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架空のロボットの分類 ウィキペディアから
リアルロボット (Real robot) とは、アニメやゲームなどに登場する、架空のロボットの分類のひとつで、リアリティを重視したロボットの総称[1]。対義的な言葉としてスーパーロボットがある。
機動兵器と分類されることもあり、この場合は必ずしも四肢を持つ人型の機体ではなく、腕または足だけの機体(『機動戦士ガンダム』のビグロやビグザム、超時空シリーズのガウォークなど)や、そもそも四肢が存在しない機体(『機動戦士ガンダム』のブラウ・ブロや『超時空要塞マクロス』のケルカリア)、多脚型の『太陽の牙ダグラム』のガンナーシリーズのような戦闘機や艦艇、戦闘車両に近い機体も、この分類に入る場合がある。
ロボットアニメのクロスオーバー作品『第4次スーパーロボット大戦』で初めて登場し、同作品では上記のような意味合いを持つロボットを「リアルロボット」、一方でマジンガーZなどのヒーロー的ロボットを「スーパーロボット」と表現している[1]。この言葉自体は、それ以前からアニメ雑誌などで、サンライズ制作作品などに「リアルロボット路線」といった表現で使用されていた。この「リアル」とは、実在しうるという意味ではなく、フィクション世界における実在感(リアリティ)があるという意味である。そのため、現実で研究・使用されている「ロボット」はリアルロボットとは呼ばない。
主に現実の兵器と同じくマスプロダクション的なロボットがこう呼ばれるが、言葉の性質上、明確な定義があるわけではなく、どのロボットをリアルロボットと呼ぶかは概ね製作者の判断に委ねられる。スーパーロボット大戦シリーズのプロデューサー・寺田貴信は、リアルロボットとスーパーロボットの境目を「説明できるエネルギーで動いているか」であると語ったことがある[2]。ただし、リアルロボットに分類されるが動力源が設定されていない作品や、動力源以外にも詳細な科学設定を持つスーパーロボットも存在する。
命名は『太陽の牙ダグラム』や『装甲騎兵ボトムズ』などの監督を務めた高橋良輔であり、対談で「多分僕が言い出したこと」と語っている[3]。リアルロボットの他、人型機動兵器などの呼称もある。
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SFアニメ作品において多数の兵器や国家間の戦争を描き、リアルなメカニック設定を行ったアニメとして『宇宙戦艦ヤマト』があった。『宇宙戦艦ヤマト』はそれまでのスーパーロボット物やヒーローメカ物作品のような、主役メカ=主人公そのもの(もしくは主人公以上の物)ではなくあくまで象徴的な道具として描く事が多かった。それ以外の初期の例としては1974年に放送された『ゲッターロボ』では、「主役ロボットは宇宙開発用だった機体を武装したもの」「練習機による訓練」「ロボットを援護・支援する偵察機」などの設定が描写されており、翌年に放送された続編『ゲッターロボG』では「後継機は前作での苦戦を踏まえて最初から戦闘用として開発」「ロボットの出力は10倍になったが消費も激しい」「消費量を補うため偵察機に空中給油機の機能を搭載」などの設定が追加されている。1977年に放送された『合身戦隊メカンダーロボ』では、「主人公らの乗るロボットは防衛軍の支援が主目的」「敵ロボットは量産品で世代も設定されている」など軍事的なリアリティを取り入れた作品も存在した。ただし主人公の乗るロボットは一騎当千の活躍を見せる存在であり、軍事作戦に投入される量産兵器ではなかった。
軍事的なリアリティをロボットアニメに取り入れた先駆的な作品が、富野喜幸(現・富野由悠季)の『機動戦士ガンダム』である。同作はロバート・A・ハインラインのSF小説『宇宙の戦士』に登場する強化防護服(パワードスーツ)からヒントを得て、ロボットアニメに新たな解釈をもたらした(機動戦士ガンダム#概要の項を参照)。
従来のアニメのロボットは、神秘的かつ絶対的な存在として表現される場合が多かったが、これに対し『機動戦士ガンダム』では、
