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技術士法(昭和58年4月27日法律第25号)に基づく日本の国家資格 ウィキペディアから
技術士(ぎじゅつし、英: Professional Engineer)は、技術士法(昭和58年法律第25号)に基づく日本の国家資格である[1]。「科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある最高位の国家資格」であり[2][3]、この資格を取得した者は、科学技術に関する高度な知識、応用能力および高い技術者倫理を備えていることを国家によって認定されたことになる[2]。有資格者は技術士の称号を使用し登録した技術部門の技術業務を行える。
技術士 | |
---|---|
英名 | Professional Engineer |
実施国 | 日本 |
資格種類 | 国家資格 |
分野 | 科学技術分野全般 |
試験形式 | 筆記、口頭 |
認定団体 | 文部科学省 |
認定開始年月日 | 1958年(昭和33年) |
根拠法令 | 技術士法 |
公式サイト | https://www.engineer.or.jp/ |
特記事項 | 実施は日本技術士会が担当 |
ウィキプロジェクト 資格 ウィキポータル 資格 |
技術士補 | |
---|---|
英名 | Associate Professional Engineer |
実施国 | 日本 |
資格種類 | 国家資格 |
分野 | 科学技術分野全般 |
試験形式 | 筆記 |
認定団体 | 文部科学省 |
認定開始年月日 | 1984年(昭和59年) |
根拠法令 | 技術士法 |
公式サイト | https://www.engineer.or.jp/ |
特記事項 | 実施は日本技術士会が担当 |
ウィキプロジェクト 資格 ウィキポータル 資格 |
技術士補(ぎじゅつしほ、英: Associate Professional Engineer)は、将来技術士となる人材の育成を目的とする、技術士法に基づく日本の国家資格である。有資格者は技術士の指導の下で、技術士補の称号を使用して、技術士を補佐する技術業務を行える[3]。
技術士は、専門的な知識、高等の応用能力、豊富な実務経験、高い倫理観を持った技術者とされる[4]。技術士法第2条は、技術士および技術士補を次のように定義している。
技術士法で述べられている「高等の専門的応用能力」とは、受験対策書では「これまで習得した知識や経験等に基づき、対処すべき課題に合わせて正しく問題を認識し、必要な分析を行い、判断し、対応策の企画立案等を実施できる能力」[5]と説明されている。
技術士(補)は、登録技術者(レジスタード・エンジニア)制であり、試験に合格しただけでは技術士(補)ではない[6]。技術士(補)になるためには、登録免許税と登録手数料を納付した上で、日本技術士会に申請書類を提出する必要がある[6]。
技術士は業務独占資格ではないため、技術士でなくても、技術士法で述べられているような業務を行うことができる[7]。しかし、名称独占の国家資格であるため[8]、技術士でない者が技術士を名乗って業務を行うことができない[7]。技術士は、国家によって一定レベルの問題解決能力を認められている上、技術士法第45条および59条により、罰則付きの秘密保持義務を課されているため、無資格の技術者と比較して、顧客の信用を得やすいと考えられる。
技術士法第57条は、技術士(補)の名称独占を定め、以下の行為を禁じている。
ただし、1950年(昭和25年)に電波法に基づき制定された無線技術士(1990年(平成2年)より陸上無線技術士)は、技術士とは異なる国家資格であるが、技術士に先行する国家資格であるため、名称独占の例外であるとみなされている。
なお、技術士の英文名称は「Professional Engineer」、技術士補の英文名称は「Associate Professional Engineer」とされているが、技術コンサルタントを職業とする者が広告、名刺などにおいて、コンサルティングエンジニア(「Consulting Engineer」, 「CE」)を名乗ることに問題はないものとされる[9]。他国における同様の資格制度と混同を避ける趣旨で「Professional Engineer, Japan (P.E.Jp)」が使われることがある[10]。
名称独占資格であることを活かし、「技術士」を名乗って、次のような業務をすることが可能である[11]。
なお、技術士全体の78.9 %が一般企業や建設コンサルティング会社に勤務し、7.5 %が官公庁に勤務している[12]。
技術士(補)登録をすると、技術士(補)の名称を使用する権利を得る反面、以下の義務を負う。これらの義務に違反すると、技術士法 第36条の2の規定により、技術士(補)登録を取り消されることがある。
秘密保持義務には刑事罰も規定されている。
非技術士の技術コンサルタントが秘密を漏洩しても民事責任を問われるのみだが、技術士(補)は技術士(補)登録を取り消されるだけでなく刑事罰にも処せられる可能性がある。
他の技術系資格が専門分野ごとに制度を設けているのに対して、技術士は科学技術におけるほとんどすべての領域に渡る分野をカバーしている[4]。以下の21の技術部門が設けられており、各部門はそれぞれ部会を作り活動している。船舶・海洋部門と航空・宇宙部門は同一の部会として活動しており、総合技術監理部門では部会が設立されていないことから、19の部会がある。
技術士は、国家が認定した高度の技術者であることから、日本の諸制度において有資格者と認められたり、資格試験の一部や全部を免除されたりする[23]。
有資格者として認められているものには、主に次のようなものがある[24]。
また、資格試験の一部や全部を免除されているものには、主に次のようなものがある[24]。
技術士は日本においてワシントン協定のエンジニアに分類される。そのため、技術士を取得した者は条件を満たすことにより、職能資格におけるエンジニアの国際的通用性を保証するAPECエンジニア・国際エンジニアへの審査の認定をうけて登録することが可能になる。
APECエンジニア登録制度は、国境を越えて技術者の技術水準を国家間で相互に承認するための仕組みの一つである[27]。2000年11月1日から登録を開始し、2006年度からすべての技術部門が登録の対象となった[28]。
政府間で交渉が済んでいる国やエコノミーとの間でAPECエンジニアは、同一の技術レベルを持つ技術者として認められる。APECエンジニアの基本的な枠組みを定めたAPECエンジニアマニュアルは2013年の1月に「IEA Competence Agreements」の中のAPECエンジニア協定(APECA)のもとに再編され、国際エンジニア連合(IEA)が管轄している。APECエンジニア11分野で、日本では技術士がAPECエンジニアの登録要件となっており、Structuralのうち建築構造系の登録以外の事務局は日本技術士会内に設置されている[29]。
Structuralのうち建築物に関する業務(建築物等の企画・計画から設計・施工・維持管理その他にいたるあらゆる局面での建築構造に関する業務を対象)関連の技術者の場合、建築基準法上の設計、工事監理は建築士でなければ行えないため、建築構造系の一級建築士である構造エンジニアの登録は公益財団法人建築技術教育普及センターが事務局を担当している。
申請の対象となる技術士技術部門及び選択科目と対応するAPECエンジニアの分野は、以下の通りとなった。
2022年6月現在のAPECエンジニア協定の加盟エコノミーは以下の通り。
EMF(Engineers Mobility Forum)協定に加盟しているエコノミー間での技術者相互承認を行っていたが、EMF定款は2013年1月をもって「IEA Competence Agreements」の中の国際エンジニア協定(IPEA)に再編され、国際エンジニア連合(IEA)が管轄している。名称もEMF国際エンジニアからIPEA国際エンジニアへ変更された。APECエンジニアが政府間の枠組みによる相互承認なのに対し、IPEA国際エンジニアは非政府組織の承認となっている。日本の場合略称はIntPE(Jp)である[28]。2022年6月現在の国際エンジニア協定の加盟エコノミーは以下の通り。
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