『イン・ザ・プール』は、奥田英朗による日本の短編小説集およびその表題作、またそれを原作とした2005年の日本の映画作品。2019年に舞台化[1]。『精神科医 伊良部シリーズ』の第1作。第127回直木賞候補になった。伊良部総合病院の地下にある神経科を訪れる人々と、彼らを診る医師を描いた作品。
以下の5編が収録されている。
- イン・ザ・プール(初出『オール讀物』2000年8月号)
- 勃ちっ放し(初出『オール讀物』2001年8月号)
- コンパニオン(初出『オール讀物』2001年11月号)
- フレンズ(初出『別冊文藝春秋』237号(2002年1月号))
- いてもたっても(初出『オール讀物』2002年3月号)
2009年10月、フジテレビ「ノイタミナ」枠で『空中ブランコ』のタイトルでシリーズがアニメ化される。本作からは「勃ちっ放し」(第2話)、「フレンズ」(第6話)、「いてもたっても」(第8話)が、また「コンパニオン」が「天才子役」のサブタイトルに変更され第9話でアニメ化される。
- 伊良部 一郎(いらぶ いちろう)
- 精神科医。35歳。伊良部総合病院の息子。色白でデブでマザコン。「いらっしゃーい」と甲高い声で患者を迎える。愛車は黄緑色のポルシェ。注射フェチで、患者が来た時はとりあえず注射を打つ。神経は図太く、遠慮知らず。プールで好きなだけ泳ぎたいからと、窓ガラスを割って不法侵入を試みようとするなど、破天荒な性格。ボサボサの髪にはフケが浮き出ている。思ったことは何でも実行に移す主義。父親は日本医師会の理事。
- マユミ
- 伊良部の助手を務める茶髪の若い看護師。美人だが愛想はない。ミニスカート等、セクシーなナース服に身を包み、露出狂かと思われるくらい肌(特に胸と太もも)を露出する。一人でいることを好み、友達もいないらしい。
- 大森 和雄(おおもり かずお)
- 「イン・ザ・プール」主人公。38歳。既婚。出版社勤務、主婦向けの月刊誌の編集部在籍。運動をするように伊良部に言われ、プールに通い始める。完璧なフォームとより長距離泳ぐことを求め、仕事中も泳ぐことばかり考えてしまい、やがて泳がずにいられなくなるプール依存症に。
- 田口 哲也(たぐち てつや)
- 「勃ちっ放し」主人公。35歳。サラリーマン。淫夢を見て勃起していたところ、棚から落ちてきた広辞苑が直撃し、鎮まらなくなる。伊良部総合病院の泌尿器科を訪れ、陰茎強直症と診断される。神経科に回される。
- 安川 広美(やすかわ ひろみ)
- 「コンパニオン」主人公。女優を目指すイベントコンパニオンだが、事務所の斡旋で結婚相談所のサクラもしている。毎日誰かに尾行されている気がして、眠れぬ日々が続き、友人の助言で神経科を訪れる。友人は自意識過剰だと言う。
- 津田 雄太(つだ ゆうた)
- 「フレンズ」主人公。高校2年生。どんな些細なことでも携帯電話でメールしてしまい、その回数は1日に200回以上におよぶ。片時も携帯を手放せなくなり、10分程度触っていなかっただけで、左手に震えの症状が出始め、親に勧められ神経科を受診。
- 岩村 義雄(いわむら よしお)
- 「いてもたっても」主人公。33歳。独身。ルポライター。タバコの火の始末の確認行為が習慣化し、止められなくなる。自ら強迫神経症と診断を下し、伊良部の元を訪れる。
2005年5月21日公開。原作のうち、「イン・ザ・プール」「勃ちっ放し」「いてもたっても」を映画化。オムニバスでなく、3つの物語が微妙にリンクしながら並行して描かれる。
2019年に渡辺徹と内博貴の二人芝居により舞台化[1]。
2010年11月26日発売、ダイスクリエイティブ。キャストはつきねこ座のメンバー。
声は、左がつきねこ座でのキャラクター名、右の括弧内が声優名。
CDという媒体のみならず、オトバンクの『FeBe』で配信されている。「勃ちっ放し」「いてもたっても」はCDには収録されておらず、『FeBe』でのみ視聴購入可能である。
- 伊良部
- 声 - J太(CV:坂巻学)
- マユミ
- 声 - しのぶ(CV:森谷里美)
- 語り
- 声 - サトシ(CV:市来光弘)
イン・ザ・プール
- 和雄
- 声 - うみぶた劇団員(CV:寺井智之)
コンパニオン
- 広美
- 声 - ゆうき(CV:喜多村英梨)
- 厚子
- 声 - バーバラ(CV:桑門そら)
フレンズ
- 雄太
- 声 - ガイネ(CV:越田直樹)
- コージー
- 声 - ジュリア(CV:山本綾)
勃ちっ放し
- 哲也
- 声 - うみぶた座長(CV:高橋英則)
- 佐代子
- 声 - さつき(CV:阿久津加菜)
- ミドリ
- 声 - のぞみ(CV:五十嵐裕美)