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遭難信号(そうなんしんごう、英語: Distress signal)とは、救助を求めるための国際的に認識された手段で、無線通信によるほか、可視物体の表示や騒音音響、その他の方法により信号を伝達する。
遭難信号の発信は、船舶、航空機その他において、重大かつ急迫した危険に直面し、早急な救助・支援を要請する場合に行われる。目的以外での虚偽の遭難信号の発信は、現地国の法令または国際法にて処罰される。
遭難信号に気づいた場合は同様に、20秒に1回の割合で発呼・発光を行って相手に応える。これで応答信号となる。
この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
この節の引用の拗音、促音、送り仮名の表記は原文のままである。
海上衝突予防法第37条第1項には、「船舶は、遭難して救助を求める場合は、国土交通省令で定める信号を行わなければならない」と定められている。 これをうけた国土交通省令海上衝突予防法施行規則では、次のように定義されている。
第22条 法第37条第1項の国土交通省令で定める信号は、次の各号に定める信号とする。
2. 船舶は、前項各号の信号を行うに当たつては、次の各号に定める事項を考慮するものとする。
電波法第52条第1号遭難通信で「船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥つた場合に遭難信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう」と定められている。
遭難信号を前置する方法としては、総務省令無線局運用規則に定められている。
その他総務省令で定める方法としては、施行規則第36条の2の各号に定められている。
別図第1号1 遭難警報
同期符号 | 呼出しの種類 (注1) |
自局の識別信号 | 遭難の種類 | 遭難の位置 | 遭難の時刻 | テレコマンド (注2) |
終了符号 | 誤り検定符号 |
注1 コード番号「112」であること。
注2 引き続いて行う通報の型式をコード化したものであること。
別図第2号
1. インマルサットC型を使用するもの
呼出しの種類 (注1) |
自局の識別表示 | 相手局の識別表示 | 遭難の位置及び時刻 | 遭難の種類 | 通報に係る事項 (注2) |
誤り検定符号 |
注1「10100011」(最後に送るものにあつては「10100001」)であること。
注2 船舶の進路等をコード化したものであること。
2. インマルサットB型を使用するもの
同期符号 | 呼出しの種類 (注1) |
自局の識別表示 | 相手局の識別表示 | 遭難の位置 (注2) |
通報の型式 (注3) |
誤り検定符号 |
注1 「00100000」であること。
注2 空中線の仰角及び方位角をコード化したものであること。
注3 引き続いて行う通報の型式等をコード化したものであること。
3. インマルサットM型を使用するもの
同期符号 | 呼出しの種類 (注1) |
自局の識別表示 | 相手局の識別表示 | 遭難の位置 (注2) |
通報の型式 (注3) |
誤り検定符号 |
注1「00100001」であること。
注2 空中線の仰角及び方位角をコード化したものであること。
注3 引き続いて行う通報の型式等をコード化したものであること。
4. インマルサットF型を使用するもの
同期符号 | 呼出しの種類 (注1) |
自局の識別表示 | 相手局の識別表示 | 通報の型式 (注2) |
遭難の位置 (注3) |
誤り検定符号 |
注1「11100011」であること。
注2 引き続いて行う通報の型式等をコード化したものであること。
注3 船舶の位置をコード化したものであること。
別図第3号
通報の種類 (注1) |
通報の順位 (注2) |
通報に係る事項 (注3) |
自局の識別表示 | グループ呼出しに係る事項 | 誤り検定符号 | 通報 |
注1 「00101000」であること。
注2 繰り返された回数に「111」(最後に送るものにあつては「110」)を続けたものであること。
注3 通報の印字形式をコード化したものであること。
別図第4号
1. F1B電波424kHzを使用するもの
同期符号 | 自局の識別表示 | 通報の種類 (注1) |
通報の番号 (注2) |
復帰改行信号 | 通報 | 終了符号 |
注1 第1バイト「YYBBBYBYBB」及び第2バイト「BBYBBBYYBY」であること。
