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1988年のコンピュータゲーム ウィキペディアから
『スナッチャー』(SNATCHER)は、1988年にコナミから発売されたアドベンチャーゲーム。1988年にPC-8800シリーズ(PC-8801mkIISR以降の機種)およびMSX2用のパソコンソフトとしてリリースされ、後に派生作品や移植版が発売された。
ジャンル |
コマンド選択式アドベンチャーゲーム ロールプレイング(SDスナッチャー) |
---|---|
対応機種 |
PC-8801mkIISR以降 (PC88) MSX2 PCエンジンSUPER CD-ROM2 (PCE) メガCD (MCD) PlayStation (PS) セガサターン (SS) |
開発元 | コナミ |
発売元 | コナミ |
プロデューサー |
桐田富和 春木豊 |
ディレクター | 小島秀夫 |
デザイナー | 小島秀夫 |
シナリオ | 小島秀夫 |
プログラマー | 足立敏哉 |
音楽 | 碇子正広 |
美術 |
木下富晴 太田良彦 |
人数 | 1人 |
メディア | 5"2Dフロッピーディスク×5枚組 |
発売日 |
PC88 1988年11月26日 MSX2 1988年12月13日 MSX(SDスナッチャー) 1990年4月27日 PCE (PilotDisk) 1992年8月7日 PCE (CD-ROMantic) 1992年10月23日 MCD 1994年12月15日 1994年12月15日 PS 1996年2月16日 SS 1996年3月29日 |
対象年齢 | CERO:D(17才以上対象) |
コンテンツアイコン | 暴力 |
その他 | 型式:RA304 |
架空の近未来を舞台に展開される「サイバーパンク・アドベンチャー」である。後に『メタルギアソリッド』シリーズで有名となる、当時コナミに籍を置いていたゲームデザイナー・小島秀夫がシナリオと企画を担当した。PC版は松井直樹(MSX版『グラディウス2』の企画者)が率いたゲーム開発チーム「TEAM METALSLAVE」が制作した[1]。
映画『ブレードランナー』をモチーフとした(小島本人の口から明言されている[2])サイバーパンク世界が舞台となっている。小島作品としては、映画的演出を導入した最初のゲームであり、そのゲーム設計や表現は後に発売された『ポリスノーツ』の原型ともなった。
当時のコマンド選択式アドベンチャーゲームにおいて主流であった「単純なコマンド選択」だけではなく、謎解きとしてキーワード入力を求めたり、ストーリー進行に併せて簡単なガン・シューティングシーンを取り入れるなどの演出が施されている。
物語の展開やバックに流れるダークなイメージなど、硬派なアドベンチャーゲームと言われている。一方、中だるみをほぐすためや緊張を和らげる効果を目的として中盤にギャグを点在させるために女性キャラクターを使ったとのこと[要出典]。
SNATCH(スナッチ)とは、英語で「ひったくる」「強奪する」という意味。SNATCHERとは、人間の体を乗っ取る何者かのことを指す。スナッチされた人は、見た目は普通の人間と見分けが付かないが、正体はロボットのように機械化している[3]。
PC版は諸般の事情(#開発を参照)によりストーリーが未完のままリリースされており、後にMSX2で最終章のストーリーを補完し完結させてジャンルをロールプレイングゲームに、キャラクターをディフォルメしたリメイク的作品『SDスナッチャー』(以下『SD』と略記する場合あり)がリリースされた。さらにPC版をベースに『SD』のストーリーもプラスした内容のものがいくつかの家庭用ゲーム機に移植されている(詳細については、#発売機種を参照)。
2042年のネオ・コウベ・シティ(神戸港を埋め立ててできた架空の都市)を舞台に、人間を殺しその人物と入れ替わって潜伏している正体不明のアンドロイド・「スナッチャー」と、それを追う捜査官(ジャンカー、JUNKER)である主人公・ギリアン・シードとの戦いを描く[4]。
No. | タイトル | 発売日 | 対応機種 | 開発元 | 発売元 | メディア | 型式 | 売上本数 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | スナッチャー | 1988年12月13日 |
MSX2 | コナミ | コナミ | 3.5"2DDフロッピーディスク3枚組+SCCカートリッジ | RA004 | - | |
2 | SDスナッチャー | 1990年4月27日 |
MSX2 | コナミ開発二部 | コナミ | 3.5"2DDフロッピーディスク3枚組+SCCカートリッジ | RA011 | - | ロールプレイングゲームになっている |
3 | スナッチャー CD-ROMantic PilotDisk | 1992年8月7日 |
PCエンジンSUPER CD-ROM² | コナミ技術研究所 | コナミ | CD-ROM | KMCD2001 | - | 体験版 |
4 | スナッチャー CD-ROMantic | 1992年10月23日 |
PCエンジンSUPER CD-ROM² | コナミ技術研究所 | コナミ | CD-ROM | KMCD2002 | - | |
5 | SNATCHER | 1994年12月15日 1994年12月15日 |
Sega CD Mega-CD |
コナミ開発6部 | コナミ | CD-ROM | T-95035 T-95035-05 |
- | 英語のローカライズ版 |
