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水江 未来(みずえ みらい、1981年7月14日[1][2] - )は、日本のアニメーション作家。『細胞アニメーション』と呼ばれる抽象・ノンナラティブ作品を多数制作している。
抽象表現をメインにした作風のアニメーション作家では日本の代表的な人物。MVなど音楽系の映像作品を多数手がける。2020年11月からYouTuberとしても活動している。MIRAI FILM(ミライフィルム)代表。日本アニメーション協会・理事。ASIFA国際アニメーションフィルム協会日本支部・会員。
ベルリン映画祭、ヴェネチア映画祭でのノミネート歴や、アヌシー国際アニメーション映画祭で2度の受賞歴を持つ。
2018年、VOCA展に参加。2019年より、初の長編アニメーション「水江西遊記(仮)」を製作中。2019年3月にフランス・ボルドーで開催されたCartoon Movieと、平成30年度メディア芸術クリエイター育成支援事業・成果プレゼンテーションにて、企画が発表された。2019年(平成30年度)、文化庁から東アジア文化交流使に任命される[3]。
大学でアニメーション教育にも従事している。多摩美術大学グラフィックデザイン学科・非常勤講師。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース・非常勤講師。京都精華大学映像コース・非常勤講師。東京家政大学造形表現学科・非常勤講師。イメージフォーラム映像研究所・専任講師。
福岡県福岡市出身[4]。3歳のときに正確な円を描き周囲を驚かせる。小学生から高校生まで絵画教室で油絵を学ぶ。高校2年生から美術予備校すいどーばた美術学院に通い、一浪した後、多摩美術大学グラフィックデザイン学科に入学する。入学直後に同級生たちの描写力の高さに驚き、何か武器を身につけなければならないと考え、細胞の絵を描き始める。同じ時期に新宿武蔵野館で上映されていたヤン・シュヴァンクマイエルの特集上映『タッチ&イマジネーション』を観て衝撃を受ける。
大学2年生のときにアニメーションの授業を担当していた同大学教授の片山雅博と出会い、片山の指導の下、これまで描いてきた細胞の絵を動かすべくアニメーション制作を始める。同授業では、世界の短編アニメーションを数多く紹介し、その中でユーリ・ノルシュテインやノーマン・マクラレンの作品に魅了される。そして完成した処女作「FANTASTIC CELL」は、2004年の広島国際アニメーションフェスティバルにノミネートされ、大学在学中に国際映画祭のデビューを飾る。その他、ノルシュテイン大賞・奨励賞、ART-BOX大賞展・久里洋二賞、京都国際学生映画祭、文化庁メディア芸術祭・審査委員会推薦作品など多くの賞を受賞する。以降、「細胞」や「幾何学図形」をモチーフにした抽象アニメーション作品を多数制作し、主に国際映画祭を舞台に現在も活動を続けている。
多摩美術大学グラフィックデザイン学科のアニメーションは、『タマグラアニメ』と呼ばれゼロ年代初頭から学生アニメーションを牽引した。『つみきのいえ』でアカデミー賞を受賞した加藤久仁生や、現在美術家で『電車かもしれない』のアニメーションを制作した近藤聡乃は先輩にあたる。同級生にはアートディレクターの藤田純平や、映像監督の田向潤がいる。2005年に多摩美術大学・美術学部・グラフィックデザイン学科を卒業し、2007年に多摩美術大学大学院・美術研究科・デザイン専攻を修了した[1]。
世界4大アニメーション映画祭(アヌシー・オタワ・広島・ザグレブ)すべてにノミネート経験があり、アニマドリード2009(スペイン)では、『DEVOUR DINNER』が準グランプリを受賞。
アヌシーでは10度の公式上映があり、2012年と2014年に受賞、2018年には『DREAMLAND』がクロージングセレモニーで特別上映された。
世界3大映画祭である、ヴェネチア映画祭では『MODERN No.2』(2011年制作)、ベルリン映画祭では『WONDER』が、ワールドプレミアで正式招待上映された。
第68回ヴェネチア映画祭オリゾンティ部門(2011)に『MODERN No.2』がノミネートされ、塚本晋也監督『KOTOKO』とカップリング上映される。アヌシー国際アニメーション映画祭2012では、SACEM賞(最優秀映像音楽賞)を受賞。
2012年4月1日〜2013年3月31日までの1年間(365日)、毎日1秒のアニメーションをネットで発表し続ける『WONDER 365 ANIMATION PROJECT』を達成し、同プロジェクトのアニメーションを一本に編集した短編作品「WONDER」を完成させる。楽曲は、元たまの知久寿焼、石川浩二らが所属し、ロケット・マツが率いるアコースティックオーケストラ的バンドのパスカルズが提供。
