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『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』(いしつぶて けいしちょう にかでかののこしたもの)は、清武英利によるノンフィクション小説。2017年7月、書き下ろし作品として講談社より単行本出版。2001年に実際に起きた「外務省機密費流用事件」を捜査した警視庁捜査二課の刑事たちを描く。2018年、第2回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞受賞作品[1]。
石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの | ||
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著者 | 清武英利 | |
発行日 | 2017年7月25日 | |
発行元 | 講談社 | |
ジャンル | ノンフィクション小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 四六判 | |
ページ数 | 370 | |
公式サイト | bookclub.kodansha.co.jp | |
コード |
ISBN 978-4-06-220687-7 ISBN 978-4-06-516376-4(文庫本) | |
ウィキポータル 文学 | ||
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『石つぶて 〜外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち〜』(いしつぶて がいむしょうきみつひをあばいたそうさにかのおとこたち)と題し、2017年11月にWOWOWでテレビドラマ化された[2]。
事件当時、著者は社会部の記者として警視庁を担当しており、実際に捜査二課と四課に出入りして取材を重ねていた。この作品はそのときの取材をベースに事実に基づいて執筆された[3][4]。本書に登場する人物名は、現職の刑事一人を除き全て実名である[5]。
警視庁捜査二課には重要な部門が二つある。一つは「サンズイ」(汚職の隠語。汚の偏であるさんずいから)と呼ばれる贈収賄事件を専門に摘発する「ナンバー」こと二課の花形・第四(第一班~三班)、第五(第四班~六班)、第六(企業四係~六係)の知能犯各部門。もう一つは、汚職の情報を集め、その裏取りを行ってナンバーに案件を引き渡す第一知能犯情報係、通称「情報」[6]。
1999年、情報係の主任が、外務省汚職疑惑の調査を元政治家水野清から依頼される[7]。翌年開催される九州・沖縄サミットは[注 1]、物品納入は競争入札のはずだが、外務省役人と癒着した業者に不当に落札されて仕事が取れない、その癒着役人らは代議士より贅沢な暮らしをしている、との苦情・内部告発があり、水野はもし事実なら、外務省の役人主導で談合(官製談合)に相当すると考えた。告発者は業者に転職しているものの元外務省のノンキャリの出身だった[8]。
情報係主任警察官が告発者を事情聴取。このとき明らかになった利益供与手段は役人への金券(ビール券やタクシーチケット)贈答であり[注 2]、癒着役人だとして浮上した名前は欧州局西欧第一課課長補佐・浅川明男であった[9][10]。しかし、同社の営業員の追跡聴取により「外務省の三悪人」の存在があきらかになり、当サミットのロジスティクスを掌握しているのは浅川ではなく後任の松尾克俊であることが判明する[11]。以降、本書の焦点は松尾に移り、その女性関係(愛人や囲いのマンション)[12]、十数頭におよぶ競走馬所有[13]、複数銀行の虎ノ門支店と、数千万円単位で現金入金(資金源の出所不明)[14][注 3]、銀行口座からクレジットカード決済としかなく具体的な使途目的が不明な支出[15]等へと捜査が展開する。
この節には内容がありません。 (2020年6月) |
石つぶて 〜外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち〜 | |
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ジャンル | 連続ドラマ |
原作 | 清武英利『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』 |
脚本 | 戸田山雅司 |
監督 |
若松節朗 村谷嘉則 |
出演者 |