6 | スナッチャー | 1996年2月16日 |
PlayStation | KCE東京 | コナミ | CD-ROM | SLPS-00154 | - | |
7 | スナッチャー | 1996年3月29日 |
セガサターン | KCE東京 | コナミ | CD-ROM | T-9508G | - | |
8 | SNATCHER | 2020年3月19日 |
PCエンジン mini | 未発表 | KDE | プリインストール | - | PCエンジン版の移植 |
供給対象ハードウェアの機能的制約に縛られているため、同じ作品の移植とは言っても、移植ごとにその作品内容は異なっている。また、小島が開発に直接関わっているのはPC-8800シリーズ版、MSX2版、PCエンジン版のみであり、それ以降のMega CD版、Sega CD版は翻訳スタッフにより、小島の監修を経ずにローカライズがされている。PlayStation版、セガサターン版に至っては(同じコナミグループではあったが)小島が所属していたセクションとは全く別のところで移植が為されている(小島の主観的コメント[6]としては「中身の改竄がなされているので、ユーザーにはプレイして欲しくない」とのこと)。
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
当初、本作はACT.5までの全5章構成で開発していたが(描かれた原画は300枚程度と言われる[8])、開発期間の長期化により会社から半分に分けるように命じられ、ACT.1とACT.2のみの未完の状態で発売された。
後編となるACT.3〜5は一つの作品としてはボリュームが不足するため、ACT.3の前に大統領選に絡んだスナッチ計画を阻止するエピソードを追加する予定であった。また、ネオコウベシティのスナッチャーの秘密基地を破壊し、シベリアの本拠地に向かった後のシナリオも存在した。しかし1作目の段階で1年半もの開発期間がかかってしまったために、続編の話は会社側で反故にされ実現しなかった[6]。
クイーン病院の地下は上階と同構造ではなく、スナッチャーと遭遇したら銃撃戦を行う3Dダンジョンにして、地下道からフレディ家や工場跡に繋がることで謎が解けるというものを作っていたが、これも開発途中で頓挫した[6]。
小島作品の特徴である、ゲームクリアとは直接関係の無い「寄り道」的なイベントはこのゲーム内でも随所に見られる。主なものに「うどん屋」「占い師」「ガシャポン」「ネオコウベ焼き」「エッチQ2」「電話で身の上相談」などがある。ほとんどは特定の場所でコマンドを繰り返し選択することで、イベントに遭遇したり、イベント関連のコマンドが新たに追加される。また、一部のイベントは見つけることで他のシーンでも連鎖的に変化が発生する。一例を挙げると、最初のミッションで「ハエ」を敵と誤認するイベントを出すと、以後のイベントで「ハエ」に絡んだ台詞が度々表示されるようになる。
この他に、あからさまにナンセンスだがオチを期待させる「おもしろコマンド」を表示することで、プレイヤーにあえてそのコマンドを選ばせることを誘導する寄り道も存在する。一例として、カトリーヌの家を訪問した際、「見せる」の選択肢で「JUNKER証」の他に「男の証明」が表示される。
また、本部のデータベースでは、ゲーム中のキーワードの他に開発スタッフや声優の名前でも検索が可能である。
PCエンジン版以降では、CD-ROMの大容量を生かして、これら「スタッフの遊び心」が大幅に追加されている。
PCエンジンのCD-ROMは、誤ってCDプレーヤーなどのオーディオ機器で再生した場合、「このCDはゲームソフトです」と音声による警告が流れるが、本作のPCエンジン版のCD-ROMでは、これがギリアンとメタルギアによる漫才風の警告メッセージになって収録されている。通常通りPCエンジン本体にてCD-ROMを使用している限り、この特別なメッセージを聴く機会はない(セガサターン版にも同じメッセージが収録されているが、PlayStation版には存在しない)。
PCエンジンのCD-ROMは基本的に、トラック1が前述のような警告音声で、トラック2がCDプレイヤーで再生してしまうとスピーカー破損の可能性もあるゲームデータだが、トラック3以降にはゲーム中の音楽や音声(CD-DA)が収録されており、本作スナッチャーのCD-ROMもそうなっているため、サウンドトラックCDとしても使える(内蔵音源の曲は聴けない)。
評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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|
コンピュータ誌『MSXマガジン』の3人のレビュアーによる「MSX SOFTWARE REVIEW」での評価は、以下の通り119点(満150点)だった。
項目 | 第一印象 | 操作性 | グラフィック | シナリオ | お買得度 | 総合 |
---|---|---|---|---|---|---|
得点 | 25 | 19 | 25 | 26 | 24 | 119 |
ゲーム誌『PC Engine FAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は、以下の通り25.1点(満30点)だった[15]。
項目 | キャラクタ | 音楽 | お買得度 | 操作性 | 熱中度 | オリジナリティ | 総合 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
