六星占術(ろくせいせんじゅつ)は、宗教家で占い師の細木数子が、中国古来の易学[1]、算命学、万象学などをもとに提唱したと自称する占い[注 1][注 2]。天中殺の項も参照。
六星占術は人物生来の運命を土星、金星、火星、天王星、木星、水星の6つの運命星で占い、それぞれの運命星を持つ人物を土星人、金星人、火星人、天王星人、木星人、水星人と称する。特別な条件が符合すると霊合星人(れいごうせいじん)となる。霊合星人は単体で独立する運命星ではなく「土星人の霊合星人」などほか6つの運命星と複合する[注 3]。運気は、土星人⇔天王星人、金星人⇔木星人、火星人⇔水星人となる。人物各々の運命星は、生年月日から算出した運命数、星数で決定する。運命星により当該人物の占命盤を描いて占う。
六星占術を扱った『六星占術によるあなたの運命』シリーズが2018年度版まではKKベストセラーズ、以後は飛鳥新社、からそれぞれ発行され、細木数子の死後も養女の細木かおりが引き継いでいる。
運命星は、生日の干支を1から60の数値で表した星数を、6つの星に割り当てる。星数を簡易的に算出するため各年月の数値をまとめた表を運命数表、数値を運命数、それぞれ称する。生日の干支と運命星を下記する。
土星人、金星人などの呼称は空亡になる地支(十二支)本気の五行によるが、天王星人のみ独自に考案したと自称する[注 4]。
各運命星はプラス(+)とマイナス(-)があり、生年が子・寅・辰・午・申・戌はプラス、丑・卯・巳・未・酉・亥はマイナスとする。運命星と合わせて土星人(+)、金星人(-)と表記する。十二支の陰陽による。
空亡は生年に限らず、生月、生時も該当する。生年を重視するが、大運、流年が生年の干支と最初の相互作用をもたらすので生年で「陰陽」「霊合星人」と区分している。流歳が本人に何を作用するか考える上で生年は第一の分類である。生月、生時が空亡にあたる場合でもある程度「霊合星人」の特質を備えると考える[注 5][注 6]。
霊合星人は生年が停止(占命盤の項を参照)に当たる人物で、土星人=天王星人、金星人=木星人、火星人=水星人の組み合わせとなる。対極の星人が重なる。
- 土星人(+):生年が戌年
- 金星人(+):生年が申年
- 火星人(+):生年が午年
- 天王星人(+):生年が辰年
- 木星人(+):生年が寅年
- 水星人(+):生年が子年
- 土星人(-):生年が亥年
- 金星人(-):生年が酉年
- 火星人(-):生年が未年
- 天王星人(-):生年が巳年
- 木星人(-):生年が卯年
- 水星人(-):生年が丑年
10年ごとに変わる宿命
- 静雲星 空想とロマンに長ける、反発、孤独、感受性
- 光美星 人に何かを伝えたくなる、おおらかさ
- 妙雅星 自分の立場を守ろうとする、協調、和合、政治力、説得力
- 白照星 自我、頑固、独立心。マイペース、強い意思、努力。
- 香創星 先人の知恵を受け継ぎ子孫に残そうとする、知性、伝統、古典、慈愛
- 火竹星 知識欲と好奇心、忍耐、放浪、改革、想像と破壊、知恵
- 大木星 集団や組織で攻撃的、責任感、名誉・名声
- 風行星 動乱期に力を発揮、短期、直情、闘い、行動力
- 大善星 大器晩成、家庭、堅実、蓄財、温厚
- 緑水星 財運、愛情運、善良、奉仕、義理人情、回転財
占命盤は次の12の運気が示す。
- 種子(しゅし)- 物事を開始する年。用神五行が生旺墓絶(天干十二運)で、胎か長生を得るかいずれかである。⇔再会
- 緑生(りょくせい)- すべての影響が2倍になり、物事が成長する時期。駄目になることもある。⇔財成
