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高い城の男 (テレビドラマ)
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『高い城の男』(たかいしろのおとこ、The Man in the High Castle)は、フィリップ・K・ディックの同名の歴史改変SF小説『高い城の男』を原作としたAmazon.comのテレビドラマである。
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概要
歴史改変SFであり、第二次世界大戦で連合国がナチス・ドイツと大日本帝国に敗れた1960年代のアメリカが舞台となっている。ただし設定や人物名など多くがフィリップ・K・ディックの原作とは異なり、原作にない内容が大幅に追加されている。
第二次世界大戦でアメリカは首都ワシントンD.C.に原爆を投下され敗戦し、ドイツと日本により分割統治され、国土の東側半分は世界的な大ナチス帝国の一部となり、西岸四分の一ほどは日本太平洋合衆国として日本により統治され、両国の中間には中立地帯がおかれている。世界の大半はドイツと日本に支配されており、両国は表向きは同盟国で友好関係であるものの、日本はドイツの技術力・軍事力に圧倒されドイツから軽視されつつあり、両国は陰では敵対関係に入っている。東側ではドイツの親衛隊により、西側では日本の憲兵隊により、アメリカの人々の人権は抑圧され、両国に抗するレジスタンス運動がひそかに広がっている。西側のサンフランシスコ、東側のニューヨーク、および中立地帯を主な舞台とし、体制を転覆させようとする、あるいは守ろうとするアメリカ人、日本人、ドイツ人たちによる群像劇である。「高い城の男」と呼ばれる謎の人物が自分たちの歴史とは全く異なる現実を撮影した謎のフィルム「イナゴ身重く横たわる」がひそかに出回り、アドルフ・ヒトラーがそれを大ナチス帝国に対する深刻な脅威と判断したことで、フィルムを巡る争いが人々を巻き込む。
シーズン1の10話が Amazonビデオ で2015年11月20日から配信され[1][2][3]、シーズン2の10話が2016年12月15日に配信された。2017年1月3日には、シーズン3の制作が発表され[4] て、2018年10月5日に公開された。最終となるシーズン4は2019年11月15日に配信された[5][6]。
日本では、2016年12月13日にシーズン1が、2017年1月27日にはシーズン2がどちらも遅れて公開され、2018年10月5日にはシーズン3が、2019年11月15日には最終シーズン4が全世界と同時に配信された。
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キャスト
メイン
- ジュリアナ・クレイン
- 演 - アレクサ・ダヴァロス (Alexa Davalos) / 日本語吹替 - 山賀晴代
- フランク・フリンク
- 演 - ルパート・エヴァンス (Rupert Evans) / 日本語吹替 - 佐藤美一
- ジュリアナと同棲するボーイフレンドでユダヤ人の血を引く白人男性。宝飾品加工の確かな腕を持つが、抑圧下のアメリカでは宝飾品は贅沢品として作ることが許されず、不本意ながらせめて金属加工の技術を活かして模造銃工場で働いている。ジュリアナとの平穏な生活を望んでいたがフィルムを巡る争いに否応なく巻き込まれてゆく。姉家族を憲兵隊に殺されてレジスタンスに入り、テロ事件を起こす。自らも火傷を負って中立地帯のユダヤ人共同体に身を隠す。(シーズン1-3)
- 演 - ルパート・エヴァンス (Rupert Evans) / 日本語吹替 - 佐藤美一
- エド・マッカーシー
- 木戸武
- 演 - ジョエル・デ・ラ・フエンテ (Joel de la Fuente) / 日本語吹替 - 矢崎文也
- 田上信輔(英語版ではNobusuke Tagomi)
- 演 - ケイリー=ヒロユキ・タガワ (Cary-Hiroyuki Tagawa) / 日本語吹替 - 松永英晃
- 日本太平洋合衆国の貿易担当大臣。思慮深く、皇太子妃からの信頼も厚い。易占いを好む。平和主義者で、核抑止力によって戦争を回避するためにナチスの原爆技術を日本にもたらそうとウェゲナーと共に秘密裏に活動する。民族主義者ではなく、人種偏見が少なく、白人であるジュリアナにも敬意を持って接する。妻子とは死別している。並行世界の一つではジュリアナと縁があり、彼女には特別な庇護を与える。(シーズン1-3)
- 演 - ケイリー=ヒロユキ・タガワ (Cary-Hiroyuki Tagawa) / 日本語吹替 - 松永英晃
- ロバート・チルダン
- 演 - ブレナン・ブラウン (Brennan Brown) / 日本語吹替 -
- サンフランシスコのアメリカン芸術工芸品商会店主。骨董品を取り扱っており、主な顧客は支配層となった裕福な日本人である。骨董的な銃器も扱っており、販売を禁じられている実弾をフランクにこっそり販売したが、それをネタにフランクから脅されてしまい、贋作骨董品の製造販売で手を組む。
