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イソップ寓話 ウィキペディアから
「酸っぱい葡萄」(すっぱいぶどう)は[1]、イソップ寓話(ペリー・インデックス15)の一つで、その邦題(日本語題名)の一つ。原題(古代ギリシア語題名)は "Ἀλώπηξ καί σταφυλή"(ラテン翻字:Alópex kái staphylé、和訳:狐と葡萄)[2]、ラテン語題名は直訳した "Vulpes et uva "、英題も直訳した "The Fox and the Grapes " で、邦題にも直訳した「狐と葡萄(きつねとぶどう)」がある。狐が己が取れなかった後に、狙っていた葡萄を酸っぱくて美味しくないモノに決まっていると自己正当化した物語が転じて、酸っぱい葡萄(sour grapes)は自己の能力の低さを正当化や擁護するために、対象を貶めたり、価値の無いものだと主張する負け惜しみを意味するようになった[3]。
イソップ寓話の原典については、存在したかどうかも含めて不明である。現存するのは全て後世に編集されたもので、ここでは以下の3言語における“編集された本文”を記載する。
バブリウスの古代ギリシア語文
Ἀλώπηξ λιμώττουσα, ὡς ἐθεάσατο ἀπό τινος ἀναδενδράδος βότρυας κρεμαμένους, ἠβουλήθη αὐτῶν περιγενέσθαι καὶ οὐκ ἠδύνατο. Ἀπαλλαττομένη δὲ πρὸς ἑαυτὴν εἶπεν· «Ὄμφακές εἰσιν.» Oὕτω καὶ τῶν ἀνθρώπων ἔνιοι τῶν πραγμάτων ἐφικέσθαι μὴ δυνάμενοι δι' ἀσθένειαν τοὺς καιροὺς αἰτιῶνται.
パエドルスのラテン語文
Fame coacta vulpes alta in vineauvam adpetebat, summis saliens viribus. Quam tangere ut non potuit, discedens ait: "Nondum matura est; nolo acerbam sumere." Qui, facere quae non possunt, verbis elevant,
adscribere hoc debebunt exemplum sibi.
クリストファー・スマートの英文
An hungry Fox with fierce attackSprang on a Vine, but tumbled back, Nor could attain the point in view, So near the sky the bunches grew. As he went off, "They're scurvy stuff," Says he, "and not half ripe enough-- And I 've more rev'rence for my tripes Than to torment them with the gripes." For those this tale is very pat
Who lessen what they can't come at.
お腹を空かせた狐は、たわわに実ったおいしそうな葡萄を見つけた。食べようとして懸命に跳び上がるが、実はどれも葡萄の木の高い所にあって届かない。何度跳んでも届くことは無く、狐は、怒りと悔しさから「どうせこんな葡萄は酸っぱいに決まっている。誰が不味そうな葡萄なんか食べてやるものか」と負け惜しみの言葉を吐き捨てると別の食べ物を探しに去っていった。
自分こそが手に入れたかったが、到底かなわない対象と判断・諦めた後に、一部の人々はその対象を一転「価値の無いもの」「自分にふさわしくない低級なもの」と無意識に思い込もうとし、それを理由に諦めた原因である己の能力の不足と向き合うことから逃げて、心の平安を得ようとする[3]。
フロイトの心理学では、この人々の自己正当化・自己防衛思考を防衛機制および合理化の例とする。また、社会心理学においては、認知的不協和の例とされる。英語には、この寓話を元に生まれた熟語として "sour grapes" があるが、これは「負け惜しみ」を意味する。「負け惜しみを言う」が"cry sour grapes" 、「負け惜しみを言う人」は"sour loser"や"bad loser"と言われている[3]。
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