注2 第1バイト「YYBBBYBYBB」及び第2バイト「BBBBYYBYBY」の組合せを3回繰り返すものであること。
2. F1B電波518kHzを使用するもの
同期符号 | 自局の識別表示 | 通報の種類 (注1) |
通報の番号 (注2) |
キャリッジ復帰信号 | 改行信号 | 通報 | 終了符号 |
注1 「BBYYBYB」であること。
注2 「BYBBYBY」を2回繰り返すものであること。
別図第5号
同期符号 | 通報形式の区分 (注1) |
識別表示の種類 | 自局の識別信号 (注2) |
誤り検定符号 | 通報 |
別図第6号
通報の種類 (注1) |
反復送信回数 (注2) |
装置の識別信号 (注3) |
航行状態 (注4) |
対地速度 | 位置精度 | 経度 | 緯度 | 対地針路 | 測位時刻 | 通信状態 |
注1 コード番号「1」であること。
注2 コード番号「0」であること。
注3 「970X1 X2 Y1 Y2 Y3 Y4 」の9桁の数字であること(X1、X2、Y1、Y2、Y3及びY4は0から9までの数字とする。)。
注4 コード番号「14」であること。
船舶の場合、従前はモールス符号の「SOS」が使われていたが、1999年(平成11年)までにGMDSS(英語: Global Maritime Distress and Safety System、海上における遭難及び安全に関する世界的な制度、世界海洋遭難安全システムとも)に移行し、もっぱらEPIRBが用いられる[2]。 上記の406.025MHz、406.028MHz、406.037MHz及び406.040MHzを用いる衛星非常用位置指示無線標識がこれである。モールス符号は一部の漁業無線にしか使われなくなり、海岸局や義務船舶局では毎時15・45分から3分間(第一沈黙時間)は500kHzの、毎時0・30分から3分間(第二沈黙時間)は2182kHzその他の電波の聴守が義務付けられていたが、GMDSS移行時に廃止されている。
航空機の場合、121.5MHzと243MHz[3]が使われる。船舶の非常用位置指示無線標識(EPIRB)に相当する機器として航空機用救命無線機(ELT)がある。
また、船舶・航空機の航行用レーダーに位置を表示させる捜索救助用レーダートランスポンダ (SART; Search and Rescue Transponder|Search and Rescue Transponder) もある。Q0N電波9,200MHzから9,500MHzを用いるものがそれで、免許には9,350MHzが指定される。(遭難自動通報局も参照)
電波法第66条において「海岸局、海岸地球局、船舶局及び船舶地球局は、遭難通信を受信したときは、他の一切の無線通信に優先して、直ちにこれに応答し、かつ、遭難している船舶又は航空機を救助するため最も便宜な位置にある無線局に対して通報する等総務省令で定めるところにより救助の通信に関し最善の措置をとらなければならない」と、第70条の6第2項において「第66条の規定は、航空局、航空地球局、航空機局及び航空機地球局の運用について準用する」と最優先に扱うことが定められている。
電波法には遭難通信に関し次のような罰則が定められている。
数百年もの間、国旗を逆さに掲揚して非常事態を伝える方法がよく使われていた。現在でも、アメリカでは合衆国法典の第36編「愛国的団体及び式典」10章「愛国的慣習」176節 「旗の尊重」に、「生命や財産に極度の危険が迫っている際、その危険を伝える目的を除き、下方に傾けて掲揚してはならない」とあり、その名残を残している[8]。
しかし、 日本、 ペルー、 ボツワナ等のように上下逆さにしても見分けがつかない、 ポーランド・ インドネシア・ モナコ等のように別の国の国旗と区別つかない等の理由があり遭難を伝えるのは難しい。
無掲揚であれば、なにか起きていると気が付いてもらえるかもしれない[9]。または、何かしらの旗があるなら、横にしたり、逆さにしたり、旗を結んで掲揚したりすれば、気が付いてもらえるかもしれない[10]。ただし、無線技術が発達した21世紀初頭の現代ではあまり使われない方法である。
ステイセイルを逆さに掲げる。など、普段と違う、目を引く外観変更を行う。
回光通信機や懐中電灯で他船に緊急事態を伝える。
ソビエト連邦、ロシアの宇宙飛行士は、予定帰還地点から大きくずれた場合、救援が来るまで最悪数日間サバイバルを行うことが想定された。その結果、救援を呼ぶ信号弾が撃てるサバイバル用の銃TP-82が開発された。
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