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混合経済(こんごうけいざい、mixed economy)とは、計画経済と市場経済の混合システムである。自由放任の政治経済の思想に対し、多くの国営企業が市場に参入したり、政府が経済政策などを通したりして、社会経済に多くの影響力を行使するものである。
現代ではほとんどの国が市場経済を掲げていても、政府の経済への関与は少なからぬものがあり、完全な自由放任の市場経済は事実上存在しない。その中でも政府が市場経済に直接多くの関与をするのが混合経済という。西欧では社会民主主義政党が政権の座につくことも多く、社民主義諸政権がこうした経済運営をとったほか、保守政党も類似した政策をとることが多かった[注釈 1]。
1929年から発生した1930年代の世界恐慌後、特に、第二次世界大戦後の資本主義国に広まった政策である。世界恐慌における記録的な民間投資後退が金融システムの疲弊や資産市場の衰退を通じて、著しい景気後退と深刻な社会不安を招いた反省があったからである。
政府が均衡財政にこだわらず歳出を行なうことで、乗数効果による国民所得維持を図り、民間投資の減少を引き止め、完全雇用の達成と経済成長を図ることが目的である。
さらに、所得再分配をはかり消費性向低下を抑制することや、社会福祉の充実により社会不安を背景とした過剰貯蓄を回避し個人消費の育成を図るなどの政策も前述の目的に沿っている。さらに、規制などによりあらかじめ産業の需給調整を図り、投資リスクの低下を図る。
時は第二次世界大戦に続く冷戦時代であり、労働者の権利と生活の向上、平等な社会の実現を標榜し、資本主義を搾取的だと主張する社会主義国と対峙する上で、国内に貧富の格差を生むことは望ましくなかった。貧富の格差の増大は社会不安を招き、ひいては社会主義勢力の台頭を招く恐れもあった(これは、現に、世界恐慌後のドイツで起こったことである)。
また、大規模な戦争を経過することで交戦国の多くが総動員体制へ移行していたことも混合経済化をうながした。総動員体制下においては戦争遂行を目的に、社会・産業体制が国家により再編された。
大規模な社会インフラ整備を必須とする重化学工業の発達とモータリゼーションは、公共投資増大を正当化した。インフラ整備は産業発達を通じ財政の発展をもたらすため、政府活動がビジネス化することになった。
小さな政府論者からみると、それより規制的な考えは、皆「大きな政府」、即ち混合経済になるが、実際には異なる。
1960年代、主要国において大きな政府の体制が敷かれたが、1970年代からのスタグフレーション下で肥大化した政府の非効率性が問題点にされた。
このころ、混合経済体制の目的が公共投資による経済成長から所得再分配そのものへ変質し、国政機関による国内の利害調整・買票の手段へと転化した。ここに至って、公共投資や規制は既存の産業構造保持を目的とするようになり、経済成長を阻害しかねない状況へおちいった。
また、積極財政で投下した資金が石油危機のために、石油代金として国外に流失して、米国内で乗数効果を発生せず、米国のスタグフレーション治療に効果がなく、財政赤字だけが拡大したことが批判を浴びた。
その後、新自由主義の台頭により、混合経済システムは「大きな政府」と批判されるようになった。批判を背景に、サプライサイド改革をすすめる国は「小さな政府」へ転向しているが、改革の根拠とされたサプライサイド経済学の妥当性については極めて批判的な意見が多く、ブードゥー経済学と嘲笑されるに至っている。
現在、「不況期における政府投資による雇用・有効需要創出」を再評価し、「投資採算・回収性によるプロジェクト厳選」、「創出需要が輸入で流出することの防止」などを反省し、「環境との調和」に留意した「修正ケインズ学説」に基づいてバラク・オバマ米政権の「グリーン・ニューディール政策」が打ち出されている。
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