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鎌倉時代から南北朝時代にかけて円満院門跡の門主を務めた宮家 ウィキペディアから
早田宮(はやたのみや、わさだのみや)は、日本の皇室における宮家の一つ。鎌倉時代から南北朝時代にかけて存在した。円満院門跡の門主を務めた。別名「円満院宮」とも[1]。
嘉禎2年(1236年)10月に誕生した後嵯峨天皇の第七皇子・円助法親王が「早田宮」あるいは「金龍寺宮」と称したことが史料上の初見である。
円助法親王は宝治3年(1249年)1月に円満院で出家し、翌建長2年(1250年)2月に法親王宣下を受け、円満院門跡となる。正嘉元年(1257年)には園城寺長吏に、弘長2年(1262年)9月には四天王寺別当に補せられ、文永10年(1273年)に牛車を許され、翌文永11年(1274年)3月に二品に叙せられている[1][2]。父・後嵯峨法皇の崩御時にはその遺言書を開き、弟にあたる亀山天皇を治天の君に決定する時の立会人となった[3]。 『増鏡』には、文永10年(1273年)に円助法親王が宮中で尊星王の修法を勤めたところ間もなく火災が起こり、亀山天皇が故・後嵯峨院の遺産処分状の入った小唐櫃を救出したというエピソードが紹介されている[4]。弘安5年(1282年)8月12日薨去。享年47。
円助法親王の弟にあたる鎌倉幕府第6代征夷大将軍・宗尊親王の次男の真覚権僧正が「早田宮」を称して円満院門跡となる[5][6]。
「早田宮僧正」とも呼ばれたらしい真覚は[7]、父・宗尊親王の晩年にあたる文永7年(1270年)に中将・堀川具教の女を母として生まれ、同母妹には後に永嘉門院となる瑞子女王があった[5][6][8]。
真覚には元応元年(1319年)生まれの王子・早田宮宗治王と一名以上の女子があった[5][10]。宗治王は後醍醐天皇の猶子となるが、その後源姓を賜り臣籍降下し、「非参議従三位左中将宗治」あるいは「宮三位中将」とも呼ばれた[7][10][11]。宗治は後醍醐天皇の皇子で南朝征西将軍宮となった懐良親王と同じく九州に赴任した模様で、貞和元年(1345年)鎮西で没したという。享年27[11]。
宮号の起源は、文永9年(1272年)『後嵯峨上皇処分状案』の円満院宮の項に豊後稙田庄があることに関係している可能性がある[12][13]。後述する『太平記』の現存する諸本のうち、成立当初の内容に一番近いとされる古態本『西源院本太平記』(重要文化財)では「早田宮」を「はやたのみや」と読ませている[14]。
『太平記』巻第21「塩冶判官讒死之事」(えんやはんがんざんしのこと)には「先帝(後醍醐天皇)ノ御外戚早田宮ノ御女」が登場する。同書によれば、名を「弘徽殿ノ西ノ台」といい、出雲守護・塩冶判官高貞の妻であったが、足利尊氏の執事・高師直は、美女として評判が高かった彼女に恋慕の念を抱いて卜部兼好に代筆させた恋文を西台へ送り、その後、彼女の湯上り姿を覗き見して一層恋心を募らせながらも、西台から拒絶されたことで、師直は彼女の夫・塩冶判官を中傷して謀反の疑いをかける。暦応4年(1341年)3月、西台とその子らは密かに京都を出奔し領国の出雲に向かうが、山名時氏らの追討を受けて妻子共々播磨の蔭山(兵庫県姫路市豊富町)にて自害(一説に家臣の手で斬死)したとされ[14][15]、妻子の訃報を出雲宍道郷の佐々布山で聞いた高貞は、師直への恨みの言葉を叫びながら馬上で腹をかき切って自害したという[15]。
人形浄瑠璃および歌舞伎の演目である『仮名手本忠臣蔵』は、江戸時代の元禄14年(1701年)から翌元禄15年(1702年)にかけて起こった元禄赤穂事件を竹田出雲・三好松洛・並木千柳らが取材して制作したもので、寛延元年(1748年)に初演された。しかし、事件に関わった人物の実名を用いて上演することができなかったため、竹田らは『太平記』にある塩冶判官と高師直の事件をモチーフに利用し、事件の中心的人物である吉良上野介には高武蔵守師直(こうのむさしのかみもろのう)の、浅野内匠頭には塩冶判官高定(えんやはんがんたかさだ)の名をそれぞれ充てることとなった。塩冶判官の美貌の妻として登場する「顔世御前」が、『太平記』に登場する早田宮ノ御女西台に当たる[15][16]。
塩冶高貞の子孫については諸説あるが、『羽衣石南条記』によれば伯耆羽衣石城主南条氏の祖・南条貞宗は高貞の第二子であったという[15]。
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