このような設定・概念が、それまでのロボット作品と決定的に違い、リアルロボットという概念を確立させた。当初、このような設定を持つ作品群を富野自身は「ハード・ロボットもの」と呼んでいたが、高橋の提示した「リアルロボット」の方が多く使われたため、本人も次第にハード・ロボットの呼称は使わなくなっている。また後にヒット作品となるゲーム『スーパーロボット大戦シリーズ』ではシステム上の区分として採用されるなど、一定の広まりを見せた[1]。
スーパーロボット作品では技術説明として『超合金』や『宇宙人の技術』など大まかな解説にとどまり、動力源が不明確だったり変形のプロセスに無理がある作品もあった。リアルロボット作品では製造メーカーの明示、制御装置やソフトウェアの概念、ミノフスキー粒子のようなロボットが存在する理由を詳細に設定するようになった。
ゲーム作品では「主人公は多数存在するパイロットの一人」「パーツが販売されている」「弾薬費や修理費が請求される」など量産品・兵器を反映したシステムを採用した作品も多い。
リアルロボット作品でも描写を重視しない作品も多く、「操縦には才能が必要」「代替品は存在しない」「量産型を圧倒する高性能な専用機」「神秘的・精神的な要素で活躍」するといった表現が「お約束」とした作品もある。特に架空のロボット競技を扱った作品では「破壊されると敗北」「搭乗者は機体を調整できる」などのルールにより、スーパーロボットのような扱いになっている作品もある。リアルロボットの代表格であるガンダムシリーズでも、『機動武闘伝Gガンダム』では機体は全て競技用であり国家が管理しているが、修行や気合いなど精神論的な要素がストーリーに大きく絡み、必殺技を出す際に技名を叫ぶなど、当時の「格闘もの」の影響を受けてスーパーロボットアニメやスポ根作品に近い演出が行われている[4]。ゲーム作品の『アーマード・コアシリーズ』では搭載できる武器の重量制限や弾薬や修理費の概念を取り込むなどリアルロボット路線だったが、『アーマード・コア4』に登場する『ネクストAC』は弾薬の補給や修理に出費が必要といった兵器的な側面と、才能のある人間しか操縦できず単機で戦局を覆す戦略兵器という相反する要素を設定し、それまでのシリーズとは差別化が図られた。
スーパーロボット作品でもガンダム以降に製作された作品には、型式の新旧や派生型の概念、消耗部品の交換といった産業的な描写を盛り込む作品が登場している。例として『機動戦士ガンダム』の後番組の『無敵ロボ トライダーG7』では、主役メカは敵側からの亡命者が設計したワンオフで地球製よりも高性能だが、主人公が経営する会社の備品として戦闘以外の作業に使われる、発進前に注意喚起を周囲に放送し安全確認を行う、経費がかさむため高価なミサイルの使用を控えるように忠告されるなど、運用にまつわる問題を強調することで、軍事兵器を強調したガンダムとは異なり産業機械的なリアリティを表現している。
元来リアルロボットとスーパーロボット共に厳密な定義は存在せず、現実感を重視したのがリアルロボット、見栄えを重視したのがスーパーロボット程度の区分けだった。1990年代以降は制作側が視聴者の嗜好の変化を取り込んだこともあり、両者の境界は曖昧となっている[5]。2000年に製作された『銀装騎攻オーディアン』では前半はリアルロボット、後半はスーパーロボット的な展開を志向した作品であり、前半で主人公が操縦するリアルロボットが後半で登場するスーパーロボットに格納されそのまま操縦システムになるという設定となっている。
スーパーロボット大戦シリーズには当初からスーパーロボット作品だけでなくガンダムをはじめとしたリアルロボット作品からの出演があり、一部の作品は主人公をスーパーロボットに乗るスーパー系、リアルロボットに乗るリアル系から選択できるものの、両者の違いはスーパー系はスーパーロボットに、リアル系はリアルロボットにのみ搭乗できる程度であり、ゲームの難易度や進行には影響していない。
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