本からは楢﨑智、野口の他に、原田、野中が掲載されており、日本代表選手は世界選手権の成績のみにより選出された状態となっていた。
2020年12月、JMSCAは上述のJMSCAの選考基準に基づき代表選考を行う請求が、CASにより棄却されたことを公表するとともに、IFSCの選考基準解釈に従い、2019年世界選手権で7位以内に入った日本人選手男女の上位2名の選手である楢﨑智、原田、野口、野中をJOCへの推薦選手とすることを発表した[17][18]。
Standard | Places | Men's | Women's |
---|---|---|---|
2019年世界選手権[7][8] (開催国枠を含む) |
7+1 | 1. 楢﨑智亜 (JPN) 2. ヤコプ・シューベルト (AUT) 3. Rishat Khaibullin (KAZ) 4. 原田海 (JPN) 7. ミケル・マウェム (FRA) 8. Alexander Megos (GER) 9. Ludovico Fossali (ITA) 10. Sean McColl (CAN) |
1. ヤンヤ・ガンブレット (SLO) 2. 野口啓代 (JPN)[19] 3. Shauna Coxsey (GBR) 4. アレクサンドラ・ミロスワフ (POL) 5. 野中生萌 (JPN) 8. Petra Klingler (SUI) 9. ブルック・ラバトゥ (USA) 10. ジェシカ・ピルツ (AUT) |
オリンピック予選 [12][13][20][21] |
6 | 2. アダム・オンドラ (CZE) 4. バサ・マウェム (FRA) 5. ヤン・ホイヤー (GER) 6. Pan Yufei (CHN) 7. アルベルト・ヒネス・ロペス (ESP) 8. ナサニエル・コールマン (USA) |
2. Julia Chanourdie (FRA) 3. Mia Krampl (SLO) 6. Iuliia Kaplina (ROC) 7. Kyra Condie (USA) 8. Laura Rogora (ITA) 9. Song Yiling (CHN) |
大陸選手権(アメリカ) | 1 | コリン・ダフィー (USA) | Alannah Yip (CAN) |
大陸選手権(アフリカ) | 1 | Christopher Cosser (RSA) | Erin Sterkenburg (RSA) |
大陸選手権(ヨーロッパ) | 1 | Alexey Rubtsov (ROC) | Viktoriia Meshkova (ROC) |
大陸選手権(オセアニア) | 1 | Tom O'Halloran (AUS) | Oceana Mackenzie (AUS) |
大陸選手権(アジア) | 1‡ | 20. Chon Jong-won (KOR) | 13. ソ・チェヒョン (KOR) |
第三者委員会招待枠 | 0‡ | — | — |
再配分 | 1‡ | 14. Michael Piccolruaz (ITA)[22] | 11. アヌク・ジョベール (FRA)[22] |
Total | 20 |
予 | 予選 | 決 | 決勝 |
種目\日時 | 8月3日 | 8月4日 | 8月5日 | 8月6日 |
男子複合 | 予 | 決 | ||
女子複合 | 予 | 決 |
複合種目はスピード、ボルダリング、リードの各種目の順位の積により順位を決定する。予選の上位8名が決勝に進出する。予選のスコアは決勝には持ち越されない。スピード種目は高さ15メートルの壁を登る速さを競う。予選では競技を2回ずつ行い良かった方のタイムにより順位が決まる。決勝では1対1の対戦によるトーナメント形式で1位から8位の順位をつける。ボルダリング種目は高さ4メートル程の課題の壁(予選:4つ、本戦:3つ)を、課題ごとの制限時間(予選:5分、本戦:4分)内にいくつ登れるかを競う。順位は頂上まで登ることができた課題の数や半分(ゾーン)まで登ることができた課題の数などにより決定される。リード種目は制限時間内に高さ15メートル以上の壁のどの地点まで登れるかを競う。一度しか挑戦できないため、落下した場合はその時点で競技終了となる。
原田海は予選で18位となり、決勝進出はならなかった。
スピード種目のオリンピック記録は予選でミケル・マウェム(フランス)が記録した5.45秒[25]。
順位 | 選手 | 国 | スピード[26][27] | ボルダリング[28] | リード[29] | 合計[30] | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1回戦 | 2回戦 | 3回戦 | CP | 1 | 2 | 3 | スコア | CP | HR | CP | |||||||
