青柳 裕介(あおやぎ ゆうすけ、本名:吉村睦夫、1944年12月4日 - 2001年8月9日)は、日本の漫画家。
高知県香美郡野市町[注 1]出身。高知市立城東中学校卒業。代表作に『土佐の一本釣り』『土佐の鬼やん』『川歌』がある。地元・高知を舞台にした作品を多く発表した。
中学卒業後、8年間板前修業を続けながら漫画の創作に励み、1966年、『いきぬき』が『COM』の月例新人賞に選ばれデビュー。代表作の一つで長期連載された『土佐の一本釣り』は1980年に松竹より映画化もされた。『ビッグコミック』を主たる作品発表の場としていた。
評論家・石井文男は、青柳の一連の作品は、青春期の愛、希望、苦しみを経糸に、塩の香、魚の匂い、漁船のマスト、さらには路地裏の一杯飲み屋など、高知ならではの舞台をフルに緯糸として使用し、独自世界を作り出したが、作品の舞台は土佐以外はあり得ないし、高知在住だからこそ書ける作品だなどと評した。また石井の見た青柳の印象は、開けっぴろげで飾り気なく、誰をも受け入れるような習性だ。『土佐の一本釣り』の純平は、そのまま青柳の人間性であるとも評した。
2001年8月9日、耳下腺基底細胞癌のため死去。56歳没。
- 第24回高知県出版文化賞(1979年)
- 第25回小学館漫画賞(1980年)
- 中土佐町名誉町民賞(1980年)
- 陽炎(COM、1968年7月号)
- 夢幻(COM、1969年6月号)
- 踏切(COM、1969年12月号 - 1970年2月号)
- サディストへの招待(プレイコミック、1970年)
- 胞状奇胎(プレイコミック、1971年4月10日号)
- 初恋物語(ヤングコミック、1971年10月27日号 - 1972年6月28日号)
- 怨念(ヤングコミック、1972年8月9日号 - 12月13日号)
- 青い抱擁(週刊漫画サンデー、1973年5月19日号 - 8月18日号)
- 時次郎は海を見たか(ヤングコミック、1973年12月26日号 - 1974年3月27日号)
- おしくら太鼓(週刊漫画TIMES、1974年4月27日号 - 11月30日号)
- ふるさと土佐の漁師まち(ヤングコミック、1974年 - 1975年)
- 土佐の鬼やん(少年キング、1975年5月 - 1978年3月)
- 土佐の一本釣り(ビッグコミック、1975年1月25日号 - 1986年6月25日号)
- 土佐の一本釣りPART2 純平(ビッグコミック、1986年7月10日号 - 1991年10月25日号)
- さくらんぼと暴風圏(ヤングコミック、1977年4月27日 - )
- 男達の航海(1975年 - 1992年の間に様々な雑誌に発表された短編作品集)
- 男の船出(1980年 - 1994年の間に様々な雑誌に発表された短編作品集)
- 青空ごっつん(少年キング、1979年)
- ボクら旅した(高知新聞、1979年5月1日号 - 1980年5月3日号、はくしょみのる共著)
- オレは俺(少年キング、1980年3月3日号 - 5月12日号)
- はるちゃん(ビッグコミックスピリッツ、1980年11月15日号 - 1983年2月28日号)
- おったまじゃくし(小学六年生、1985年)
- 鬼の武吉(コミックBE、1987年5月 - 1988年5月、シナリオ:武田正敏)
- 鋼鯨 ザ・タンカー(コミックGiga、1990年7月10日号 - 11月27日号)
- 川歌(ビッグコミック、1991年12月25日号 - 1994年9月10日号)
- 日々是前進 穴吹夏次物語(穴吹工務店社史、描き下し、1992年)
- ゼンマイ仕掛けの犯罪白書(ビッグゴールド、1994年2月号 - 1995年6月号)
- バチワレ!いさ(ビッグコミック、1994年10月25日号 - 1996年4月25日号)
- 四万十川(つりコミック、1996年10月号 - 1997年5月号)
- 北斗七星(ビッグコミック、1997年1月10日号 - 1998年6月10日号)
- 六尺ふんどし(コミックトムプラス、1998年5月号 - 1999年6月号)
- 鯨組(ビッグコミック、1998年12月10日号 - 1999年3月25日号)
- 女敵き討ち(コミック乱、2000年 - 2001年、青柳裕介&青柳プロダクション)
- まぐろ土佐船(ビッグコミック、2001年3月10日号 - 7月20日号、10月25日号 - 2002年3月10日号、遺作、原作:斎藤健次)
- 石井文男「青春と潮の香」『カスタムコミック』No.4 1979年11月号、1979年、8頁。
- 『漫画家人名事典』まんがseek・日外アソシエーツ編集部(共編)、日外アソシエーツ、2003年2月。ISBN 978-4-8169-1760-8。