- 立花(りっか)- 基本的な方向が決まるかなり重要な時期。⇔安定
- 健弱(けんじゃく)- 小殺界 健康面で運勢が悪くなる時期。⇔陰影(大殺界)
- 達成(たっせい)物事の目的が達成される時期。空亡の地支の冲に該当する。当然用神が生旺する。⇔停止(大殺界)
- 乱気(らんき):中殺界 - 精神的な面にダメージを受けやすい年。⇔減退(大殺界)
- 再会(さいかい)- 第2の出発点となる時期。失敗の挽回も適する。⇔種子
- 財成(ざいせい)- 富が入る時期。財星が生旺するか、財多身弱の場合は比肩劫財で身財両停を得る、または食神傷官が財星に能く連絡する、いずれかである。⇔緑生
- 安定(あんてい)- 現状維持の時期で新規開始は翌年に大殺界で苦しむ。用神五行が帝旺を迎えている場合が多い。⇔立花
- 陰影(いんえい):大殺界の始まり - 冬の初期。大殺界の始まりで新規事業開始などは禁忌。用神が衰地にある場合が多い。⇔健弱(小殺界)
- 停止(ていし):大殺界の中央 - 冬の中頃。前年同様新規開始は禁忌。本人の生日を中心に空亡の二地支のいずれかに該当する。用神五行が衝撃を受けるか、剋されるか、いずれかである。用神は本人の生き方を象徴し、それが害を受けることは生き方の否定「停止」といえる。⇔達成
- 減退(げんたい):大殺界の終わり - 冬の後期。大殺界で新規開始は危険。⇔乱気(中殺界)
※四柱推命の十二運を参考にしたと推測される。
注釈
細木は「独自に編み出した」と主張するが、内容は四柱推命、算命学、御射山宇彦考案0学占い、武田考玄考案天中殺、それぞれに醜似し、特に発想や名称などは、細木数子に占術を指導した占術家神煕玲の真理占星学に酷似している。外部リンク「六星占術と大殺界」で詳述している。神熙玲との関係は著書『人間の器』や実話ナックルズなどの取材で述べ、週刊現代に連載された溝口敦著『魔女の履歴書』に詳細されている。六星占術を(自称)考案した後、墓石店の久保田家石材商店(現:亘徳)が設立した新宗教の大国教会で、宗教学を学び、その後に『六星占術に、新宗教の大国教会で学んだ「宗教学」を組み込ませた為、現在の六星占術は、宗教色の強い占いに変貌』した。詳しくは外部リンクの占いの宗教への変容の項目を参照。 四柱推命の空亡に特に重点を置いた算命学のひとつの解釈とも考えられる。空亡は本人の生日の暦上の干支を六十干支表に当てはめ、甲から始まり癸に終わる周期の一組に存在しない地支(空支)またはその地支を持つ干支の年月日時である。空亡は「位あって禄なし」で干支が本人に及ぼす作用が空虚になることである。流年が空亡の場合は用神(本人にとって必要な天干地支)に剋傷あるため危険で、空亡すなわち危険ではないとされる。陰陽五行の作用が妥当とされる 生年が空亡に該当する人を指しているが、概して空亡が方程式に多い人はその「あってなきが如し」の作用からして現実からはなれたものに関心を示したり、またそれで発達したりする傾向があるとされる。
六星占術の元祖である真理占星学・神熙玲は「六星占術でいう天王星人は本来は『準星人』」と指摘し、細木が天体から天王星という名称を考案したことは占術理論を理解していない証拠であると指摘する。
。空亡を生日から見た場合としているが、生年から見る判断もあり(互換空亡)、生年月日の四字をひとつの行列に見立てた多変数関数の解析に似た要素もある。 近代数学的な視点から考えると、何らかの周期性のある関数は正弦余弦関数の適当な組み合わせで近似可能で、十干十二支(六十甲子)にも暦法上の周期性が発生する。