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『メンヘラちゃん』は、琴葉とこによる日本の漫画作品。心に病を持つ少女と友人たちの交流を描く物語である。最初は著者のホームページやpixivで私的に公開されたウェブコミックだったが、インターネット上で反響を呼び、2012年10月にイースト・プレスによって上・下、全2巻の単行本が刊行された[1]。単行本化に伴いホームページでの公開が休止されたため[4]、本項では単行本を中心に解説する。
“心に病を持つ人”を意味する俗語「メンヘラ」[注 1]を作品名・ヒロイン名に冠するこの漫画は、文字通り精神疾患を患う主人公と周囲の友人が交流を経て支えあい、成長する姿を描く物語である。表現形式は場面によって4コマ形式とストーリー形式が使い分けられ、序盤は例えば「メンヘラちゃんの手首に巻かれた装身具を見たけんこうくんがリストカットを想像する」という具合に彼女の病状や各人の性癖をブラックジョーク的に描いて笑いを誘う展開で始まり、中盤以降から徐々に彼女の具体的な病態や各々の内面を描くシリアスな展開へと移行する[5]。
自らも不登校の経験を持つ著者[6]が、中学2年から3年にかけての期間に発表した漫画[7]であり、敬遠されがちな主題の執筆にあたっては『かってに改蔵』や『さよなら絶望先生』といった久米田康治作品の影響があったとされる[6][7]。執筆動機として「人は他人とコミュニケーションによって理解し合えるはずで、いつ誰が陥るか分からない『心の病』を持ってしまった人に対しても、共感したり理解しようと思う一助にしたい」との思いがあったという[7]。ウェブコミックとしてはスケッチブックに描いたものを直接アップロードしていたが、出版に際して支障があったため、単行本では約2年をかけて全面改稿された[8]。
※以下は、単行本収録分の主に4コマで表現されるギャグ部分を除いたストーリー部分の粗筋を時系列に沿って記したものである。従って作品の全体像を反映しておらず、エピソードの記載順も単行本とは異なる。
中学1年の春、佐藤くんとのじゃんけんに負けたけんこうくんは、彼から「メンヘラ」という女の子に学校のプリントを届けるよう頼まれた。佐藤くんには「ハンパなくネガティブ(原文ママ)(かなり性格の暗い娘)」と評されたメンヘラちゃんを普通の子だと思ったけんこうくんだが、彼女の受け答えに大きな隔たりを感じてしまう。そんな出会いから1ヵ月後、けんこうくんは同様にして病弱ちゃんと出会う。メンヘラちゃんとは幼馴染という彼女は、あまり笑顔を見せないメンヘラちゃんが実はけんこうくんの訪問をとても喜んでいることを彼に告げた。そうしてけんこうくんと不登校のメンヘラちゃん・病弱ちゃんとの交流が始まった。
メンヘラちゃんは重いうつ病やパニック障害を患っており、けんこうくん達の前でも不安定な精神状態に陥ることがあった。彼女はそれを病弱ちゃんやけんこうくんにとって迷惑と考え、彼らの前で無理に平静を装うことがあった。一方で病弱ちゃんは、けんこうくんとの出会い以降明るさを増すメンヘラちゃんを嬉しく思いながらも、かつて自分に頼りきりだった彼女が離れていくのではないかと不安に感じることがあった。けんこうくんもまた、メンヘラちゃんが明るくなるにつれ、彼女にとって自分が必要なくなるのではないかと不安になるときがあった。そんなとき3人は互いに支えあい、絆を深めるのだった。
そんな彼女たちも高校受験を迎える頃、メンヘラちゃんとけんこうくんは互いに恋していることに気づき始める。2人はなかなか言い出せずにいたが、3月14日のホワイトデーの日、ついに気持ちを伝えあった。そうして3人は学校が違ってもお互いに大切な存在であり続け、メンヘラちゃんも彼ら「大切な人たち」と共に、生きていくのだった。
※この漫画にはふり仮名が無いので、人物名の漢字の読み方は正確には不明である。また、各人物名は「メンヘラ」「病弱」などが正確な呼称だが、状態を表わす語との混同を避けるため、本項では各出典に従い敬称付きで記載する。
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