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銀行法4条1項に基づき内閣総理大臣の免許を受けて銀行業を営む者 ウィキペディアから
普通銀行(ふつうぎんこう)は、銀行法第4条第1項に基づき内閣総理大臣の免許を受けて銀行業を営む者をいう。なお、日本でいう「普通銀行」は「商業銀行」に相当するものの、業務の多様化から、伝統的な意味での「商業銀行」と比較するとその域を超えたものになっているといわれている[1]。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
銀行法では単に「銀行」としているが、銀行法および同法に基づく命令以外の法令においては、「銀行」は原則として(銀行法上の銀行ではない)長期信用銀行を含むため(長期信用銀行法第18条)、銀行法上の銀行であることを示す場合にこの語が用いられる(更生特例法第2条第1項第1号、合併転換法第2条第1項第1号、振替法第262条第3項など)。原則的に外国銀行支店について銀行免許を得た当該外国銀行を含むが、法令上は含まないと解される場合もある。
普通銀行は次の業務を営むことができ、それ以外の業務は行うことができない。
日本においては、普通銀行は次の様に区分される。なお、株式会社商工組合中央金庫および長期信用銀行は普通銀行と同じく株式会社形態であるが、根拠法が異なるため、普通銀行には含まれない。
日本では、法律に基づかない預金の受入れは出資法第2条で禁止されているが、普通銀行や長期信用銀行、商工組合中央金庫以外にも、信用金庫・信用協同組合・農業協同組合・漁業協同組合・労働金庫など、特別法により預貯金の受入れを業とする協同組織形態の金融機関(協同組織金融機関)が存在する。普通銀行や長期信用銀行、商工組合中央金庫は、営利法人といえど、金融の高い公共性を担う存在として銀行法はじめ様々な法令の規制下におかれるが、協同組織金融機関は、同様に公共目的をもった金融機関と位置づけられている。すなわち、協同組織金融機関は、一般に利用者(組合員・会員)自身の出資に拠って存立し、私的な営利目的の銀行とは異なり、中小事業者や一般個人の発展繁栄を通じて、福祉の向上と社会秩序の安定に資するという公共的な事業目的を有しており、そうした目的を達成する観点から、業務の地域や取引相手が限定される一方、営利組織である銀行よりも有利な税制、商品の取り扱いが認められている。特に出資については、株式会社と異なり、協同組合原則(ロッチデール原則)により、組合員・会員(総代)の議決権は、出資額にかかわらず、一人一票であり、株式会社とは異なり、大資本の買占めによる経営支配はできず、利用者一人ひとりの意思を反映した、民主的で安定的な経営が出来る仕組みとなっている。
協同組織金融機関の業容が拡大する中、取引先中小企業の業容もまた大企業へと進展する事例も多く、1991年に東京都の旧・八千代信用金庫が第二地方銀行へ転換した八千代銀行(2018年、きらぼし銀行に改称し、地方銀行に転換)は、このような出資・預金・貸付に関する制限は業務(取引継続)の制約となるととらえ、銀行への改組を図った。銀行が小規模な(または親密先の)協同組織金融機関の手形交換、外国為替業務などを受託することも多い。
銀行の固有業務(銀行法第10条第1項)の代理・媒介をアウトソーシングなどによって委託される、銀行業以外の企業のこと。運営母体としては銀行子会社を含むグループ会社が多い[注 2] が一部では個人が行う場合もある。日本では銀行法により定められており、預金の預入やローンの取り扱いを、銀行以外の個人や企業が行うことができる。当初は銀行の100%子会社であることなど条件が厳しかったが、何度か規制緩和が行われ、2006年4月施行の改正では参入条件が大幅に緩和された。
日本の銀行は、原則として日曜日、国民の祝日、12月31日から翌年の1月3日までの日、土曜日を休業日としている(銀行法第15条第1項、銀行法施行令第5条)。ただし、住宅ローンなどを扱うローンセンターのような部門では、土曜や日曜に営業する店舗もある。
長年不動産(物的)や保証人(人的)担保に融資をするビジネススタイルをとっていたため、外資系銀行に比べて企業資産の審査能力が低いとされ、近年は、プロジェクト・ファイナンスやM&A等で、企業の生み出すキャッシュフローにて企業価値の判断やそのリスク管理を行う審査制度の確立を急いでいた。しかし、2007年から2008年にかけて、アメリカやヨーロッパの一流大手銀行が、軒並みサブプライムローン関連の証券化商品による巨額の損失を計上し、世界的な金融システム不安が発生する中で、「外国系銀行が審査能力が高い」とは、決して言えないこと、むしろ外国系銀行が統計学に基づくリスク管理手法を過信しリスクテイクバブルに陥っていたことが露呈した。また、中小企業融資に際して審査の迅速化を目的に、統計学を用いてスコアリングを行い、書類提出のみで手続きが完結するスコアリング判定ビジネスローン(以下BL)を多くの銀行が展開したが、一方で提出書類を偽造した詐欺事件が発生し、銀行員自身の目利き能力の低下にもつながるという問題も指摘されている。定量評価のみの機械的な与信判断で融資量を拡大したBLは、結果として不良債権を増加させることになった(メガバンクが相次いでBLを導入したのは、中小企業向け融資を拡大しなければならない金融庁の意向が反映していた側面もあり、事実、一時期、金融庁はスコアリング融資を各金融機関に推奨していたが、現在はとり止めている)。2007年現在、りそな、三菱東京UFJの各行が相次いで新規取り扱いを停止している。