- 演 - ブレナン・ブラウン (Brennan Brown) / 日本語吹替 -
- ジョン・スミス
- 演 - ルーファス・シーウェル (Rufus Sewell) / 日本語吹替 - 木下浩之
- ニューヨークの親衛隊本部に勤務する大ナチス帝国の親衛隊大将。旧アメリカ合衆国出身で、かつてはアメリカ陸軍に所属しており、南太平洋ソロモン諸島で激戦を経験した。合衆国陸軍では大尉で、大将まで上り詰めた人物で、1945年のワシントンへの原爆投下の際には近郊の自宅から閃光とキノコ雲を目撃した。ジョーを使いフィルムの調査と回収にあたる。高い戦闘能力を持っており、またナチス内部の陰謀を敏感に察知する嗅覚や用心深さも備えている。郊外の邸宅に妻と子供たちと暮らし家族思いである。ナチスというのは強者ばかりを称賛し、病者や身体障害者など弱者に対しては冷酷で弱者を抹殺しようとする組織であり、自分もその思想に染まりそのナチスに献身しているのだが、ある日自分の息子が不治の難病にかかっていると医師から告げられ、ナチスから抹殺対象と見なされる弱者となってゆく運命にあると知り、深く思い悩む。第3シーズンでは上級大将、さらには北アメリカ国家元帥に昇進する。第4シーズンではベルリンでウィルヘルム・ゴーツマンと共にクーデターを起こし、北アメリカを大ナチス帝国から独立させた。その後北米帝国総統、北米帝国全国指導者。
- 演 - ルーファス・シーウェル (Rufus Sewell) / 日本語吹替 - 木下浩之
- ジョー・ブレイク (ヨーゼフ・ホイスマン)
- 演 - ルーク・クラインタンク (Luke Kleintank) / 日本語吹替 - 川島得愛
- 大ナチス帝国のスパイでジョン・スミス大将の指揮下で動く。任務でレジスタンスに潜入し、キャノンシティにフィルムを輸送したことからジュリアナと行動を共にし好意を抱く。任務の範疇を超え「イナゴ身重く横たわる」の内容に興味を抱く。実はナチス政権の有力者の息子でレーベンスボルン。父の失脚後はナチスの暗殺者となる。(シーズン1-3)
- 演 - ルーク・クラインタンク (Luke Kleintank) / 日本語吹替 - 川島得愛
- ゲイリー・コーネル
- 演 - カラム・キース・レニー (Callum Keith Rennie) / 日本語吹替 -
- 西海岸のレジスタンスのリーダー (シーズン2)
- 演 - カラム・キース・レニー (Callum Keith Rennie) / 日本語吹替 -
- ニコール・ドーマー
- 演 - ベラ・ヒースコート (Bella Heathcote) / 日本語吹替 -
- ベルリンの映画製作者。父親は政権の実力者。 (シーズン2-3)
- 演 - ベラ・ヒースコート (Bella Heathcote) / 日本語吹替 -
- ワイアット・プライス
- 演 - ジェイソン・オマラ (Jason O'Mara) / 日本語吹替 - 高木章裕
- 麻薬を含む密輸業者 (シーズン3-4)
- 演 - ジェイソン・オマラ (Jason O'Mara) / 日本語吹替 - 高木章裕
- ヘレン・スミス
- 演 - チェラー・ホースダル (Chelah Horsdal)
- ジョン・スミス大将の妻 (シーズン3-4メイン)
- 演 - チェラー・ホースダル (Chelah Horsdal)
- マーク・サンプソン
- 演 - マイケル・ガストン (Michael Gaston)
- フランクの友人でユダヤ人(シーズン3でメイン)
- 演 - マイケル・ガストン (Michael Gaston)
その他
サンフランシスコ
日本人
- ポール・梶浦 (英語版ではKasoura) - ルイ・オザワ -裕福なサンフランシスコ在住日本人。チルダンの顧客。ヤクザともつながる弁護士。(シーズン1)
- ベティ・梶浦 (英語版ではKasoura) - TAO/日本語吹替 - 松浦裕美子 - ポールの妻 (シーズン1)
- 小野田秀久 - ツィ・マー - 日本陸軍の将軍。階級は大将。サンフランシスコに乗り込み原爆製造を推進する。 (シーズン2)
- 猪口提督(英語表記はInokuchi) - 尾崎英二郎 - 大日本海軍提督。平和的姿勢を持ち皇太子妃の指示の下で和平交渉を行う。 (シーズン3-4)
- 琴道 - アーノルド・クーン - 田上の側近。スーツの下に熱傷のケロイドを隠している。長崎出身の"旅人"。
- 吉田 - Lee Shorten - 憲兵隊の私服捜査員で木戸の右腕。階級は巡査部長。(英語版では"sergeant")(シーズン1-2)
- 中村 - アキー・コタベ - 木戸の部下。ハワイ出身で日本人と白人の混血(ハパ) (シーズン3)
- 木戸徹 - セン・ミツジ - 木戸の息子 (シーズン4)
- 矢守将軍 - Bruce Locke - 木戸の上司 (シーズン4)
