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シュタットベルケ(Stadtwerke)およびゲマインデベルケ(Gemeindewerke)とは、ドイツとオーストリアにおける、エネルギー事業を中心とした地域公共サービスを担う公企業のことである。ドイツ語の"Stadt- und Gemeindewerke"を直訳すると「市営・地方公営企業」となり、”Kommunalwerke”(自治体事業)という総称でまとめられることもある。都市・基礎自治体(「ゲマインデ」と呼ばれる)の公益事業を担う自治体の企業(すなわち、1つまたは複数の自治体が過半数を所有する公営企業または混合経済企業)で、特に基本サービスや住民に一般的に関心のあるサービスの分野で、技術サービスや公益事業を市民に代わって提供したり、自治体のインフラを提供したりしている[1]。
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ドイツ国内にシュタットベルケが2018年12月現在、1,474社[2]が存在し、社団法人自治体事業協会(VKU:Verband kommunaler Unternehmen)というシュタットベルケ連盟が設立されている。ドイツでは、1998年から電力の完全自由化、2000年から電力自由化や固定価格買取制度(FIT:Feed in Tariff)導入などの背景により再生可能エネルギーなどが事業の大きな軸となっている[3]。ドイツの民間4大大手エネルギー会社の売上合計を上回るシェアを握っている。[4]
日本においても自治体が関与する地域エネルギー事業者が存在するが、電力小売自由化から年次がそれほど経過していないことに加え、電力、ガス、交通は民間が主に担ってきたことなど、ドイツと日本では前提条件が異なる部分が多い。このため、「日本版シュタットベルケ」の実現に向けては、現行の制度、事業環境を踏まえて、目指す姿を検討する必要がある。[5]
日本でも第二次世界大戦以前は、シュタットベルケをモデルとした電気事業が地方都市で展開されていた。[6]
地域公共サービスとしては、公共交通、ガス、電気、上下水道、地域熱供給、廃棄物処理、公共インフラの維持管理、インターネットといったサービスが提供されている。
20世紀末までは、独自の経済事業やインフラ事業を維持するのはほぼ都市のみであったため、そうした自治体事業の総称として「自治体事業」という言葉が定着していた。これは都市という言葉の定義などとも関連する[7]。 しかし、公益事業市場の自由化以降、都市の地位を持たない基礎自治体(ゲマインデ)が同様の事業を設立することが増え、最近では「Stadt- und Gemeindewerke」(都市・自治体公益事業)という言葉がよく用いられる[8]。 ただしStadtwerkeが定着した言葉なので、補足する程度でそのままになっている。この組み合わせにおける「Gemeinde[werke]」は、したがって、すべての種類の自治体の総称としてではなく、非都市部の自治体の総称として成り立っている。総称としては、(実際には同義語の)”Kommunalwerke”という用語がより一般的に使用されている[1]。
特に都市部以外のゲマインデの場合、様々な別の呼称が見られる。例えば、市町村合併の場合、種類に応じて、”Verbandsgemeindewerke”(連合自治体)、”Kreiswerke”(郡)などが挙げられる。工場の代わりに、(技術)サービスまたは業務、ビジネス、サービスまたは供給業務という呼称もある。市場共同体では、”Marktwerke”という呼称も使われることがある。
これらの呼称はすべて、複数形の名詞のように、専ら複数形で使用される。
”Stadtwerke”という呼称は、法人税法ではこれらの活動を "公益事業 "と定義しているが、法律用語として定着しているわけではない。時折、民間企業に対しても「自治体公益事業」という呼称が用いられることがあるが、これは民間企業の適切な呼称として独占禁止上違法とされている[9]。
元々、民営であったこれらの事業が公営化されたのは、19世紀末の自治体社会主義の動きからである。
しかし、特に1980年代から1990年代にかけては、自治体の財政再建を目的とした民営化の一環として、自治体事業の一部または全部が民間企業や投資家グループに売却されたり、民間企業に業務が委譲されたりすることが多くなった。