得点 | 4.3 | 4.4 | 4.5 | 3.9 | 4.1 | 3.9 | 25.1 |
ゲーム誌『ファミコン通信』でのクロスレビューは、8・9・8・8の33点(満40点)でゴールド殿堂入りを獲得した[11]。小島によると販売本数はおよそ10万本で、これは当時SUPER CD-ROM2用ソフト売上で『天外魔境II 卍MARU』に次ぐ2位の記録だったという[24]。また、『PC Engine FAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は、以下の通り27.66点(満30点)だった[16][注 9]。
項目 | キャラクタ | 音楽 | お買得度 | 操作性 | 熱中度 | オリジナリティ | 総合 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
得点 | 4.72 | 4.75 | 4.41 | 4.45 | 4.81 | 4.53 | 27.66 |
米ゲーム誌『Electronic Gaming Monthly』の5人のレビュアーによるクロスレビューは、9・9・7・8・9の44点(満50点)だった。
ゲーム誌『ファミ通』でのクロスレビューは合計29点(満40点)[12]、『Play Station Magazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は、以下の通り23点(満30点)だった[22]。
項目 | キャラクタ | 音楽 | お買得度 | 操作性 | 熱中度 | オリジナリティ | 総合 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
得点 | 4.3 | 4.0 | 3.9 | 3.6 | 3.9 | 3.4 | 23.0 |
ゲーム誌『ファミ通』でのクロスレビューは合計28点(満40点)[13]、『SATURN FAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は、以下の通り22.4点(満30点)だった[23]。
項目 | キャラクタ | 音楽 | お買得度 | 操作性 | 熱中度 | オリジナリティ | 総合 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
得点 | 4.0 | 3.7 | 3.7 | 3.6 | 4.0 | 3.5 | 22.4 |
以下は全て『マイコンBASICマガジン』掲載の広告。
以下は全て『MSXマガジン』掲載の広告。
このゲームは元々「JUNKER」というタイトル名が考えられていたが、商標が取れなかったため[注 11]、やむなく「SNATCHER」のタイトル名になった[25]。しかし今度は海外でSFホラー映画の『SF/ボディ・スナッチャー』と混同される羽目になった。また、最初期の雑誌広告では「サイケデリック・アドベンチャー」と表記されていたが、これは当初、会社側が「サイバーパンク」という言葉が理解できず、使用が認められなかったためと言われている。
パソコン版の広告で使われた、ギリアンが振り向いて銃を向けているポスターはイラストレーターの開田裕治によるもの。
スナッチャーのCD-ROMバージョンを開発するにあたり、CD-ROMをフル活用できるプラットフォームとして、PCエンジンの他にPC-9821やFM-TOWNSでの発売も検討されたが、最終的にはハードウェアの普及台数の多さでPCエンジンがプラットフォームとして選ばれた。その後、PC-9821では同じ小島秀夫が手がけたアドベンチャーゲームの『ポリスノーツ』が発売されている。
PCエンジンの解説書では、納谷悟朗のクレジット表記が「納屋悟朗」に、井上喜久子が「井上貴久子」に、それぞれ誤植されている。これらはPlayStation版、セガサターン版の解説書でも修正されていない。
パソコン版、PCエンジン版では「ネオ・コウベ・シティのマークは『逆ぎっちょ』と呼ばれて親しまれている」という設定があったが、「ぎっちょ」の言葉が差別用語にあたることから、PlayStation版、セガサターン版では設定が削除されている。
メタルギアの声優候補には小山茉美の他にTARAKOが上がっていた。仮に起用されていたら、ギリアンとアニメ『ちびまる子ちゃん』の親子コンビが実現していた[5]。
海外版ではトライサイクルが「ターボサイクル」となっているが、ギリアンは序盤でターボサイクルを "Flying tricycle" (空飛ぶ三輪車)と比喩している。海外版はメッセージが英語になっているが、それはプレイヤー用に翻訳したもので、登場する人物は全て日本の公用語である日本語で話しているという裏設定がある[注 12]。特にギリアンは英会話はおろか、英語のヒアリングもできない。
射撃訓練システムのジャンカーズ・アイは、1980年代後半にゲームセンターで設営されていたセガの「ブルズ・アイ」が元ネタである。
内輪ネタ(あいるは小島の個人ネタ)として "Creeping Silence" の曲には「スピナー、スピナーへ〜」という歌詞が付けられていた。また、ランダム・ハジルは『ランダム鼻汁』と呼ばれていた。パソコン版の開発中は小島は「スデオ・シード[注 13]」の名前でプレイしていた[6]。
女性プレイヤーにはギリアンよりもランダムの方が人気があり、バレンタインデーに届けられたチョコレートもランダム宛ての方が多かったという[6]。なお、小島はジェミーの大ファンである[8]。
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