- 皇太子 - 辻大介 - 大日本帝国の皇太子。サンフランシスコでの演説中、何者かによる狙撃を受け重傷を負う。(シーズン1)
- 皇太子妃 - 吉田真由美 - シーズン4では単独で日本太平洋合衆国に来て密かに平和交渉を主導する。 (シーズン1,4)
- ミチコ - 小松ゆかり- 田上の妻 (シーズン2)
- 紀明 - エディ・シン - 田上の息子 (シーズン2)
- タイシ・オカムラ - ヒロ・カナガワ - ヤクザの親分 (シーズン2)
- 大神 - Michael Hagiwara - オカムラに代わるヤクザの親分 (シーズン3,4)
- タミコ・ワタナベ - タムリン・トミタ - 沖縄出身でハワイから来た女性 (シーズン3-4)
- ユキコ - Chika Kanamoto - チルダンの助手 (シーズン4)
- 昭和天皇-太平洋合衆国撤退の際のテレビに出演する。(シーズン4)
アメリカ人
- ウインダム=マトスン - ジャック・ケーラー / 日本語吹替 - 宮崎敦吉 - フランクの働く工場の社長 (シーズン1)
- ローラ - クリスティン・シャトレイン/日本語吹替 - 松浦裕美子 - フランクの姉 (シーズン1)
- アーノルド・ウォーカー - ダニエル・ローバック - ジュリアナの母の再婚相手。家族には郵便局勤務と偽り、政府の盗聴部門で働く。(シーズン1-2)
- アン・クレイン・ウォーカー - Macall Gordon - ジュリアナの母 (シーズン1-2)
- トゥルーディ・クレイン - コナー・レスリー/日本語吹替 - 松浦裕美子 - ジュリアナの妹。レジスタンスの一員で憲兵隊に射殺される。死の直前にフィルムをジュリアナに託す。(シーズン1-3)
- ケイト・オーウェンズ - シャノン・デイ - レジスタンスの一員。夫は以前活動中に殺害されている。 (シーズン1-2)
- カレン - カミール・サリヴァン - レジスタンスの一員 (シーズン1-2)
- ランドール - ハンク・ハリス - レジスタンスの一員 (シーズン1-2)
- ヘーガン - Michael Hogan - レジスタンスの一員 (シーズン2-3)
- サラ - Cara Mitsuko - 日系人のレジスタンス 。戦時中は強制収容所に入れられていた。(シーズン2)
- ベル・マロリー - Frances Turner - BCR (黒人共産反乱軍)の一員 (シーズン4)
- イライジャ - Clé Bennett - BCRの一員 (シーズン4)
- エクイアーノ・ハンプトン - デヴィッド・ヘアウッド - BCRの指導者 (シーズン4)
- マイク・ボルデン-旧アメリカ合衆国陸軍大佐。第二次世界大戦でスミスやウィットクロフト等の上官だった。国防軍に務めるが、帝国に疑念を持つようになり、これの証拠音声がフーバーによってスミスとウィットクロフトに報告されたが黙認される。(シーズン4)
- ダニエル・レヴァイン-旧アメリカ合衆国陸軍人。ユダヤ人。スミス、ウィットクロフトの戦友。ナチスのアメリカ占領後、ユダヤ人のため逮捕される。アメリカが第二次世界大戦で勝った世界線ではスミスと家族ぐるみの付き合いをしている。(シーズン4)
ニューヨーク
- トーマス・スミス - クイン・ロード - ジョン・スミスの長男。法律で安楽死の対象となっている不治の難病に罹患していることが明らかになる。
- ジェニファー・スミス - Genea Charpentier - ジョン・スミスの長女
- エイミー・スミス - Gracyn Shinyei - ジョン・スミスの次女
- ジョー・ディクソン - テイト・ドノヴァン - クレイン家の知人でニューヨークを拠点に活動するレジスタンス。ジュリアナの父とアーノルドとは戦友。 (シーズン2)
- ジョージ・リンカーン・ロックウェル - David Furr - 大ナチス帝国北アメリカ国家元帥 。史実におけるアメリカのネオナチ活動家。(シーズン3)
- ジョン・エドガー・フーヴァー - ウィリアム・フォーサイス - 大ナチス帝国北アメリカ情報局長 (シーズン3-4)。史実におけるFBI初代長官。
- ヨーゼフ・メンゲレ - John Hans Tester - 大ナチス帝国の医師 (シーズン3-4)
- セルマ・ハリス - ローラ・メネル - ジャーナリスト (シーズン3)
- ダニエル・ライアン - ジェフリー・ノードリング - 精神分析医 (シーズン3)
- ビリー・ターナー - Giles Panton - 大ナチス帝国北アメリカ宣伝担当の幹部 (シーズン3)
- マーサ・ストラウド - レイチェル・ニコルズ - 秘密警察に派遣されたヘレン・スミスの付き添い。 (シーズン4)
- ビル・ウィットクロフト-国防軍の将官。国防軍についてはジョン・スミスに次ぐ指揮官を務めている。スミスとは旧アメリカ合衆国陸軍からの戦友で第二次世界大戦時はスミスと共に任務についていた。スミスを非常に信頼しており、スミスの北米独立計画を全面的に支持している。(シーズン4)