ベルリンの壁崩壊後、新しい連邦国家のエネルギーインフラをどうするかという問題が議論された。1992年12月22日、連邦憲法裁判所における和解により、東ドイツの各自治体は、それぞれの自治体地域の電力・ガス資産に対する権利と、自治体独自の公益事業を設立する権利を持つに至ったのである。こうして、ドイツの大規模な相互接続された電力会社の支配下での寡占的な供給構造が阻止され、新しい連邦州における多元的なエネルギー産業が支持された[10]。
2000年以降、いわゆる自治体再編が相次ぎ[11]、一部は市民の請願や住民投票によって支持され、提供されるサービスの一部が自由市場との競争で行われるようになったり(特に電力とガスの配給)、新規契約時に入札が義務づけられたりしている。
ドイツとオーストリアでは、地方自治体の公益事業は、公法上の会社(”Eigenbetrieb”、”Regiebetrieb”、”Anstalt des öffentlichen Rechts”)としても、私法上の会社(GmbHまたはAG)としても組織できる[1]。 私法上の組織の場合、”Stadtwerke Köln”など、事業会社に対して出資する持ち株会社として構成されているものがある。
シュタッドベルケは地方自治体の法規制に従う[12]。シュタットベルケの使命は、”Daseinsvorsorge”とも呼ばれる公共目的の追求であり[13]、これには、生存や基礎文明の確保という意味で、住民に必要な財やサービスの基本的供給を確保する国家の機能が含まれる。したがって、公共部門は、生活必需品を手頃な価格で確保する責任を国民に対して負っている[9]。供給と廃棄、インフラと公共交通の保証は強制的な地方自治体の使命であり一般の関心の自治体サービスの需要な要素である。すなわち、公共部門は住民に対し生活必需品を手頃な価格で確保する義務を負う[13]。また、公共部門は公共交通の予測の責任を負う。
地方自治体の公共事業がネットワーク事業者である限り、規制当局の規制を受けることになる。特に、この当局はネットワーク運営のための収入上限を設定し、そこからネットワーク料金が決定される。
地方自治体の公共事業が提供する代表的なサービスには、以下のようなものがある。
自治体のインフラ施設の提供(建設、保守・メンテナンス-新しいドイツの施設管理、...)
自治体には、自治体内の公共交通(ÖPNV:den Öffentlichen Verkehr im Gemeindegebiet)を提供する責任と義務がある。すべての市民の交通の適切な利用を提供し、モビリティを確保しなければならない。
大規模な自治体では、公共交通(ÖPNV)の分野を別の交通会社に委託していることが多い。
輸送事業には、必要なインフラストラクチャーも含まれる(上記「インフラストラクチャー」の項参照)。
ドイツでは、自治体企業協会(VKU:den Verband kommunaler Unternehmen)や連邦公共サービス協会などを通じて全国的な利益を代表している。オーストリアでは、オーストリア公共経済・地域経済協会(Austrian Association of Public and Community Economy:Verband der Öffentlichen Wirtschaft und Gemeinwirtschaft Österreichs)が同様の役割を担っている。
欧州レベルでは、自治体公益事業者は、セクターを超えた欧州公的参加企業および一般経済利益企業センター(英語:European Centre of Enterprises with Public Participation and of Enterprises of General Economic Interest:CEEP)および欧州エネルギー供給企業グループ(GEODE:European Groupement Européen des entreprises et Organismes de Distribution d'Energie)に組織されている。
特に1990年代末のエネルギー市場の自由化以降、多くの自治体の電力会社が合弁事業やコンソーシアム(共同事業体)を組み、相乗効果を発揮することで、これまで優勢だったエネルギーグループへの対抗手段として、市場に参入してきた。最も重要な目的は以下の通りである:
地方自治体や地域住民、地場企業などが出資を行い、地産地消発電事業を担うことが多い[14]。
多くが電力小売りで黒字を維持しており、他の公共サービスへ補填している。[6]
電力の配電網の6割や地域の熱導管を自前で所有していることから、分散型電源を地産地消する取り組みが近年進んでいる。[15]
電力の1次エネルギーについては、天然ガス等から、廃棄物やバイオマスを用いたコージェネ発電への切替が進んでいる[16]
