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フリントロック式(フリントロックしき、Flintlock)、燧発式(すいはつしき)または燧石式(すいせきしき)とは、マスケット銃などの火器で使われた点火方式の1つ。 開発された時期については諸説あるが、フランス人のマラン・ル・ブールジョワ(Marin le Bourgeoys)によって17世紀の初頭に完成された、とする説が有力である[1][2]。 ここでいう「完成された」とは、装填時の暴発を防止するハーフコックの機能を備えたという意味で、それ以前にあったジャコビニアンロック等とはその点で区別される。
1840年頃から、より信頼性の高いパーカッションロック式(雷管式)に置き換えられた[3]。
大まかな仕掛けはマッチロック式(火縄銃)と変わりない。大きく違うのは次の三点である。
発砲までの操作・動きは以下のとおりである。
また火種を使わず、さらに火蓋を閉じたまま射撃体勢にかかることが出来るため、天候の影響が小さいのも大きな長所である。
日本では、江戸時代に、現物が輸入されたり書物から得た知識として「火打ちからくり」等の名で知られ、また、一部の鉄砲鍛冶による試作品も今に伝えられている。しかし日本産の燧石(火打石)は発火の火花が弱く銃向きでない事から採用されなかったと云われる。また既に平和な時代になっていた事から、集団戦向きであるという長所が理解されず、むしろ射撃術が個人技になっている状況から、マッチロック式(火縄式)の中でも特に命中精度が良い瞬発式火縄銃が引き続き使用され続けた。
なお、フリントロック式の技術そのものは当時の日本でも十分に導入可能なものであり、応用製品としてこの機構をそっくり借用したライターが平賀源内などによって、「刻みたばこ用点火器」の名で製造されている。
ガンロックは、フリントロックを利用した大砲の点火機構である。それらは海軍砲術の大幅な技術革新であり、1745年には最初にイギリス海軍で使用されていた。これは旧式の砲に後付けができなかったので、それらの使用は徐々に普及した。フランス側は一般的にトラファルガーの海戦の時までにそれらを採用していなかった。それまでは先端に火縄を取り付けた点火棒で火門に緩く詰めた導火薬に点火するやり方であり、点火には砲の反動を避けるため横から行わなければならず点火棒の操作と発射まで顕著な遅延があり、危険な上に揺れる船上での正確な射撃は不可能であった。
ガンロックは、拉縄を引くことで作動した。砲手は砲の後方で反動から安全な場所に位置し、船の横揺れによって砲弾が海面に落下したり敵船上を飛び越えること無く砲が敵船を捉えた時に発射することができた。砲弾は主装薬の袋に火門を通して貫通した、導火薬を充填した中空の軸によって点火され、従来の緩く詰めた導火薬を使用した時より安全かつ迅速に行うことができた。
ガンロックの導入後、点火棒は予備の発射手段としてのみ保持された。
スナップハンスロック式 (Snaphance lock, Snaphaunce, Snaphaan) は1550年代末頃にオランダ・スペイン・スウェーデン・ドイツ等のうちのいずれかの国で開発されたと考えられている[9][10]。フリントロック式との違いは当たり金と火皿蓋が独立している点である。
自動で火蓋を開く機構があるため構造は複雑で比較的高価ではあるが、この機構が登場する以前のホイールロック式よりは安価であったことから、イギリスやロシアなどでは普及した。しかし、程なくL字型の当たり金に火皿蓋を兼ねさせる、構造が簡単で安価なミクェレット式が開発されたために取って代わられた。
ミカレットロック式 (Miquelet lock, Miguelets, Migueletes) は1580年ごろにスペインで発明された[10]。スナップハンス式からの改良点は、L字型の当たり金に火皿蓋を兼ねさせ、火皿蓋をスライドさせる独立した機構を省いた点で、構造が大幅に簡略化された。ただし、後に登場するフリントロック式と異なり撃発用のばねが機関部の外に露出している(火皿蓋用のばねは内蔵されているものが多い)。
発火機構を直接制御するばねが二つとも剥き出しなため暴発しやすくはあったが、安価でメンテナンスも容易なため、フリントロック式の普及後もスペインやオスマン帝国など地中海南部を中心として使われ続けた。
ミケレッツ(カタルーニャ語:Miquelets)もミゲレテス(スペイン語: Miquelete)もカタルーニャ地方の山岳兵を意味する言葉である。
ドッグロック式 (Dog lock) とはフリントロック式の撃鉄根元に鉤状の安全装置をつけ、暴発の危険性を減らした機構である。イギリスや、北米の13植民地などで使用された。
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