2014年、第64回ベルリン映画祭の短編メインコンペティションに『WONDER』(2014年制作)がノミネートされ、映画祭のキュレーターが選ぶ『BERLINARE SHORTS GO WEST』のプログラムにも選出された。短編部門では、水尻自子監督『かまくら』と共に選出され、同部門に選出された日本作品は、この2作品のみで共にアニメーションである。
アヌシー国際アニメーション映画祭2014では、CANAL+CREATIVE AID賞(最優秀国内作品賞)を受賞。アヌシーで複数作品が受賞した日本人は、川本喜八郎と水江の二人のみで、共に2回受賞。
ノーマン・マクラレンへのオマージュ作品『The Baby Birds of Norman McLaren』(共同監督:中内友紀恵/音楽:トクマルシューゴ)は、ノーマン・マクラレン生誕100年を記念してモントリオールで行われたコンテスト『McLaren Wall to Wall』(主催:NFB)で準グランプリを獲得。
文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員会推薦作品に過去7度作品が選出。
NHKデジタルスタジアムに4度選出されるが、ベストセレクションに選ばれたことは一度もない。
2010年、大山慶、和田淳、土居伸彰らと共にインディペンデントアニメーションレーベル『CALF』設立。同レーベルからDVD『水江未来作品集2003-2010』を発売。現在、CALFは映像制作会社として活動していて、作家集団としてのCALFは解散していて、水江もメンバーから外れている。
国内の若手〜中堅の作家が制作した短編アニメーションを上映するイベント『TOKYO ANIMA!』の実行委員(主にキュレーション担当)を藤田純平(実行委員長、アートディレクション担当)と共に務め、六本木アートナイトの中の催しとして2010年から毎年開催している。水江は主に上映作品のキュレーションを担当している。会場は国立新美術館。
様々なアニメーション作家をゲストに迎えるトークイベント『水江未来のアニとーく!』。オンラインLive配信や、ギャラリーアキチ、ライブハウス下北沢ろくでもない夜などを会場に、2010〜2017年まで不定期で開催していた。これまでのゲスト一覧:デコボーカル・和田淳・銀木沙織・橋本新・土居伸彰・ぬQ・久野遥子・冠木佐和子・幸洋子・姫田真武・沼田友・飯塚貴士。
2012年から2017年の間に不定期で開催された変態アニメーションナイト。ブルース・ビッグフォードやピーター・ミラードなどの変態性の高い作品を、1作品ごとにトークを挟んでいく形式で、水江は主催者の土居伸彰と共にMCを第一回から担当していた。基本的に3時間ほどのイベントだが、オールナイト上映の場合もあった。ここでいう変態とは昆虫の変態などの形が変容する“メタモルフォーゼ”の意味で、ぐにゃぐにゃと変容される作品や、かなりストレンジなスタイルで制作された作品が数多く上映された。カルト的な人気のイベントだった。
2014年2月に、水江未来がこれまで制作した短編作品の特集と、ベルリン映画祭でワールドプレミア上映された最新作「WONDER」の日本凱旋上映として、『ワンダー・フル!!』[注釈 1]と銘打って、渋谷ヒューマントラストシネマでの上映を皮切りに全国20箇所の劇場で上映された。インディペンデント・アニメーション作家単独の短編アニメーション作品を映画館で一般興行するのは極めて異例である。興行上映は国内のみだが、2015年にはオランダアニメーション映画祭で、オムニバス長編映画として特別上映された。
2015年・国際交流基金と現地映画祭の主催で、ミャンマーでアニメーションのワークショップを開催。参加者は現地の大学で映画を専攻している学生や、イラストレーターや映像制作業をしているプロなど。ヤンゴンとマンダレーの2都市で開催された。これまで、CMなどの演出で多少のアニメーション表現は存在したが、テレビアニメや映画など、ミャンマーには本格的なアニメーションの歴史が存在していなかった。なので、ミャンマーのアニメーション史にとっても、このワークショップは重要な意味を持つものになった。その後、ワークショップは日本から様々な講師を呼び毎年続いて、ミャンマーのアニメーション文化は飛躍的に進んでいる。水江も2019年に再び講師として訪れている。
2019年1月に、東アジア文化交流使として韓国ソウルに滞在。アニメーション作家ホン・ハクスン氏とチャン・ヒョンユン氏のスタジオを訪問した。また、仁川アートプラットフォームにて上映イベントを開催し、日韓アニメーション文化の交流発展に貢献した。
芸能界でも、キングコングの西野亮廣や、GLAYのTERU、PUFFYの大貫亜美など、劇場まで足を運び、水江のアニメーション作品に魅了された人物は多い。キングコング西野は、TERUの紹介で上映を観に行き、水江と出会った。その後トークイベントやテレビ番組での対談など親交が続いている。大貫亜美とはその後、連載エッセイ「たぬきが見ていた」の挿絵を担当している。
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