中立地帯
- ホーソーン・アベンゼン - スティーヴン・ルート (Stephen Root) / 日本語吹替 - 宮崎敦吉 (シーズン2-4)
- 別世界を見せるフィルムを集めている通称「高い城の男」。サンフランシスコなどを転々とする。
ナチス・ドイツ
- ヴィクター・ベインズ / ルドルフ・ウェゲナー - カルステン・ノーガード -大ナチス帝国の親衛隊大佐。スミス大将の旧友。田上大臣と手を組み、ナチスの原爆情報を日本側に漏洩させる。 (シーズン1)
- ライス - ベルンハルト・フォルケル - 在日本太平洋合衆国駐在の大ナチス帝国大使 (シーズン1)
- アドルフ・ヒトラー - Wolf Muser - 大ナチス帝国の総統。1960年代に至っても健在であるが、老齢のため後継者争いが起こる。旧オーストリア領にある山中の大本営で、大量の「イナゴ身重く横たわる」とおぼしきフィルムを収集、観賞している。 (シーズン1-2)
- エヴァ・ブラウン - Lisa Paxton - ヒトラーの愛人 (シーズン2)
- ラインハルト・ハイドリヒ - レイ・プロスチア - 親衛隊上級大将。自ら総統の地位に成り上ろうと暗躍する野心家。 (シーズン1-2)
- マルティン・ホイスマン - セバスチャン・ロッシェ - ジョー・ブレイクの父親で大ナチス帝国首相。マルティン・ボルマンをモデルにしたと思われる。(シーズン2-3)
- ハインリヒ・ヒムラー - ケネス・タイガー - 親衛隊全国指導者 、のちに総統。(シーズン2-4)
- マルガレーテ・ヒムラー - グウィニス・ウォルシュ - ハインリヒ・ヒムラーの妻、大ナチス帝国赤十字社の指導者 (シーズン4)
- アドルフ・アイヒマン - Timothy V. Murphy - 親衛隊上級大将、ジョン・スミスとウィルヘルム・ゴーツマンのクーデターにより殺害される。 (シーズン4)
- ウィルヘルム・ゴーツマン - Mark Rissman - 親衛隊大将 。ジョン・スミスと共にクーデターを起こし、大ナチス帝国の総統となる。(シーズン4)
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登場する国家
要約
視点
大ナチス帝国 (Greater Nazi Reich)
ヨーロッパの大半とアフリカを手中に収め、旧アメリカ合衆国のうちロッキー山脈より東側を統治する全体主義の超大国。首都はベルリンで、1962年には、総統であるアドルフ・ヒトラーは山中にある総統大本営で執務している。原作小説と異なり傀儡国家を置かずに帝国の一部としてアメリカ東部を支配しており、当該地域には星条旗の星がハーケンクロイツとなった独自の旗が制定されている。厳格な人種政策がとられ、ユダヤ人や黒人は絶滅させられ、難病患者や身体障碍者は安楽死させられる。核兵器のみならず超音速旅客機を運用するなど優れた科学技術を持ち、首都ベルリンではヒトラーたちの構想した世界首都ゲルマニア計画が実現している。旧アメリカ合衆国内ではレジスタンスの活動も活発である。
日本とは表面的に友好関係を結んでいるものの、首脳部の中では日本との全面戦争で領土を拡大しようとする勢力も多い。
日本太平洋合衆国 (Japanese Pacific States)
旧アメリカ合衆国のうち、ロッキー山脈の西側とアラスカ等を国土とする日本の傀儡国家。満州国と同様に、閣僚をはじめ要職は日本人が占める。サンフランシスコにある「日本政府総合本部ビル」に政府機能が置かれている。法的にはユダヤ人は粛清対象となっているが、人種政策は大ナチス帝国に比較すれば緩やかではあるため、逃亡してきたユダヤ人や黒人もいる。市街地には日本語の看板や表記があふれテレビでは大相撲が放送されており、日本人の居住者も多い。銃の所持は日本人にのみ許可されている。治安維持には憲兵隊が当たっており、レジスタンスと目された人物は裁判なしで処刑されるなど強権的な統治がおこなわれている。大ナチス帝国と比べ、科学技術や生活環境は劣る。なお、劇中に登場する日本側の地図では原作同様「アメリカ太平洋岸連邦」と表記されている。シーズン4ではBCRのテロ行為などによってアメリカから撤退する。
中立地帯 (Neutral Zone)
大ナチス帝国と日本太平洋合衆国の間にある緩衝地帯。旧カナダのノースウエスト準州からアルバータ州、旧アメリカのワシントン州、アイダホ州、モンタナ州、ワイオミング州、ユタ州、コロラド州、ニューメキシコ州のそれぞれ一部から構成される南北に細長い領域である。原作では「ロッキー山脈連邦」であるが、ドラマでは単に中立地帯と呼ばれ、統治機構なども登場しない。国境の検問所は隣接する国の兵士によって警備されている。一般市民であっても車やバスで国境を越えることが可能である。中立地帯の中ではユダヤ人が商店を営むなど比較的自由がある半面、ナチスの息のかかった人物による私的な処刑が行われ、スパイが跋扈するなど安全とは言い難い場所である。「高い城の男」も中立地帯にいるとされている。ジュリアナとジョーが訪れたキャノンシティからはサンフランシスコとを結ぶ長距離バスが運行されている。
