ニューポール 12

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ニューポール 12

ニューポール 12(近年の情報源ではニューポール XII)はフランスの複葉(一葉半方式〈セスキプラン〉)偵察機・戦闘機・練習機で、第一次世界大戦中にフランスロシアイギリスアメリカで使用された。後期生産分は練習機として製造され、1920年代末まで練習機として広く使われた。

ニューポール 12・12bis

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ニューポール 12 A.2の試作機

設計と開発

ニューポール 10の性能向上のため、上翼面積を著しく拡大したエンジン換装版がニューポール 12として開発された。偵察員用にルイス機銃1挺を後席に搭載した。通常はイティヴィ(Etévé)環状銃架(英軍ではニューポールリングとして知られた)によったが、初期には柱状銃架や半環状銃架を用いた。2挺目のルイス機銃を上翼の上に備えることもあった。イギリス陸軍航空隊が使用したベアドモア英語版製の機体にはニューポールリングに代えてスカーフリング英語版とパイロット用のプロペラ同調装置英語版ヴィッカース機銃を備えたものもあった。これらの追加改修はベアドモア社が行ったものである。

クレルジェ(100 hp (75 kW) )・クレルジェ 9B英語版エンジン(130 hp (97 kW))・ル・ローヌ 9J英語版110 hp (82 kW))のいずれかを機首に搭載出来た。

派生型

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第69飛行隊のニューポール 12bis
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ニューポール 12bis C.2
ニューポール 12 A.2
クレルジェ 9Z英語版110 hp (82 kW)[2] エンジンまたは ル・ローヌ 9J英語版110 hp (82 kW))を動力とする複座の複葉戦闘機/偵察機。
ニューポール 12bis C.2
クレルジェ 9B英語版130 hp (97 kW))エンジンを搭載し、機胴側面の覆いを流線型とした改良型[3]
ニューポール 13
試作2機。翼幅を拡大したが公称翼面積はニューポール 12に同じ。1機はイスパノ・スイザ 8英語版140 hp (100 kW) )を、もう1機はル・ローヌ 9C英語版80 hp (60 kW) )を搭載した。
ニューポール 20
ル・ローヌ 9J英語版110 hp (82 kW) )搭載型。フランスでは使用されなかったがイギリス陸軍航空隊に21機が納入された[4]。初号機以外はニューポール 12bisに酷似している。
23メートルニューポール
このリストにある全型式の非公式な総称。主翼の公称翼面積23平方メートルに基づく。
ニューポール 80 E.2 ・81 E.2
後にニューポール 12は銃架を廃した練習機として大量に生産された。型式名の8はル・ローヌ 9C英語版80 hp (60 kW) )に依ったもの。操縦装置が後席のパイロット席にのみにある(81 E.2)か、パイロット席・乗客席の双方にある(80 E.2)かが異なる。
ニューポール 12 (ベアドモア社)
ベアドモア社はニューポール 12を50機製造する間に徐々に設計に手を加えていったため、初期生産分はほぼ原型のままだが後期生産分は細部がかなり異っていた。クレルジェ 9Z英語版110 hp (82 kW))またはクレルジェ 9B英語版130 hp (97 kW))ロータリーエンジンを搭載した。
三菱内燃機製造 甲式1型練習機(陸軍)
日本におけるライセンス生産分の型式名。57機生産[5]
陸軍航空本部 二型滑走機
日本で独自に開発された、飛行能力を廃した滑走練習機型。15機生産[6]
Trainer Type 1
シャムにおけるニューポール 80 E.2の型式名。
シポウィッツ(Sipowicz) 1
ライト・ベランカ WB-2に似た揚力を発生する翼支柱を持つポーランドの実験機。(外部リンク参照)

運用者

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アメリカのニューポール 80 E.2 練習機
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イギリス陸軍航空隊ベアドモア英語版社製ニューポール 12。昇降舵の縞模様がベアドモア製機の特徴。
アルゼンチンの旗 アルゼンチン
  • アルゼンチン海軍航空隊英語版 – 1919年に1機。
ベルギーの旗 ベルギー
チリの旗 チリ
フランスの旗 フランス
軍事航空隊フランス語版
 エストニア
ギリシャの旗 ギリシャ
日本の旗 日本
ポーランドの旗 ポーランド
ポルトガルの旗 ポルトガル
 ルーマニア
ロシア帝国の旗 ロシア帝国
セルビアの旗 セルビア
タイ王国の旗 Siam
イギリスの旗 イギリス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
労働者・農民赤軍航空隊
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カナダ航空宇宙博物館英語版のニューポール 12

現存機

大規模な修復(オリジナルのル・ローヌ 9J英語版ロータリーエンジン再搭載を含む)を経た元フランス機のニューポール 12が1機、1990年代末よりオタワカナダ航空宇宙博物館英語版で展示されている。この機はカナダ自治領公文書館英語版M1897 75mm野砲や大量のプロパガンダポスターとともにフランス政府より1916年に寄贈されたもので、1918年のスペインかぜ流行に伴い倉庫行きとなるまで戦時国債キャンペーンに使われていた。1960年代末に王立カナダ空軍は展示のためにイギリス陸軍航空隊のベアドモア社製機への不完全な改修を施した。

埼玉県所沢市所沢航空発祥記念館にニューポール 81 E.2(登録記号J-TECH[7])の胴体前部が、同機のレプリカ[8]と共に展示されている。(外部リンク参照)

性能諸元 (フランス製ニューポール 12 A.2)

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ベアドモア社製ニューポール 12後期生産型(同社の改修を含む)

出典: Davilla, 1997, p.369

諸元

  • 乗員: 2(パイロットと偵察員/銃手)
  • 全長: 7.10 m
  • 全高: 2.70 m
  • 翼幅: 9.00 m (現存機の実測では9.15 m (30.0 ft))
  • 翼面積: 22.00 m2
  • 空虚重量: 550 kg
  • 有効搭載量: 825 kg
  • 動力: クレルジェ 9Z英語版 9気筒空冷ロータリーエンジン、 (110 hp、プロペラ[9]: Régy 274(直径2.50 m (8 ft 2 in) )Régy 289(直径2.55 m (8 ft 4 in) ')・Eclair 2(直径2.53 m (8 ft 4 in))(木製2翅固定ピッチ)) × 1

性能

  • 最大速度: 146 km/h (於 2,000 m (6,600 ft) )
  • 航続距離: 500 km
  • 実用上昇限度: 4000 m
  • 上昇率: 2,000 m (6,600 ft)まで14分15秒
  • 航続時間: 3時間

武装

  • 1 × .303 in (7.7 mm) ルイス機関銃(後席のイティヴィ(Etévé)環状銃架)、 時に上翼に2挺目を装備
お知らせ。 使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。

関連項目

参照

外部リンク

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