佐藤浩市 江口洋介 北村一輝 萩原聖人 飯豊まりえ 真飛聖 菅田俊 矢島健一 小野了 細田善彦 三浦誠己 石崎なつみ おかやまはじめ 清水伸 佐藤銀平 山田明郷 羽場裕一 田中健 笹野高史 津嘉山正種 佐野史郎 |
ナレーター | 上白石萌歌 |
音楽 | 住友紀人 |
国・地域 | 日本 |
言語 | 日本語 |
製作 | |
プロデューサー |
岡野真紀子 永井麗子 |
撮影監督 | 蔦井孝洋 |
編集 | 新井孝夫 |
制作 | 共同テレビ(協力) |
製作 | WOWOW |
放送 | |
放送チャンネル | WOWOWプライム |
映像形式 | 文字多重放送 |
音声形式 | ステレオ放送 |
放送国・地域 | 日本 |
放送期間 | 2017年11月5日 - 12月24日 |
放送時間 | 日曜 22:00 - 23:00 |
放送枠 | 連続ドラマW |
放送分 | 60分 |
回数 | 8 |
公式サイト | |
特記事項: 初回はノンスクランブル放送。 |
『石つぶて 〜外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち〜』(いしつぶて がいむしょうきみつひをあばいたそうさにかのおとこたち)のタイトルで、WOWOWプライム「連続ドラマW 日曜オリジナルドラマ」にて2017年11月5日から12月24日まで放送された。全8話(初回はノンスクランブル放送)。主演は佐藤浩市[2]。
テレビドラマ化にあたっては捜査二課の退職警官が監修を務めた[18]。テレビドラマには当時の実際の九州沖縄サミットの映像が使用されている。
木崎睦人は警視庁捜査二課第一知能犯情報係に所属する刑事である。
捜査二課が扱うのは「サンズイ」と呼ばれる贈収賄等の汚職の他、横領や背任、詐欺などの経済犯罪である。7つの知能犯部門を有し、中でも第四、第五、第六は「ナンバー」と呼ばれ、贈収賄を専門に摘発する。 木崎の所属する第一は、汚職の情報をひたすら拾い集め、その裏取りを行ってナンバーに案件を引き渡すのが役目である。
ある日、木崎は政治家の溝口恭輔から事務所に呼び出された。
「あのな、けしからん話があるんだ。外務省にとんでもない役人がいるらしい。近々来れるかね。」
木崎は、真瀬和則というノンキャリア職員がエリートのキャリア職員よりも過大な贅沢をしているとの情報を得る。木崎は綿密な調査を進め、真瀬が数億円に及ぶ預金、12頭の競走馬、高級マンションを所有している事実をつかむ。
十分な裏付けを得てこれらが公金の横領によるものだと踏んだ木崎は、本格的な捜査へ移行するために、情報係からナンバーへと捜査資料を引き渡した。しかし九州沖縄サミットの終了を迎えても捜査が進展した形跡がみられない。これを訝った木崎がナンバーに探りを入れると、案件は未着手のまま塩漬けになっている事実を知る。
警視庁刑事部長からのリークにより捜査の手が入ったことを知った外務省上層部は、真瀬のパリ海外赴任を決定する。事件がお蔵入りになることを危惧した木崎らは、ナンバーから捜査資料を回収し、自ら真瀬の事情聴取に踏み切る。しかし真瀬の答弁は、現金で受け取った父の遺産2億円と、私口座管理していた外遊の立替経費ということで、完全に辻褄の合うものであった。これで捜査は行き詰まったかと思われたが木崎は、20年前に受領したという現金が旧札ではなく新札であったという事実をつかむ。
各話 | 放送日 | 監督 |
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第1話 | 11月 | 5日若松節朗 |
第2話 | 11月12日 | |
第3話 | 11月19日 | 村谷嘉則 |
第4話 | 11月26日 | |
第5話 | 12月 | 3日若松節朗 |
第6話 | 12月10日 | 村谷嘉則 |
第7話 | 12月17日 | 若松節朗 |
最終話 | 12月24日 | |
テレビドラマは「東京ドラマアウォード 2018」優秀賞[24][25]、及び「日本民間放送連盟賞(平成30年)」テレビドラマ番組優秀[26][27]を受賞した。
2018年4月、TCエンタテインメントよりDVD化[30]。
WOWOW 日曜オリジナルドラマ 連続ドラマW | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
沈黙法廷
(2017年9月24日 - 10月22日) |
石つぶて
〜外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち〜 (2017年11月5日 - 12月24日) |
監査役 野崎修平
(2018年1月14日 - 3月4日) |
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