R | T | R | T | R | T | ||||||||||||
アルベルト・ヒネス・ロペス | スペイン | 2 | W | 7 | 6.56 | 12 | 6.42 | 1 | z1 | z7 | z1 | 0T3z 0 9 | 7 | 38+ | 4 | 28 | |
ナサニエル・コールマン | アメリカ合衆国 | 4 | 6.45 | 6 | 6.21 | 10 | Fall | 6 | T1z1 | T3z2 | z1 | 2T3z 4 4 | 1 | 34+ | 5 | 30 | |
ヤコプ・シューベルト | オーストリア | 3 | 9.18 | 6 | 6.76 | 9 | W | 7 | T1z1 | z5 | z1 | 1T3z 1 7 | 5 | Top | 1 | 35 | |
4 | 楢﨑智亜 | 日本 | 3 | 6.11 | 8 | 6.02 | 12 | 7.82 | 2 | T1z1 | z3 | z1 | 1T3z 1 5 | 3[b] | 33+ | 6 | 36 |
5 | ミケル・マウェム | フランス | 4 | 6.36 | 8 | 7.05 | 11 | 6.47 | 3 | T1z1 | z1 | z1 | 1T3z 1 3 | 2 | 23+ | 7 | 42 |
6 | アダム・オンドラ | チェコ | 1 | 7.44 | 7 | 7.03 | 11 | 6.86 | 4 | T2z1 | – | z1 | 1T2z 2 2 | 6 | 42+ | 2 | 48 |
7 | コリン・ダフィー | アメリカ合衆国 | 2 | FS | 5 | W | 10 | 6.35 | 5 | T1z1 | z3 | z1 | 1T3z 1 5 | 4[b] | 40 | 3 | 60 |
8 | バサ・マウェム[a] | フランス | 1 | DNS | 5 | DNS | 9 | DNS | 8 | – | – | – | DNS | 8 | DNS | 8 | 512 |
野口啓代は合計成績でアレクサンドラ・ミロスワフと並んだが、3種目のうちボルダリングとリードの2種目でミロスワフを上回ったため、上位(3位)となった。
順位 | 選手 | 国 | スピード[31] | ボルダリング[32] | リード[33] | 合計[34] | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1回戦 | 2回戦 | 3回戦 | CP | 1 | 2 | 3 | スコア | CP | HR | CP | |||||||
R | T | R | T | R | T | ||||||||||||
ヤンヤ・ガルンブレト | スロベニア | 3 | 8.49 | 6 | 8.67 | 10 | 7.81 | 5 | T4z1 | T1z1 | z1 | 2T3z 5 3 | 1 | 37+ | 1 | 5 | |
野中生萌 | 日本 | 4 | 8.19 | 8 | 7.76 | 11 | 7.99 | 3 | – | z4 | z1 | 0T2z 0 5 | 3 | 21 | 5 | 45 | |
野口啓代 | 日本 | 2 | 8.55 | 7 | Fall | 11 | 8.42 | 4 | z5 | z2 | – | 0T2z 0 7 | 4 | 29+ | 4 | 64[c] | |
4 | アレクサンドラ・ミロスワフ | ポーランド | 1 | 7.49 | 7 | 7.03 | 12 | 6.84 WR | 1 | – | – | – | 0T0z 0 0 | 8[b] | 9+ | 8 | 64[c] |
5 | ブルック・ラバトゥ | アメリカ合衆国 | 4 | Fall | 6 | 8.77 | 9 | 9.06 | 7 | z5 | z3 | z2 | 0T3z 0 10 | 2 | 20+ | 6 | 84[c] |
6 | アヌク・ジョベール | フランス | 3 | 7.40 | 8 | 7.51 | 12 | 8.84 | 2 | z2 | – | – | 0T1z 0 2 | 6 | 13+ | 7 | 84[c] |
7 | ジェシカ・ピルツ | オーストリア | 2 | 8.89 | 5 | 8.77 | 10 | 8.43 | 6 | z7 | z3 | – | 0T2z 0 10 | 5 | 34+ | 3 | 90 |
8 | ソ・チェヒョン | 韓国 | 1 | 10.64 | 5 | 12.85 | 9 | 9.85 | 8 | – | – | – | 0T0z 0 0 | 7[b] | 35+ | 2 | 112 |
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