東武50000系電車

東武鉄道の通勤形電車(2005-) ウィキペディアから

東武50000系電車

東武50000系電車(とうぶ50000けいでんしゃ)は、2004年に登場した東武鉄道通勤形電車2005年3月16日より東上線系統で営業運転を開始した。

概要 東武50000系電車, 基本情報 ...
東武50000系電車
(50000型・50050型・50070型・50090型)
Thumb
50000型51001F
(2019年12月16日 大山駅 - 下板橋駅間)
基本情報
運用者 東武鉄道
製造所 日立製作所笠戸事業所
製造年 2004年 - 2012年
製造数 400両
運用開始 2005年3月16日
主要諸元
編成 10両編成
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500 V架空電車線方式)
最高運転速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
車両定員 本文参照
全長 20,000 mm
20,130 mm(50070型・50090型先頭車)
全幅 2,876 mm
2,846 mm(50050型及び51003F・51076F以降)[1][2]
車体幅 2,800 mm[1][2]
2,770 mm(50050型及び51003F・51076F以降)
全高 4,080 mm(パンタ畳み高さ)
4,050 mm(空調上面)
車体高 3,620 mm(屋根上面)
車体 アルミニウム合金A-train
台車 モノリンク式ボルスタレス台車
SS-167形・SS-067形
主電動機 かご形三相誘導電動機 TM-03形
主電動機出力 165 kW
駆動方式 CFRP製TD継手式平行カルダン
歯車比 98:15=6.53
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ全電気ブレーキ
保安装置 50000型(51001F - 51007F)・50090型:東武形ATST-DATC
50000型(51008F・51009F)・50050型:東武形ATS・新CS-ATCATC-P
50070型:東武形ATS・T-DATC・新CS-ATC・ATO・ATC-P
備考 座席は全形式とも住江工業
テンプレートを表示
閉じる

本項では、本線系統伊勢崎線日光線)の東京メトロ半蔵門線東急田園都市線乗り入れ対応車両である50050型電車、東上線系統の東京メトロ有楽町線副都心線東急東横線横浜高速鉄道みなとみらい線乗り入れ対応車両である50070型電車および座席定員制列車TJライナー」用車両の50090型電車についても記述する。

なお、東武では同一系列内の区分では「型」の表記を使用している(本系列ではそれぞれ50000型・50050型・50070型・50090型)。また、個々の編成を表す場合は池袋押上新木場渋谷中央林間元町・中華街方先頭車の車両番号で代表して表記する。

概要

本系列は「人と環境にやさしい次世代車両」をコンセプト[3]、従来車両よりもバリアフリー省エネルギー・メンテナンスフリー化を目指し、また通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン仕様を考慮して設計された[3]

東武の通勤車では初めてアルミ車体を採用し[注 1][3]、以降新造される通勤車は全てアルミ製。製造は日立製作所が担当したが、東武における日立製の鉄道車両は78系7860形の製造以来、46年ぶり。

有料座席指定列車の「TJライナー」として使用されている50090型電車は運用に応じてクロスシートとロングシートに転換出来るデュアルシートを採用しており、TJライナー運行時はクロスシート、通常時はロングシートで運行される。西武鉄道の「S-TRAIN」「拝島ライナー」用の西武40000系電車や、京王電鉄の「京王ライナー」用の京王5000系電車 (2代)、自社の「THライナー」で運用する70090型電車など、50090型電車はその後のデュアルシート機構を備えた首都圏通勤ライナー用車両の先駆けとなった[4][5]

車両概説

要約
視点

この節では、特記なき限り共通事項及び登場時の形態について記述する。

車体

Thumb
中間車の車体側面(50050型)
初期の車両は車端部の1つ(右端)を除いて固定窓となっている
Thumb
先頭車の車体側面(50050型)
先頭車は連結面から窓までの間が狭い
後期の車両は扉間が一段下降窓となった

