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『銀二郎の片腕』(ぎんじろうのかたうで)は、里見弴の小説。釧路(現在の北大通、栄町、末広町、旭町)に農場を持つ素封家の次男である中戸川吉二の体験談をもとに創作された。銀二郎が房州に使われた茶碗を井戸に漬けていたという部分は吉二が目の当たりにした実話である。また、主人公が自らの腕を切るという行為は、トルストイの晩年の作「パアテル・セルギウス 」の指切りにヒントを得ている。1917年(大正6年)、文芸雑誌『新小説』に発表された。同年5月『三人の弟子』に初めて収められた。作品末尾に「大正六年一月作/同三月約二千字加筆」とあり、以降「銀二郎の片腕」はこの初収の形たちで収録され続けて行くこととなる。
年の半分が雪で閉ざされる地方の牧場に銀二郎という牧夫がいた。その牧場の女主人はある冬舅に手を挙げてしまう。それを目撃し止めに入った銀二郎は女主人に呼び出され口止めを受ける。気味の悪い舅に対する行為を責める気はなかったが、女主人の嘘のため牧場にいる意味を失う。幻滅の後橇での介抱や夏の快活な女主人の姿が銀二郎をより深い愛に誘い込むが、その年の冬舅の隠居所の落成祝いの席で銀二郎は女主人の嘘に怒り自らの片腕を切り落とし投げつけ牧場を去る。その行方は誰も知らない。
1953年5月13日に新東宝で映画化されている。モノクロ、スタンダード、82分。
本作を原作とするテレビドラマが、1968年7月23日に、毎日放送制作・NET(現:テレビ朝日)系列で放送された『テレビ文学座 -名作に見る日本人-』(火曜22:00 - 23:00)で放送された。
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