『自虐の詩』(じぎゃくのうた)は、業田良家による日本の4コマ漫画、またこれを原作とした2007年の日本映画。『週刊宝石』に1985年1月4・11日合併号から1990年8月2日号にかけて連載された。単行本は光文社コミックスから全5冊、それらを「幸江とイサオ」シリーズで再構成したハードカバー版全1冊、さらにそれを上下巻にした竹書房文庫版がある。2007年には、「幸江とイサオ」シリーズをすべて収録した、愛蔵版上下巻が発売された。タイトルは、業田が大きな影響を受けたと話す吉田拓郎の「イメージの詩」からインスピレーションを受けてつけられた[1]。
男性サラリーマン向け週刊誌『週刊宝石』のショートコミック枠に掲載。当初は複数のシリーズがあるオムニバス作品だったが、人気のあった「幸江とイサオ」シリーズに一本化された。この項では特に「イサオと幸江」シリーズを「自虐の詩」として記す。シリーズ初期は、怒るとすぐにちゃぶ台をひっくり返したり、金をせびるばかりのイサオとそれに従う幸江といった構図のギャグが中心だったが、中期以降幸江の子供時代の回想が増えてくるとしだいにストーリー4コマとなっていき、幸江の小学生編・中学生編を経て最終回に突入していくドラマチックな展開は「泣ける4コマ」として定番になっている。また作品完結からヒットし映画化されるのにかなりの時間が空いている。これは2004年に『BSマンガ夜話』にて取り上げられて泣けるマンガとして絶賛されたことが大きい。番組で取り上げた直後にはネット通販にて完売している。
上記の漫画を原作とした映画。2007年10月27日公開。舞台は原作の東京から大阪の下町に変更されている。
キャスト
- 森田幸江
- 演 - 中谷美紀(中学生時代:岡珠希)
- イサオの内縁の妻。イサオに振り回されながらも慕い続ける。子供の頃から不幸な人生を歩んでおり、現在では出ていった母に宛てて出ていった理由や、幸せを問う手紙を書いている。原作では基本的に控えめで耐える性格だが、本作では感情豊かな性格となっている。
- 葉山イサオ
- 演 - 阿部寛
- 幸江の内縁の夫。日常的に好き勝手に振る舞い幸江に世話を焼かせるが、自身は働かず自宅で機嫌を損ねるとちゃぶ台返しをするのが日課。元ヤクザで目ヂカラが強くケンカも強い。ギャンブル好き。若い頃は髪を伸ばしていてサングラスをかけている。
主な人たち
- 森田家康
- 演 - 西田敏行
- 幸江の父。幸江が中学生の頃に強盗事件を起こし逮捕された過去がある。長らく幸江と会っていなかったが、偶然あさひ屋に訪れて娘と再会する。自分のことは棚に上げて、イサオを貶すなど口が悪い性格だが娘思いな一面もある。
- あさひ屋マスター
- 演 - 遠藤憲一
- 定食屋の主人。幸江に惚れており、日常的に機嫌を取ったり臨時ボーナスをあげたりしている。その反面イサオには敵視して冷たい態度を見せる。偶然家康と出会い関わりを持つようになる。
- 福本小春
- 演 - カルーセル麻紀
- 幸江とイサオの隣のおばちゃん。普段は幸江の母のように優しく接し、時にイサオに男のように啖呵を切ることもある。
- 熊本さん
- 演 - アジャ・コング(中学生時代:丸岡知恵)
- 幸江の中学時代のクラスメイトで親友。中学時は幸江と同じく貧しい生活を送り、2人は周りからからかわれる存在。また中学時は、下品な行動を取ることがあるが精神的にたくましい性格。その後数十年ぶりに幸江と再会する。
中学生時代の幸江と関わるその他の人達
- 藤沢さん
- 演 - 加藤瑠美
- 幸江の中学時代のクラスメイト。幸江によると「綺麗で頭が良くてお金持ち」とのことで周りから人気がある。
- 中学時代の担任
- 演 - 半海一晃
- 幸江の中学時代の担任。貧しい家の幸江と熊本さんが教材費を払わないことを理由に生徒たちの前でからかう。
- 新聞販売店店主
- 演 - 蛭子能収
- 中学生時の幸江が新聞配達をする店の店主。貧しい生活をする幸江にまんじゅうや牛乳をあげるなど気遣う。
- 美和子
- 演 - 名取裕子
- 幸江が中学時代に、家康と付き合う女性。家康と入籍する話が持ち上がる。貧乏くさいのが嫌いで物欲が強い性格。
幸江やイサオと関わるその他の人達
- タロー
- 演 - 猪野学
- イサオの子分的存在で遊び仲間。毎日のようにイサオとつるんでいる。幸江を『幸江姐(ねえ)さん』と呼んでいる。
- 組長
- 演 - 竜雷太
- イサオが過去に所属したヤクザ組織の組長。ヤクザの素質があるイサオを組に戻るよう誘う。イサオの父のことを知る人物。
- 難波警部
- 演 - ミスターちん
- 警察官だが規則に融通を利かせる優しい性格。イサオのことで何度か警察に訪れる幸江に色々と気にかける。
- 船場巡査
- 演 - 金児憲史
- 難波の部下。日常的に難波の言動にツッコミを入れる。冒頭で路上で倒れていたイサオを見つけてパトカーを要請する。
- 森田秋子
- 演 - 佐田真由美
- 幸江の母。家康によると幸江が子供の頃に家を出ていったとのこと。その後幸江の夢の中に現れる。
その他
- 喫茶店主
- 演 - Mr.オクレ
- 喫茶店で料理などを運ぶ。あさひ屋にラーメンの出前を頼むが、持ってくるのが遅くて幸江に文句を言う。
- ポン引き
- 演 - 島田洋八
- 風俗店の店先で客を呼び込む人。ある日通りがかかったあさひ屋マスターに『ユキエ』という風俗嬢がいると案内する。
- 中年男
- 演 - 松尾スズキ
- 若い頃に娼婦をやっていた幸江と出会い、声をかける男。
- 小春の夫/訪問販売の男
- 演 - 斉木しげる
- 故人である小春の夫の遺影/小春の夫にそっくりなセールスマン。24万円もする化粧品を売りに小春の部屋に訪れる。
- 熊本さんの夫
- 演 - Dante
- 仕事でドバイから日本に転勤することになり、家族と共に関空に降りたつ。
- あさひ屋の客
- 演 - 業田良家(原作者)
関連商品
- ホームメディア
- ジェネオン エンタテインメントより発売。
- 自虐の詩 プレミアム・エディション
- 2008年3月14日発売。DVD2枚組。リージョン2。初回特典はアウターケース、業田良家書き下ろし漫画掲載リーフレット。
- 自虐の詩
- 1枚組。通常版DVD。
- 自虐の詩ナビゲートDVD いつまでも七転八倒 〜森田幸江 篇〜
- 2007年10月3日発売。DVD1枚組、40分。映画公開前に発売されたナビゲートDVD。
- サウンドトラック
- 『自虐の詩 オリジナル・サウンドトラック』2007年10月24日発売、ユニバーサルシグマ。
- 書籍