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小学校と中学校の教育課程を調整し、一貫性を持たせた教育制度 ウィキペディアから
小中一貫教育(しょうちゅういっかんきょういく)とは、初等教育(一般の小学校で行われている教育)と前期中等教育(一般の中学校で行われている教育)の課程を調整し、一貫性を持たせた体系的な学校制度のことである。また、これを行っている学校を小中一貫校(しょうちゅういっかんこう)という。
児童・生徒数の少ない過疎地などの学校では学級数も少なく、嘗てから小学校及び中学校で校舎、体育館、敷地等を共用する小中併設校(小中併置校)が存在し、行事なども小・中学校合同で実施したり、校長も兼任する場合もみられた。
近年では学校の規模にかかわらず、より積極的に初等教育と中等教育の連携を試みようとする小中連携や小中一貫教育が行われている地域もある。
小中一貫教育は明治時代以降から続く長年の教育制度や慣習(目的・目標の異なる初等教育と中等教育のあり方)の変更をも伴う。児童・生徒の数が多く多様な価値観をもつ都市部などでは、施設の形態、学級数、運営方法等の課題も多くなる。また、小中一貫教育に積極的ではない地域との整合性や、中高一貫教育など他の学校種との接続、連携といった課題もある(詳細は下記参照)。
カリキュラムや学校運営については設置者によって柔軟に運用することができるため一概には記述できないものの、先行の小中一貫校の主な先行例を挙げると次の通りである。
など、従来であれば中学校段階の教育の特徴とされてきた慣習的制度(定期考査、校則、部活動等)が小学校段階に早期化されている場合が多く、小学校を中学校化することによって小中学校間の境(いわゆる「中一ギャップ」)を解消しようというのが教育上の建前である。
施設の形態としては、小学校と中学校を同じ校舎にした「施設一体型」、校舎が隣接する「施設隣接型」、校舎が別の場所にある「施設分離型」、また、9年間の課程を一体化させた新たな学校種である「義務教育学校」[1] がある。
現行の小学校と中学校を施設一体型で小中一貫校化した場合、学校の統廃合が伴う。そのため現行の小中学校の小中一貫校化については、「学校統廃合及びそれに伴う教育予算の削減」ではないか、との指摘もある[2]。
また、複数の小学校および中学校を統廃合するのに伴い小学生~中学生に合わせた施設の新築、増改築を行う場合も多く、建設コストがかかる。都市部では、現行の小学校にあるような校庭の遊具施設を設置できない(しにくい)場合もある。さらに、従来よりも学区が広域化することで通学距離が長くなったり、従来の地域コミュニティーから遠方になる場合等のデメリットもある。
「6・3制」のほかにも、「4・3・2制」、「5・4制」など、地域の実情に合わせて設置者が区切ることもできる。
義務教育学校では、小学校および中学校の学習指導要領を準用するため、現行の6年制の小学校と3年制の中学校に合わせて前期課程(小学校段階)と後期課程(中学校段階)になっている。前期課程を小学部、後期課程を中学部と称する場合もある。
6年制の小学校制度は1907年(明治40年)の小学校令改正による尋常小学校から100年以上の歴史があり、世代を超えて定着しており、また、国際的にも初等教育(小学校に属する教育)と中等教育(中学校・高等学校に属する教育)とは別にした教育制度が主流となっている[4] 。学年の区切りをいかにするべきかは議論も多く、6-3-3制、6-6制が主流の現行の教育制度の中において、公立の一部の学校が異なる学年区分を適用することには異論もある[5]。
公立の場合、施設の形態にかかわらず入学者選抜は行わない。これは公立の義務教育の中において「エリート校」化することを懸念する意見があるためである[6]。しかし、入学者選抜を行わない場合、柔軟なカリキュラム編成を生かした「早期カリキュラム」のような独自の一貫教育が可能なのか、疑問も指摘されている[注 1]。横並び意識の強い日本の教育風土においては様々な課題もある。
小中一貫校(義務教育学校)の制度に関しては、これまで、中央教育審議会、国会、地方議会、教育委員会、教育学者、教育評論家等の間で様々な議論が行われている。初めての制度の導入に伴うメリット、デメリットがあり、制度そのものについて推進意見、慎重意見もある[7]。
