架空のキャラクター ウィキペディアから
ハルク(英: The Hulk)、または超人ハルク(ちょうじんハルク、英: The Incredible Hulk)は、マーベル・コミック刊行のアメリカン・コミック(アメコミ)に登場する架空のスーパーヒーロー。ハルクのキャラクターは、スタン・リーとジャック・カービーにより生み出され、1962年5月のマーベル・コミック『The Incredible Hulk vol. 1, #1』で初登場した[1]。
Bruce Banner Hulk | |
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ハルクの像 | |
出版の情報 | |
出版者 | マーベル・コミック |
初登場 | 『インクレディブル・ハルク』#1(1962年5月) |
クリエイター | スタン・リー ジャック・カービー |
作中の情報 | |
本名 | ロバート・ブルース・バナー |
所属チーム | アベンジャーズ ディフェンダーズ ホースマン・オブ・アポカリプス ファンタスティック・フォー パンテオン ウォーバウンド S.M.A.S.H. シークレットアベンジャーズ |
パートナー | シー・ハルク |
著名な別名 | ジョー・フィクジット ワールド・ブレイカー デビル・ハルク ドック・グリーン ギルト・ハルク ウォー・ハルク グリーン・ゴライアス インクレディブル・ハルク ボブ・バナー デビッド・バナー デビッド・ビクスビー ボブ・ダナー ブルース・ジョーンズ ブルース・ロバーツ ブルース・ブレイン ジェイド・ジョーズ オール・グリーンスキン |
能力 | ブルース・バナー/ドック・グリーンとして:
ハルク/ジョー・フィクジットとして:
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漫画のキャラクターとしては初めて蝋人形館マダム・タッソー館への展示を果たし、プロレスラーハルク・ホーガンのリングネームの由来になるなど[2]、彼はマーベル・コミックのもっとも知られたスーパーヒーローの一人となっている。
“Hulk” は英語で「廃船の残骸」や「非常に大きな物、人」を意味する。
天才的な物理学者であるロバート・ブルース・バナーは、新型爆弾ガンマ・ボムの実験中に実験場に迷い込んできた少年を助け、大量のガンマ線を浴びてしまう。
致死量のガンマ線を浴びたはずが生還したバナー。しかし、バナーの体にある変化が起きていた。怒りや憎しみなど、負の感情の高ぶりによって、緑色の肌と人間離れした怪力を持つ巨人「ハルク」に変身する体質となってしまっていたのだ。何もしなければおとなしいバナーは、少しでも危害を加えられると怒りに身を任せてハルクとして暴れまわり、圧倒的なパワーでありとあらゆる物を破壊してしまう。
その圧倒的な破壊力を危険視した軍上層部は、ハルク/バナーを亡き者とする事を決定する。
国家権力から命を狙われることになったバナーは、元の体に戻る方法を模索するため、なにより生きるために逃亡生活を送ることになる。
ロキの陰謀を止めようとハルクに変身し、暴走していたところを他のヒーローたちに諌められたのがアベンジャーズ結成のきっかけとなった。そのためアベンジャーズの創立メンバーとしても知られ、2012年の映画版にもヒーローの一人として参加しているが、原作ではチーム結成の次の号で自らの能力とそれからくる他メンバーの不信感からチームを脱退している。
1962年に『The Incredible Hulk #1』で初登場を果たす。当初は肌が灰色だったが、「印刷写りが悪い」との理由から次号から緑に変更[3]。しかし、人気が芳しく無く1963年発行の6号で休刊。翌年のアベンジャーズ結成・脱退後、散発的に発刊しながら人気が徐々に回復。1967年に復刊を果たす。1977年放映のドラマ版は、第5シリーズまで続くヒット作となった。[4]現在に至るまで、グリーン、グレー、ブルー、イエロー(アースTRN843)、レッド、ポルカドット(水玉、アース93342)などのカラーリングが登場している。
ブルース・バナーやシーハルクやアマデウス・チョウ(英語版)、ベティー・ロス(レッドシーハルク、ハーピー、エージェントS-3)やサディアス・ロス(レッドハルク)やロバート・マーヴェリック(レッドハルク)以外にも「ハルク」になったキャラクターはモブキャラクターを含めて非常に多数存在し、スパイダーマンやマイティ・ソーやデッドプール(ハルクプール)やキャプテン・アメリカ(バッキー・バーンズがなった歴史)やウルヴァリンなど他のヒーローが一時的にハルク化したり、別世界線ではアイアンマンがアイアンハルクになったり(シーハルクの別名の一つとは別)、サンドマン化したハルク(アース71612)などの事例もある。アース13159の世界線のエリザベス・ロス(アース616のベティー・ロスに該当)、アース70105の世界線のピーター・パーカー(アース616にも存在するスパイダー・ハルクやアース19919のスパイダーマンやリザードの能力を持つブルースとは別)、アース71612のジャネット・ヴァン・ダイン、グリーン・ハム(スパイダーハムがマルチバースを彷徨う際に目撃、アース7840のインクレディブル・ホグとは別)、複数の類人猿(ブルース・バナナー/Huhr、アース8101やアースTRN257)やウサギ(ハルク・バニー、ハルク・ヘアー)たちがハルク化した世界なども存在する。