「みやまスマートエネルギー株式会社」は2015年(平成27年)2月18日に設立された[17]。シュタットベルケの仕組みを、日本版に発展させた、日本で最初のシュタットベルケである。メガソーラー(5MW)による発電事業や、一般家庭からの余剰電力の小売りによって得られた収益の一部を地域の公共サービスに還元している。[18][19] 持続可能な再生可能エネルギーの地産地消を推進し、地域の自治体や住民の皆さんと一体となって様々な地域課題の解決に取り組み、事業の収益を追求し、地域へ還元することで地域に愛され続ける会社を目指すことを理念としている。[17]
新地町では環境未来都市構想の実現に向けて、エネルギーの地産地消の実現を目指し、多様な地域分散・自立型エネルギー供給の事業化を検討してきた。事業化検討過程においては、平成 27年度環境省グリーンプラン・パートナーシップ事業の採択を受け事業化可能性調査を行い、また平成28年度スマートコミュニティ導入促進事業の採択を受け、マスタープランを策定し認定を受けたことで、平成 28 年度から 30 年度スマートコミュニティ導入促進事業のうち構築事業の実施に移行し、事業を運営する新会社「新地スマートエナジー株式会社」が設立された。電源構成は町所有の電源(太陽光 2 施設・コージェネ 5 基)から成る。事業とし、「地域エネルギーセンター事業」:JR 常磐線新地駅周辺地区において、相馬 LNG 基地からの天然ガスを活用して、地域エネルギーセンターから新地駅周辺施設へ熱電 供給および CO2 の供給を行う 「地域エネルギーマネジメント事業」:JR 常磐線新地駅周辺地区において、地域内 のエネルギー需給バランスの最適化を行う。
持続可能なまちづくりに向けた取組を推進。小田原市は「第 5 次小田原市総合計画 おだわら TRY プラン」(後期基本計画(平成 29 年度~平成 34 年度))7において計画の重点テーマの一つとして「豊かな自然や環境の保全・充実」を挙げ、再生可能エネルギーの地域自給に向けた取り組みを推進することとしており、再生可能エネルギー関連条例の制定や小田原市エネルギー計画の策定などを進めている。
ほうとくエネルギー株式会社はメガソーラー発電を主な事業として、平成 24 年 12 月に地元企業 24社の出資により設立された。平成 25 年度からは「小田原市太陽光発電屋根貸し事業」に取り組み、メガソーラー発電と併せて約 2MW の発電能力を有している。ほうとくエネルギー株式会社には、38 社の地域事業者、市民ファンドからの出資を受けた。
湘南電力株式会社は、もともと平塚市に拠点を置く PPS 事業者(特定規模電気事業者)であったが、地元企業(小田原ガス株式会社 25%、株式会社古川 25%、ほうとくエネルギー株式会社、株式会社ニッショー、小田原衛生グループ等)等が中心となって、株式の 8 割を取得し、小田原資本の地域新電力(需給調整・市場からの調達)として再始動した。
平成 26 年 3 月に環境モデル都市に選定された生駒市は、環境モデル都市アクションプランにおいて、新電力事業の設立検討を盛り込んだ。電源構成は、生駒市所有の電源(太陽光 6 施設・小水力 1 施設)、市民共同太陽光発電 所(4 基)、民間事業者による木質バイオマス発電(市内で発生する剪定 枝、木くずも使用)、大阪ガスからの調達から成っている。電力事業としては規模が小さく、大規模事業者との競争では価格優位性を保てないため、地域貢献に主眼をおいた事業展開を志向し、市民団体からの出資により、市民と地域エネルギー事業を結び付けている特徴がある。
エネルギーに関する取り組みとしては、「よなご 2020 プラン 米子市都市計画マスタープラン」(平成16 年 3 月)において「地球にやさしい行動の目標・省エネルギー型・新エネルギー利用のまちづくり」を掲げている。以下の項目から構成される。
電力構成は、陽光発電(太陽光)24 か所 バイオマス発電 1 か所、地熱発電 1 か所、小水力発電 1 か所から成る。
特徴として以下が挙げられる。
荒尾市では現在、太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギー発電施 設の立地が進んでいる。平成29年11月に荒尾市、三井物産株式会社及び株式会社グローバルエンジニアリングの民間企業2社との間で、「地域エネルギーの有効活用等を中心としたまちづくりに関する連携協定」が締結された。電力構成は、荒尾市内メガソーラー(ソフトバンク熊本荒尾ソーラーパーク)、JEPX からの調達による。事業内容は以下の通りである。
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