など
小中連携とは、小学校および中学校が各々別個である「6・3制」を前提に、教育課程および制度をそのままにして、教育課程及び教育目標の共通部分に関し、協同する取り組みを行い、小学校と中学校の教職員の交流や連携を密にしていくことをいう[17]。
教育職員免許法 の規定により、小学校教諭一種免許状および中学校教諭一種免許状の両方を併せ取得する方法は、次の通りである[18]。
教員養成を目的とする大学・学部の学生は小学校および中学校の両方の教諭の一種免許状を取得できるが、年間履修単位数がはなはだしく膨れあがる一方、教員養成を目的としない一般大学では、中学校および高等学校の両方の教諭の一種免許状、あるいは幼稚園および小学校の両方の教諭の一種免許状のいずれかしか取得できない[注 4]。よって教育職員免許法での認定課程制度および単位修得方法により、大学(特に一般大学)で小学校および中学校の両方の教諭の普通免許状を同時に取得するのは、とても厳しいか、または全くできない。できたとしても、大学設置基準により、近年では、コンプライアンスの観点からも、1年度の間に履修が可能な単位数に上限を設けているケースが多いため、1年間に50単位まで履修登録が可能と仮定しても、4年間で200単位までしか履修登録はできない(単位を落とした場合は、その分がロスになるため、結果的には4年間で200単位の履修も難しくなる場合もある)ため、4年で卒業できない可能性が出てくる場合もある。
大学通信教育の場合は、大学通信教育設置基準についても、年間の学習時間数等の設定方法(1単位を修得するのにかけるべき時間数)は、上述した大学設置基準の内容にほぼ準ずるが、レポート提出や科目修了試験の受験ができなかった等の理由により、履修した科目の単位の取りこぼしがあったとしても、翌年度に繰越して、規定の単位数に取りこぼした科目に関する単位数であれば、履修することができる場合もある。
2013年8月に、長野県松本市の私立小中一貫教育校才教学園小学校・中学校で、中学校教諭の普通免許状のみ所持し小学校教諭特別免許状を有しない者が小学校の学級を担任したり、小学校教諭の普通免許状しか所持しない者が中学校の授業を担任するなどの事件が起きた[19]。
オランダの教育はK-12制であり、basisschool は4-12歳まで8段階の義務教育レベルの学校である。
デンマークの教育制度ではフォルケスコーレ (Folkeskole) が存在し、6-15歳までの義務教育レベルの学校である。
スウェーデンの教育制度では、Grundskolaが存在し、6-15歳までの義務教育レベルの学校である。
ドイツの教育制度では、初等教育レベル基礎学校(グルンドシューレ, 4年制)修了後のキャリアは、5年制の基幹学校(ハウプトシューレ、高等小学校相当)、6年制の実科学校(レアルシューレ、中学校相当)又は中高一貫のギムナジウム(中等教育学校相当)に分かれる。
そのうち基幹学校は基礎学校と併せて、かつてはフォルクスシューレ(国民学校, Volksschule)を構成し、1964年10月28日のハンブルク協定による校種名変更後[注 5] は、フォルクスシューレは基礎学校と基幹学校を併せた通称とされ、9年制小中一貫教育校である。
1919年のヴァイマル憲法 (Weimarer Verfassung) 第145条では、義務教育履行のため8年制のフォルクスシューレ(小中一貫制)と、満18歳に達するまでの職業学校を設けることが明記された[20]。
ドイツのフォルクスシューレの修業年限は、従前は8年間(Unterstufe(下級段階、現在の基礎学校)4年間、Oberstufe(上級段階、現在の基幹学校)4年間)であるが、現在は9年間である。この9年間のうち、前期4年間が基礎学校(小学校の第1学年から第4学年まで)に、後期5年間が基幹学校(小学校第5学年から中学校第3学年まで)に該当し、基幹学校の学年は「4・3・2制」の中期3年間及び後期2年間と一致する。
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