大日本帝国
大ナチス帝国と共に世界を支配する、アジア、オセアニアにまたがる広い範囲を国土とする大国。天皇を頂点とする全体主義国家として描かれている。連合国軍に勝利したものの核開発をはじめとする科学技術では大ナチス帝国に大きく遅れをとっており、軍事面のパワーバランスも劣勢である。皇太子など平和を求める人物がいる一方で、軍首脳の中には原爆を開発して大ナチス帝国に先制核攻撃を加え予防戦争をしようとする者もある。田上大臣の画策でナチスの原爆製造法を入手したのちは核兵器の戦力化を急ぐ。インド、オーストラリア、中国戦線では反乱に守勢となっている。
旧アメリカ合衆国
フランクリン・ルーズベルト大統領は暗殺されてジョン・N・ガーナーが後継となり、1945年12月には首都ワシントンがナチスによる原子爆弾投下で壊滅し、1947年には枢軸国側に降伏した。ニューヨークのウェストポイントの陸軍士官学校でジョージ・S・パットン将軍がヘルマン・ゲーリングに権力を譲り、東部を中心とした国土の大部分は大ナチス帝国に併合され、西海岸の数州は傀儡国家の日本太平洋合衆国となり、ロッキー山脈沿いは中立地帯となっている。
北米帝国
ジョン・スミスがウィルヘルム・ゴーツマンと共にベルリンで起こしたクーデターにより大ナチス帝国から独立したアメリカ東海岸の国。総統となったスミスのもとで中立地帯や太平洋合衆国崩壊後の西海岸の吸収、北米統一を目指す。
登場する組織
要約
視点
レジスタンス
大ナチス帝国と日本の統治に対抗する旧アメリカ合衆国市民の勢力。全米を統一する組織は存在せず、ジョーが潜入したニューヨークを拠点する組織、レミュエル・ワシントン率いるキャノンシティを拠点とする組織、ケイト・オーウェンズが所属するサンフランシスコの組織が登場する。別時間軸を描く複数のフィルムをアメリカ解放に向けた重要物として収集し、「高い城の男」に送り届ける。
BCR(黒人共産反乱軍)
黒人のみによる共産主義を信奉するレジスタンス組織。旧アメリカ合衆国東部の大ナチス帝国では黒人が絶滅させられているため、中立地帯及び日本太平洋合衆国において活動する。
親衛隊
大ナチス帝国を統治するナチス党の軍事組織。略称は現実同様”SS”(ドイツ語のSchutzstaffelの略)。ハインリヒ・ヒムラーが全国指導者。一般親衛隊と武装親衛隊がある。武装親衛隊は戦車も保有し、ティーガーIのような戦車が登場する。旧アメリカ合衆国ではニューヨークの超高層ビルに本部を置き、各地に部隊を駐留させている。隊員は旧ドイツおよび旧アメリカ出身のアーリア人種に限られる。主に黒い制帽や制服を着用する。レジスタンスを厳格に取り締まり、捜索時の射殺および拷問も厭わない。日本太平洋合衆国内の大使館にも兵士が駐在する。アメリカ出身者は腕章や帽章のデザインが異なっている。
国防軍
大ナチス帝国の国軍。空軍はEWR VJ 101のような戦闘機やドルニエ Do 31のような輸送機を保有している。ジョン・スミスの夢の中で陸軍のものと思われるT-54もしくはT-55のような戦車が登場する。
憲兵隊
日本太平洋合衆国の治安維持を担当する軍事警察。隊員は全員が日本人である。私服捜査員の木戸が軍の階級である大尉と警察官の階級である警部を併用し、「厚生労働省」の身分証を提示するなど謎の多い組織である。私服捜査員と制服の隊員で構成され、十四年式拳銃や軍刀のほか、重機関銃を搭載した車両やUAZ-469、装甲兵員輸送車も装備し、レジスタンスの摘発にあたっている。本部施設内にガス室や銃殺用の処刑場を持ち、拘束した被疑者や市民を裁判なしで処刑することも少なくない。
大日本帝国陸軍
日本本国の陸軍で、軍首脳の中では大ナチス帝国への先制攻撃を推進する勢力が強い。原爆の製造法を入手したのち、サンフランシスコに倉庫に偽装した秘密工場を建設、旧アメリカ領で採掘したウランを使い原爆製造に着手する。太平洋合衆国を訪れた小野田将軍が大臣である田上を恫喝するなど、シビリアンコントロールとは無縁のようである。合衆国の憲兵隊を直接指揮することもある。
大日本帝国海軍
日本本国の海軍で、サンフランシスコ湾を基地とする。艦艇は戦艦大和や最上型重巡洋艦がマストやレーダーを更新しつつ現役で運用されている他、アングルド・デッキを備えたCTOL空母などを擁している。航空機は艦上ジェット戦闘機やKa-27を保有している。艦隊総司令官の猪口提督は憲兵隊に対し、旧アメリカ人に対する穏健な対応を求める。
近衛兵(皇宮警察)
サンフランシスコでの皇太子の警備にあたっていた日本の部隊。吹替え版では「皇宮警察」であるが、英語版で”imperial guards”と呼ばれていることから、日本本国から皇太子に同行した近衛兵のようである。64式7.62mm小銃に酷似した銃を装備している。皇太子の演説会場では拳銃を持ったフランクが接近できるほど杜撰な警備を行い、実際に狙撃が起きたことから指揮官は現場の公園内で切腹する。
警察