大半の邦銀は、利益原資の8 - 9割が預貸金利鞘であるが、この伝統的業務に依存するビジネスモデルでは利益率が低く(邦銀の純利益率は2005年現在、1% - 0.4%と外銀に比べ非常に低い)、さらに、間接金融から直接金融の流れの中で、縮小傾向にあるため、邦銀は、アメリカの銀行に追随して、消費者ローンや投信販売などの、リスクの高い金融商品の販売に活路を見出そうとしている。この為、一時期、三井住友銀行はプロミスに、三菱UFJフィナンシャル・グループはアコムといった様に、利益率の高いとされた消費者金融業(サラ金)に出資、グループ傘下にし、連結収益のかさ上げを図った。しかし、近年の出資法改正議論によるグレーゾーン金利撤廃の動きの中、2007年現在、相次いだ過払い金返還請求により、消費者金融業界はビジネスモデルの変更を余儀なくされている。また、外銀のように利益に占める役務収益(M&Aや、金融商品販売の手数料)割合の増加に力を入れているものの、短期での利益を追求するため、優越的地位の濫用を行い、意味合いの異なる金融商品を矢継ぎ早に客や取引先に半ば強引に、または損失リスクを告げずに売りつけて不利益を被らせることが多々ある。最近では、2005年に三井住友銀行法人営業部は、中小企業に融資する際、金利スワップ商品の購入を強要したため、公正取引委員会から排除勧告を、金融庁からは一部業務停止命令を受けた。
失われた10年の間に、多くの銀行が海外から撤退・縮小し、日本では強みがあるが外国では振るわない「お山の大将」「井の中の蛙」のようになっている。近年、メガバンクは、アジア圏を中心に再進出を図っているが、セグメント収益に占める海外割合は依然2割前後と低い。例えば、HSBCの欧州・香港外地域からの収益の比率、シティグループの米国外地域からの収益の比率は、いずれもおよそ50%である。
例えば、銀行員の人事異動サイクルは公務員同様、平均2 - 3年である。この短いサイクルの理由は、横領や経済犯罪(浮き貸しなど)を防ぐためである。しかし、バブル景気崩壊以降は、無理な融資や、十分な査定を行わなかったために不良債権となった融資などの責任の所在を不明瞭にするための隠れ蓑に利用される場合があるとされる。耐震偽装問題における被害者の住宅ローン (※1)、保険会社が倒産した変額保険ローンやゴルフ場が倒産したゴルフ会員権ローン (※2) 等の、返済が免責されない、などの問題がある。※1 アメリカでは、住居が瑕疵等で不動産担保としての価値が無くなればローンが法的に免責になる。これは、アメリカの住宅ローン制度が、担保物件以上に債務が訴求しないノンリコースローンとして“ローンの返済をしなくても、家を返せば完済となる”2008年1月21日付J-CASTニュース(枝川二郎のマネーの虎-借りてはいけない住宅ローン) 仕組であり、銀行自身もローンの価格変動リスクを負うためである。
ただし、不動産取引においてその担保価値の品質保証としてエスクロー制度が利用され、また、住宅ローンはすぐに証券化されモーゲージブローカによって有価証券として取引される。このため、サブプライムローンのようにリスクを第三者に転嫁してモラルハザードを行うような状況を招くなど、アメリカの住宅ローン制度は極めて問題がある制度であることが顕在化した。ローン免責が可能な背景には、法制度の前提として、制度的にその品質管理能力とリスクの分散が図られている点に留意が必要である。しかし、その品質管理能力やリスク分散が、結局は、モラルハザードによる国際金融危機を招く引き金となったという点で、アメリカの制度は欠陥が大きすぎる。日本の場合は、不動産証券化が途についたばかりであるゆえに、問題を生じていない。さらに、法的にも免責される制度はない(例えば、通常の売買契約で、耐震偽装問題のように商品に瑕疵また契約に錯誤・無効・詐欺があると、買主は、民法571条により担保責任との同時履行を主張して代金の支払を拒める。しかし、割賦購入斡旋、この場合の住宅ローンでは、売買と立替払契約とが別々になされているため、買主の売主に対する抗弁、つまり支払拒否が銀行に対して主張しうるかという問題が生ずる。判例による結論から言えば、信義則違反、つまり銀行が売主と密接不可分な関係であったことを買主が証明しない限り、その支払義務は免責されない。それゆえに、日本ではモラルハザードが生じにくいというメリットがある)。※2 前述の住宅ローンと同様に免責がなされないが、これらは主にバブル期を中心に業者と銀行が一体となって販売を推進したため、より銀行の責任が大きいと言え、実際に各地でローン無効の訴訟が提起されている。
2006年3月期決算は、各メガバンクともバブル期を上回る利益(もっとも、前年度の貸倒引当金戻入益の計上があるため、一時的な数字である)をあげた。朝日新聞は2006年11月26日付の社説で、預金者への利益還元のあり方、特に、手数料やサービスの是正が進んでいない、と主張した。一方、2006年より三菱東京UFJ銀行をはじめとする三菱UFJフィナンシャル・グループは、自行ATM及びコンビニATM(イーネット、ローソンATM、セブン銀行)での振込手数料の一部を無料化した(窓口振込、ATMでの現金による振込、三菱東京UFJダイレクト(有人対応分)による振込、他行あては対象外。ATM時間外手数料は所定の手数料がかかる)。また、同グループの三菱東京UFJ銀行は上記3社が運営するコンビニATMでのコンビニ利用手数料を2007年3月に全面的に廃止した(現在は、自行ATMの手数料を土日を含む8時から21時までを無料化する代わりに、コンビニATMは時間内も有料化された)。そして、同年のゼロ金利政策解除により、各銀行の普通預金金利は上昇した。なお、大手金融機関は失われた10年で相次いだ赤字決算の繰越控除が続いているため、2007年現在で法人税等を納付しているのは、住友信託銀行のみである。
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