御茶の水美術学院、桑沢デザイン研究所、武蔵野美術大学で学ぶ[6][1]。学生時代に助監督のアルバイトを務めたことで映像業界に興味を持ち、テレビドラマ『海の音』で美術監督を務めていた成田亨の誘いで円谷特技プロダクション(現:円谷プロダクション)の作品に参加[5][6]。舞台美術や『ウルトラマン』(1966年 - 1967年)の特殊美術助手・美術監督・メカニックデザインを経て、『ウルトラセブン』(1967年 - 1968年)では特殊美術デザイナーに昇格。撮影現場での実質的なチーフとなる。第31話からは、降板した成田に替わり怪獣デザインを兼任した[5][6][1]。
『怪奇大作戦』(1968年 - 1969年)に参加後、一旦円谷プロ作品から離れ、一連の円谷プロ作品に参加していた実相寺昭雄を中心にコダイグループ(現:株式会社コダイ)を結成[1]。実相寺昭雄の監督のATG作品を筆頭に一般映画の美術も手がけるようになる。以後、鈴木清順作品や寺山修司作品、相米慎二作品、篠田正浩作品など、数多くの著名な映画監督の作品の美術を担当。
『写楽』(1993年)、『瀬戸内ムーンライト・セレナーデ』(1998年)で日本アカデミー賞最優秀美術監督賞を受賞。
これらの映画の傍ら、円谷プロや宣弘社などのテレビの番組の美術、キャラクターデザインや、数多くのCM美術も担当。
また、オリジナルビデオ『実相寺昭雄の不思議館』(1992年)では実相寺・大木淳吉と共同で企画に携わったほか、第2話「床屋」の本編演出も手掛けている。
2016年10月25日、癌のために死去[3][8]。76歳没。
- 映像については実相寺昭雄が師匠であったが、美術における師匠はいないとしている[4]。助手を務めた成田亨からは、美術としてのプライドや人生観は受け継いだが、技術的なことについては話をしていないと述べている[4]。
- 1971年に『帰ってきたウルトラマン』で美術として立ち上げに参加するが、映画などで多忙になり1クールで降板した。その後、旧知の特技監督である大木淳が本編を初担当した第32話で大木からの依頼により怪獣キングマイマイのデザインを手掛けた。元々池谷は怪獣映画をやりたいと思ったことはなく、本格的な映画の制作があればそちらへ行こうという気持ちがずっとあったという。また『帰ってきた』という原点回帰についてもマイナスなイメージを抱いていたと述べている。後年のインタビューでこのころを振り返り、不真面目にやったつもりはないが、映画に意識が行っていたと反省の弁を述べている。
- 『帰ってきたウルトラマン』の後に参加した『シルバー仮面』についても実相寺昭雄がやっていなければ参加しなかった旨を語っている。
- 体操の経験があったことから、『シルバー仮面』の撮影時にテストでシルバー仮面のスーツアクターを務めたところ、着地に失敗して骨折し、その後は松葉杖で現場に通っていた[9]。
CM
- レナウン(ワンサカ娘編、1978年)
- 西武百貨店「うれしいねサッチャン」シリーズ(1984年)
キャラクターデザイン
- 1973年 『ファイヤーマン』
- 三本角怪獣 ドリゴン(第1話、第2話)[14]
- 一本角怪獣 ドリゴラス(第1話、第2話)[14]
- 巨大剣竜 ステゴラス(第3話、第4話)[14]
- 原始恐竜 ジュラザウルス(第5話)[14]
- 宇宙恐竜 スペ―ザー(第6話)[14]
- 宇宙菌獣 キノクラゲス(第7話)[14]
- カプセル怪獣 クマゴラス(第8話)[14]
- 殺し屋怪獣 ネロギラス(第9話)[14]
- ロボット怪獣 バランダーV(第10話)[14]
- 岩石怪獣 スコラドン(第11話)[14]
- フライング怪獣 ティラザウルス(第12話)[14]
- 黄金竜 ドランゴ(第13話)[14]
- 大恐竜 チラノドン(第14話)[14]
- 一角巨獣 ラノザウルス(第15話)[14]
- 長頸怪獣 ロングネック(第16話)[14]
- 強獣 キングザウラ(第17話、第18話)[14]
- 原始怪獣 マクノザウルス(第19話)[14]
- 宇宙怪獣 ムクムク(第19話)[14]
- 突風怪獣 ガガンゴ(第20話)[14]
- 二頭怪獣 ダブルゴッド(第21話)[14]
- 肉食怪獣 デストロザウルス(第22話)[14]
- 猛毒怪獣 グリーンギラー(第23話)[14]
- 音霊怪獣 ハモニガン(第24話)[14]
- レーザー怪人 ヴィレナス星人(第25話)[14]
- サーベル怪獣 ガドラザウルス(第26話)[14]
- 原始大怪獣 デビルザウルス(第28話)[14]
- 合体怪獣 ベムサキング(第28話)[14]
- 宇宙怪獣 スペーグス(第29話)[14]
- 宇宙怪獣 スペーグスJr.(第29話)[14]
- 宇宙怪獣 ダークマンダー(第30話)[14]
- DVD『ウルトラセブン』VOL.5特典映像「ウルトラアペンディックス 私のスケッチブック」(1999年)
- DVD『怪奇大作戦』Vol.6特典映像「怪奇大作戦とは」(2004年)
- ウルトラ情報局(2005年1月号)
出典
豪怪奔放 2021, pp. 105–107, 「第1章 ウルトラマン 1971-1974 検証:栄光の怪獣王国、狂乱のデザイン史―ウルトラマン第二期 編― 01 第二期ウルトラマンシリーズのとば口で池谷仙克が創造した。端正な異形の衝撃 DESIGNER 池谷仙克」
豪怪奔放 2021, pp. 4–31, 「第1章 ウルトラマン 1971-1974 帰ってきたウルトラマン」
豪怪奔放 2021, pp. 150–161, 「第2章 銀河連邦 1971-1973 ファイヤーマン」