戦前の警察機構を引き継いだ自治体単位で設置されている警察で、アメリカ人の警察官が所属している。シーズン1ではジョーのパンク修理を手伝った警官のほか、スミス大将襲撃の際に出動したニューヨーク市警とみられるパトカーが確認できる。サンフランシスコでは憲兵隊の指令を受けた私服警官がジュリアナの自宅の監視にあたる。
ヤクザ
サンフランシスコを拠点とする日系の暴力団。飲食店や風俗店を経営し政府高官も顧客に持つ。違法薬物の密輸を行い、ジュリアナやジョーを監禁しレジスタンスに多額の身代金を要求するなど犯罪行為でも荒稼ぎしている。木戸率いる憲兵隊に情報を売り、ひそかにナチスとも取引する。情報収集能力はかなりのもので、首領オカムラの情報により皇太子狙撃事件の捜査は大きく進展することになる。中立地帯においては、公式には活動できない憲兵隊に代わって種々の活動を行う。
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「イナゴ身重く横たわる」
フィルムの概要
レジスタンスと親衛隊、憲兵隊が争奪戦を繰り広げる、複数の別世界の映像を記録したおびただしい数の映写用ポジフィルム[7]。"旅人"と呼ばれる人物が別世界からこの世界に持ち込む。
リールに張られたテープに” The Grasshopper Lies Heavy”(イナゴ身重く横たわる)と手書きの文字で記されている。
収集したフィルムを、レジスタンスは「高い城の男」ことホーソーン・アベンゼンに、親衛隊はアドルフ・ヒトラー総統のもとにそれぞれ送り届けている。
映像と内容
冒頭にカウントダウンの数字があり、シーンが頻繁に切り替わることから、カメラで撮影されたままの生素材ではなく、何者かによって編集されている。
数多くの別世界の過去と未来の映像が存在し、アベンゼンの拠点では1940代から1950年代後半まで、年ごとに分類された状態で保管されていた。
過去を映したフィルムには、現実とは異なる経緯で連合軍が勝利した世界大戦の結末も存在する。また未来を映したフィルムには、核攻撃で焦土と化し遺体が散乱するサンフランシスコと、ナチス兵の制服を着たジョー・ブレイクに射殺されるフランクらレジスタンスの姿が映るものもある。
「高い城の男」アベンゼンはフィルムの映像を分析することで、これから起こりえる事象の把握を試みる。アベンゼンによれば一連のフィルム群には現在の時間軸の世界に実在する、鍵となる複数の人物が登場するという。それらの人物の行動によって未来が変化するとも語る。
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あらすじ
要約
視点
シーズン1のあらすじ



1962年、アメリカ合衆国は日本の傀儡国家である西海岸の日本太平洋合衆国、ドイツに支配される世界的大国の大ナチス帝国の一部である東部、その間に挟まれた中立地帯であるロッキー山脈連邦に三分されている。世界はほぼ日本とナチスによって分割され、ヨーロッパのユダヤ人は絶滅させられ、アフリカ全土は奴隷化されている。アメリカでもユダヤ人は虐殺され、わずかな数が隠れ住む。
日本太平洋合衆国のアメリカ人の大半は支配階級である日本人におもねる。ジュリアナ・クレインはサンフランシスコに住み合気道を学ぶ。ジュリアナの妹はレジスタンスに加わり、憲兵隊に射殺され、死の直前に姉にあるフィルムを渡す。そこには、第二次大戦で連合国が勝利し、ドイツと日本が敗れた改変歴史のニュースが収められている。ジュリアナは妹の代わりにロッキー山脈連邦のキャノン・シティに行ってフィルムを接触相手に渡そうとし、ニューヨークから来たトラック運転手のジョー・ブレイクと知り合う。ジョー・ブレイクは実は大ナチス帝国の親衛隊のスパイであり、レジスタンスに潜入してやはりフィルムをキャノン・シティに運んでいる。「高い城の男」と言う謎の人物が、様々な未来を見せるフィルムを集め、その代わりにレジスタンスを助けていることがわかる。
大ナチス帝国ではヒトラーが病気で弱り、後継者たちは日本に戦争を仕掛けてアメリカ西海岸も手に入れようと画策する。戦争を避けようとするナチス国防軍大佐のルドルフ・ウェゲナーと、日本太平洋合衆国の田上貿易大臣は密かに協力し、劣勢の日本政府にナチスの核兵器の秘密をもたらして両国の戦力を互角にしようとする。木戸憲兵隊大尉はフィルムを追い、ジュリアナのボーイフレンドでユダヤ人のフランク・フリンクを尋問してその家族を殺し、フランクは日本への復讐を誓う。日本人相手に卑屈に骨董品を売るロバート・チルダンは、フランクと組んで模造品を日本人に売りつける。日本の皇太子がサンフランシスコ訪問中に狙撃され、木戸はフランクを容疑者として追う。皇太子を狙撃したのは、実は日本との開戦の口実が欲しいナチスの一勢力であるが、敗北が必至の戦争を避けたい木戸は隠蔽する。ジョーは新しいフィルムを追ってニューヨークからサンフランシスコに来るが、スパイとしての使命とジュリアナへの愛の板挟みとなる。