日立製作所製「A-train」をベースとしたダブルスキン構造を採用し、溶接工法には摩擦攪拌接合(FSW)を採用することで精度の高い仕上がりを図った。連結面は衝突事故における安全性を考慮して、側構体と妻構体の接合部を三角形の断面構造としている。これまでの東武の大型通勤形車両と同様、20m両開き4ドアの構造。

前頭部は構体部分とは別途製造された普通鋼製の前面パネルをボルト固定によって構体と接合している。前照灯HID灯尾灯LEDを採用し、一体のケースに収めて前面下部に配置。車両のカラーリングは新規のものとされ「輝く」を意味するシャイニーオレンジを前面下部に塗装で、側面戸袋部にフィルムで配している。

車両床面は一世代前の30000系よりも25 mm低い1,125 mmとしてホームとの段差を少なくしている。さらに廃車時のリサイクル性を考慮して車体各部のアルミ材質の統一を図っている[3]

先頭車は乗務員室のスペースを確保しつつ、全長が中間車と揃えられており、客室全体が連結面寄りに250 mmと大きくオフセットされている。

前面と側面の行先表示器はLED式を採用し、側面表示器は走行中の消灯機能を有するほか、後に号車表示が追加され、行先と交互に表示する。

また側面のドアは車外側の取手の配置が独特なもので、下部に1つ(右側のみ)、中央部に2つという配置となっている(従来車は下部に2つ)。

なお、本系列では形式や製造時期により車体側面には多数のバリエーションが存在する。各々の特徴は後述するが、まとめると以下の通りとなる。

さらに見る 形式, 先頭車の長さ ...
側面のバリエーション
形式先頭車の長さ扉間の窓車端部の窓
中央左右左端右端
51001F - 51002F、51051F - 51059F、51071F - 51075F(換気装置あり)
先頭車50000型・50050型標準固定窓固定窓*→開閉化固定窓下降窓
中間車50000型・50050型、50070型(車椅子スペース設置面)
先頭車50070型下降窓
中間車50070型(一般)
51003F - 51009F、51060F - 51068F、51076F - 51077F(換気装置なし)
先頭車50000型・50050型標準下降窓固定窓
50070型
中間車50000型・50050型・50070型
50090型(換気装置なし)
先頭車50090型下降窓固定窓90
中間車50090型(一般)
50090型(車椅子スペース設置面)固定窓90*固定窓90
備考
  • 左端・右端はそれぞれ外から見た場合を示す。
  • 50090型以外は、固定窓と下降窓で寸法が異なり、固定窓の方が僅かに大きい。
  • 扉間左右の窓は、51075Fのみ当初より開閉化改造車とほぼ同じ形態である。
  • 50090型は車端部の窓の位置と寸法、固定方式が異なる(表内「固定窓90」)。
  • 50090型の車椅子スペース部は、固定方式がさらに異なる(表内「固定窓90*」)。
閉じる

車内

室内もモジュール工法により組み立てられており、車内の部材は基本的にアルミニウムを多用(単一合金化)することでリサイクル性を考慮。

内張りにはアルミ基盤の高硬度アートテックを使用し、艶消しの白色とすることで清潔感のあるデザインとした。床敷物は火災対策・安全対策から滑りにくいゴム製のグレーの床敷物を採用し、座席前と中央部で濃淡をつけてフットラインを表した。特に出入口部は黄色として目立たせた[3]。なお床敷物について、本来アルミ材の上に貼り付けて使用する製品がゴム材だけで使用されていたことが後に判明、難燃性規格を満たさないことから2010年に国土交通省より改善指示が出された[6][7]。これに対し東武鉄道は、他系列を含めて2014年(平成26年)度上期までの交換を予定していると回答[6][7]

座席住江工業製の片持ち式ロングシートを採用、セミバケット式で1人分の掛け幅は460 mm[3]。モケットは、一般席がフジの花をイメージした紫色の「ウイステリアパープル」、優先席部では安心感と優しさを感じさせる色調として青緑色の「コンフォートグリーン」となっている。座席端には大形の袖仕切りを設け、また7人掛け座席にはスタンションポール(縦握り棒)が1本設置されている。

外部リンク

東武鉄道ニュースリリース
その他記事
Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.