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治療を受けようと海外へ渡航する人 ウィキペディアから
医療観光(いりょうかんこう、医療ツーリズム、メディカルツーリズム、英語: Medical Tourism)とは、居住国とは異なる国や地域を訪ねて医療サービス(診断や治療など)を受けることである。
50以上の国が、自国産業の一つに医療観光があると報告している[1]。
医療を目的とした旅行の歴史は古く、古代ギリシアでは地中海各地から、サロニカ湾のアスクレーピオスの聖域へと巡礼および療養に訪れる習慣があった。また、日本における湯治や欧米でのスパなど療養と行楽を兼ねた温泉への滞在や、サナトリウムなどへの転地療養も盛んに行われた。
医療観光とは、主に安い手術代や投薬費、高度医療技術・臓器移植・整形手術・健康診断・性別適合手術など、自国では不可能、高価、求めている結果が得られない医療を受けることを求めて、先進工業国の患者や途上国の富裕層患者などが他国へ渡航するものが中心である。
渡航先には、医療技術が優れ医療費が安いインドをはじめ、シンガポール・タイ・マレーシア・メキシコなどが多く選ばれている。また、美容整形外科手術や歯科医療などで訪問する観光客の多い大韓民国も、各国の富裕層などへ高度医療を売りこもうとしているなど、多くの国家が医療観光への参入を目指している。日本は、高度医療技術、カントリーリスクが低いなどの観光魅力度をアピールしている。
医療観光に訪れる患者は長くその国に滞在するほか、その見舞客も訪問することもあるため、ホテルや観光地などの分野へも恩恵が大きい。そのため外貨獲得や、医療機器の需要が増えることによる量産化によるコストダウンにもつながる。
日本政策投資銀行によれば、2020年時点で年間43万人程度の需要が潜在的にあるとみられる。観光を含む市場規模は約5,500億円、経済波及効果は約2,800億円と試算されている[9]。
外国人による国民健康保険の悪用が報道され、インターネット上の一部では医療観光が原因であるという誤解が生じている。
日本では、治療を受ける等を目的とする訪日外国人は医療滞在ビザとなるが、医療滞在ビザでは国民健康保険に加入できない[16]。したがって、医療観光では国民健康保険に加入できず、医療費は自由診療で全額自己負担となる。
新型コロナウイルス用のワクチン供給が始まり、各国で医療従事者や高齢者・基礎疾患者、エッセンシャルワーカーなどを優先順位として接種されているが、2021年2月時点で一般国民の約4割が既にワクチン接種が済んでいるイスラエルは余剰ワクチンが発生したため[17]、自国民以外に対して有償提供しはじめ、世界の富裕層を相手にワクチンツーリズムが成立した。国際線が運休中でも参加者はチャーターのビジネスジェットでイスラエルへ向かい、2週間の隔離措置と中1ヶ月の間隔を空けて2回目の接種が完了するまでリゾート地でのステイケーションで過ごし(隔離期間中も貸し切りのプールやジムを利用できるオプション有)、ワクチンも滞在ホテルで接種する。イスラエル政府発行の接種証明(免疫パスポート)も発行される。これに続きアラブ首長国連邦とキューバもワクチンツーリズムに参入することを表明した(キューバのワクチンはロシア製のスプートニクⅤ)[18]。また、インドではワクチンツーリズムを仲介斡旋するツアーオペレーターも現れている[19]。当然ながらワクチンツーリズムに関しては、持てる者と持たざる者のワクチン格差を助長し、命を金で買う行為であるという批判が噴出している。
一方アメリカでは、ニューヨークを訪れた一般観光客にワクチンを接種するサービスが始まり、観光業の回復を図る。使用するのは1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソン製にすることで、短期滞在の旅行者のニーズに応える[20]。
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