東部でも白人はナチスにおもねりユダヤ人と黒人を絶滅させ、ジョーの上司であるアメリカ人のナチス親衛隊大将ジョン・スミスは冷酷にレジスタンスを追い詰める。だが息子の不治の病を知って、義務である安楽死処理を躊躇する。ウェゲナーはラインハルト・ハイドリヒにヒトラー暗殺を強制されるが失敗して自殺し、ハイドリヒはスミスに逮捕される。ジュリアナはフィルムの秘密を知るため、レジスタンスに近づく。易に頼り平和を求める田上はジュリアナを雇い援助するが、不意に別世界のサンフランシスコに移動し、その光景を見て驚く。
シーズン2のあらすじ
シーズン2はシーズン1の直後から始まる。
それぞれ異なる時間線をもつ多数の別世界が存在し、一部の人間は世界間を移動する能力を持ち、「高い城の男」やヒトラーは様々な別世界の映像を収めたフィルムを収集し研究する。別世界の未来を参考にすることで、この世界の未来を改変できることが分かる。
日本太平洋合衆国では、フランクはヤクザの力を借りてエドを憲兵隊から取り戻すが、日本への憎しみからレジスタンスに参加して将軍を暗殺し、フランクの生死は不明となる。田上は日本が敗れた別世界で、死んだはずの妻と息子、その嫁となっているジュリアナに会い、ビキニ環礁水爆実験のフィルムを見て、核戦争を阻止するためにフィルムを元の世界に持ち帰る。
東部では、ジョーはニューヨークに戻るが、ジュリアナが死んだと聞かされ、ドイツに行き首相の父ホイスマンと再会する。ドイツ文化に親しみ、女性映画監督のニコールと知り合い、疎遠だった父との関係を修復する。ジュリアナはサンフランシスコへの原爆投下を避けるため、大ナチス帝国に亡命してスミスの保護を受け、「高い城の男」が示唆した謎の男ディクソンをニューヨークで探す。スミスは不治の病に冒された息子トーマスを安楽死から救うために診察した医師を殺し、トーマスをナチス社会から逃がす計画を立てる。
ヒトラーが死んで後継となったホイスマンは、圧倒的な軍事力で日本との核戦争を企てる。木戸は日本による水爆実験であると偽って田上の持ち帰ったフィルムをスミスに渡し、日本の報復による大惨事を避けるよう説く。ジュリアナはスミスの息子のスキャンダルの露見を防ぐ。スミスはベルリンに飛びジョーの助けでフィルムをナチス幹部に見せて戦争を阻止し、ホイスマンの陰謀を暴露して失脚させ、称賛を浴びる。だがナチスに心酔するトーマスは自ら安楽死を求める。「高い城の男」アベンゼンはジュリアナに会い、様々な別世界を映すフィルムにおいて、ジュリアナは常に鍵となる人物であると話し、死んだはずの妹トゥルーディに会わせる。レジスタンスの指導者は、収集したフィルムを田上に渡す。
シーズン3のあらすじ
シーズン3はシーズン2の直後に始まる。ヒムラーが総統となった大ナチス帝国は征服を止めず、劣勢の日本を挑発する。
ジュリアナは、しばしば別世界のフラッシュバックを見るようになり、トゥルーディを連れて中立地帯からサンフランシスコに行き田上に保護される。ジョーはヒムラーの命でサンフランシスコに行き、ナチスからの亡命者を暗殺し、次に田上を狙うがジュリアナに殺される。ジュリアナはナチスが並行世界を侵攻しようとする計画を阻止するため、ワイアットとともに東部に向かう。途中の中立地帯ではエドとフランクに再会する。
日本太平洋合衆国では、大ナチス帝国の石油禁輸により燃料が不足し、ナチスからの亡命者が暗殺され、田上の命が狙われる。田上はスミスと会談して戦争を再び回避しようとする。田上は木戸に、並行世界の存在を打ち明ける。
中立地帯では、火傷を負ったフランクがユダヤ人の共同体に隠れ住み、レジスタンスを鼓舞するポスターを広めるが、木戸に探し出されて殺される。高い城の男アベンゼンはナチスに捕えられる。
東部の大ナチス帝国では、アメリカの歴史を抹消してアメリカ人を忠実なる大ナチス帝国民に作り変える計画"イヤー・ゼロ"が立案され、自由の鐘と自由の女神が破壊され、安楽死を選んだトーマスが称賛されるが、スミスとヘレンは苦悩する。スミスは政敵との闘争を勝ち抜き、北アメリカ最高の元帥の地位に就く。スミスは家族、自国民の保護、そしてナチスへの忠誠の狭間で揺れ、娘たちの遺伝病診断を恐れるヘレンは娘たちを連れて失踪する。
ナチスは別世界から来た"旅人"の存在を知り、ペンシルバニア州の鉱山の秘密基地で、別世界への扉を開く装置の起動に成功する。ジュリアナは装置の破壊に失敗し捕えられる。ヒムラーは狙撃される。転移した世界で自分自身が生存していた場合、転移した人物は死ぬことがわかる。シーズンの最後に、ジュリアナは別世界に転移する。
シーズン4のあらすじ
シーズン4はシーズン3の1年後に始まる。日本とナチスによる北米支配は崩壊する。
日本太平洋合衆国では、BCR(黒人共産反乱軍)が攻勢を強める。日本政府内の強硬派が田上を暗殺するが木戸の協力を得た皇太子妃らの講和派が反撃して撤退を決める。BCRと白人たちが日本に代わって支配する。木戸は息子を救うためにヤクザの顧問となって残留し、チルダンは日本人妻とともに日本に行こうとする。
連合国の勝った並行世界にはジュリアナが移動している。トーマスが父の反対を押し切ってベトナム戦争に志願する。スミスに送られた工作員がジュリアナを殺そうとして、この世界のスミスを殺す。ジュリアナは易に導かれ元の世界に戻る。スミスが並行世界に来て、生きているトーマスに再会する。
東部の大ナチス帝国では、ニーベンベルト計画により工作員が"扉"を通って並行世界に送られ情報を持ち帰る。ヘレンと娘たちが中立地帯から戻るが、ジェニファーは反ナチス、エイミーがナチス支持者となって家庭は崩壊する。フーヴァーがスミス家を盗聴して陥れようとする。スミスは先手を取ってベルリンでゴーツマン親衛隊大将と共謀してクーデターを起こし、ゴーツマンと大ナチス帝国を分け合って北米帝国の総統となると、日本の撤退した西海岸に侵攻し、白人種以外を絶滅させる計画を立てる。これを知ったヘレンはレジスタンスと内通する。そしてスミスは自身の今までの人生を悔やみ自殺し、西海岸侵攻は中止される。並行世界から"扉"を通って多くの人々がやって来る。
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エピソード
シーズン1のエピソード
シーズン2のエピソード
シーズン3のエピソード
シーズン4のエピソード
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企画
2010年にBBCがテレビドラマ化を発表した。ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の映画化作品である『ブレードランナー』を監督したリドリー・スコットが製作総指揮、ハワード・ベントンが脚本を務め、スコット・フリー・プロダクションズ、エレクトリック・シェパード・プロダクション、ヘッドライン・ピクチャーズ制作による全4話構成でBBC Oneで放送されることが決まったが、その後は動きがなかった[9][10]。
2013年2月11日、アメリカのケーブルテレビ局であるSyfyがテレビドラマ化を発表した。BBCと同様に全4話構成で制作することになり、「Xファイルシリーズ」のフランク・スポトニッツが脚本兼任で、スコットと共に製作総指揮を担当することになった[11][12]。しかし、Syfyがドラマ化を断念したため、最終的にアマゾン・スタジオがネットドラマ化を発表した。スコット、スポトニッツに加え、演出を『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』のデビッド・セメルが担当し、パイロット版が制作された[13]。
2015年1月15日にドラマシリーズ化候補13作品中の1本としてパイロット版が公開され[14]、13作品中最も視聴された作品となった[15]。これを受け、2月19日に他の4作品と共にドラマシリーズ化が正式に決定し、7月に開催されたサンディエゴ・コミコンでは第1話・2話の試写会が行われた[16]。シリーズは11月20日からAmazonビデオで配信された。
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撮影

2014年10月1日にパイロット版の撮影が開始され、サンフランシスコ、ニューヨーク、シアトル、ロザリン (ワシントン州)で撮影が行われた[17]。シアトルではシアトル・センター・モノレール、パラマウント・シアターを使用した他、パイク・プレイス・マーケットやジョージタウン地区の中心街、国際街での撮影が行われ、ロザリンでは『たどりつけばアラスカ』のオープンセットで撮影が行われた[17][18]。
2015年4月からはカナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバーの金融センターで撮影が行われ、5月から6月にかけてブリティッシュコロンビア大学でも撮影が行われた[19][20]。
騒動
2015年11月、ドラマ宣伝の一環としてニューヨーク市地下鉄の車両座席に旭日旗やナチス・ドイツの国章をあしらった星条旗をデザインしたが、市民から批判が殺到する騒動が起きた[21]。デザインの掲示はニューヨークシティ・トランジット・オーソリティの許可を得て実施されたが、ニューヨーク市長ビル・デブラシオは「無責任で侮辱的だ」と批判し、Amazon.comは12月まで掲示予定だったデザインの撤去を決定した[21][22]。
評価
批評
パイロット版は批評家から高い評価を受け、Rotten Tomatoesには16件のレビューが寄せられ、「リドリー・スコットにより、第二次世界大戦後のディストピアが再現され、放送開始後すぐに夢中にさせる内容となっており、他の作品とは異なる」などとして94%の支持を集めている[23]。
受賞
2016年の第68回プライムタイム・エミー賞クリエイティブアート・エミー賞において撮影賞シングルカメラ・シリーズ部門とメインタイトルデザイン賞を受賞した。
脚注
外部リンク
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