アース616でも、マイティ・ソーを崇拝していたバイキングの Bodolf は、ガンマ線を浴びていないがハルクと似た原理でバーサーカー化していたとされる。トロールの部族のリーダーである Greenskyn Smashtroll はアース616に由来する世界の住人だが人間出身ではないハルクの一人である。アース928のジョン・アイゼンハートの様に、ブルース・バナーではない別人がハルクになった世界線もある。
シェンムー(英語版)やマエストロ(英語版)、インファーナル・ハルク(アース11638、ブルースがドクター・ストレンジの立場に就任し魔術でハルクを強制分離させ、そのハルクが地獄でヴィランになった姿)、ポイズンハルク、サイボーグやロボットのハルクたちなど、ハルク化したりハルクの影響を受けているヴィランも少なくない。
マーベルヒーローでも屈指の筋力(限界がほとんどないとされたり次元や物理法則を突破することもある[1])を持つ。暴走してしまった場合、ヒーロー1人ではほとんどの場合止めることは不可能で、1チーム単位でかからなければ多くの場合太刀打ちできない。その後バナーは、ハルクへの変身後の暴走を克服し、理性によってそのパワーをある程度制御できるようになっている。筋力や持久力、肺活量など全ての物理的な身体能力が想像を絶するほど強大なものであるが、媒体によってパワーの限度が異なる。怒れば怒るほどそのパワーは強力になる。強大な筋力は敏捷性も与え、至近距離から発射されたミサイルや銃弾や迫撃砲などを掴んだり避けたり、クイックシルバーやシルバーサーファーとの戦闘を可能にしている。一度のジャンプで約1000マイル/1610キロメートルを跳び(コミックスではほとんど飛行をしている様な描写が見られ、飛行能力を持たないことを補っている)、泳ぐ速度は80ノット/時速150キロメートルに達している[5]。
純粋な身体能力だけでなく、多少の怪我をものともしない耐久力と回復力を持ち[1]、「サンダークラップ」と呼ばれる両手によって衝撃波を発生させる攻撃も有名である他、口から強く息を吐いて攻撃したり、ガンマ線を衝撃波の様に直接放射したり(コミックスだけでなく、VS.シリーズ等のゲーム作品では頻繁に見られる)、コミックス[6]や2008年の映画作品の様に敵や対象物に対して意図的にガンマ線エネルギーを供給して敵や機械を爆破している。しかし、コントロールを失ってガンマ線の濃度が膨張すると、人体や鋼鉄が溶けたりなど町一つが壊滅しかける被害が発生した[7]。ギャラクシー・マスター(Galaxy Master)との闘いでは、敵が発射したガンマ線エネルギーの光線攻撃を両腕で跳ね返し、今度は自ら発射している。
ガンマ線エネルギーを吸収することも可能であり、敵からエネルギーを奪ったりする他、複数の核爆弾の爆発のエネルギーを吸収してフィン・ファン・フーム(英語版)を凌駕するほど巨大化したこともある[11]。自らに向けられたガンマ線を反射することも可能である[12]。
その他、不死身であったり、老化の速度が遅くなっており、地球上のありとあらゆる病気やウイルスへの免疫も獲得している[13][14]。 肉体が破壊されても、自身から分離された部分や臓器を意のままに操った場面もある[15]。
他にも、テレパシーを含む精神干渉や精神攻撃に耐性を示す場面は何度も見られ、自身や対象の位置を察知・把握したり、水中や宇宙空間で呼吸や戦闘をしたり、幽霊(アストラル体)を見るなどの特殊能力も確認されている。ハルク自身が黒魔術の力を得ているとされる描写もある[16][17]。
なお、ハルクや類似キャラクターの質量がどこから来ているのか、については「インモータル・ハルク」シリーズ(英語版)にて、ブルース自身がガンマ線を生み出し質量に還元しているだけでなく、現実世界の最下層でもあり地獄の基盤でもある世界から来ている(20話)、別世界から来ている(33話)、宇宙線を利用している(45話)、という可能性が示唆されている。
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1979年に光文社から全3巻が発売。監修・訳は小野耕世が担当。初版と第2版が存在する。
ストーリー:小野耕世、小池一雄、作画:西郷虹星、森藤よしひろ、掲載誌:週刊ぼくらマガジン、連載期間:1970年48号 - 1971年23号[18]
池上遼一が別冊(月刊)少年マガジンで連載したスパイダーマンに続いて、講談社がマーベルの正式な許諾を受けて連載した翻案作品。作画は西郷虹星でスタートし、第二部は森藤よしひろに交代した。ストーリーは小野耕世でスタートしたが、原典に近い序盤のエピソードを終えたところで、平井和正が原作を担当した池上版スパイダーマンと同じように、西郷がヤングコミックで連載した『ノスパイフ戦線』の原作者だった小池一雄(小池一夫)に交代し、以降はオリジナル展開で独自色が増した。「二面性を持つ怪物的ヒーロー」というコンセプトは、後の小池オリジナル作品『実験人形ダミー・オスカー』にも影響を与えたが、何度も再版されている池上版スパイダーマンとは異なり、一度も単行本化されていない。
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)では、『インクレディブル・ハルク』のみエドワード・ノートン、『アベンジャーズ』以降はマーク・ラファロが演じる。ハルクの声はルー・フェリグノが担当している。日本語吹替の声優も演じた俳優によって異なっており、ノートンが演じた『インクレディブル・ハルク』では水嶋ヒロがブルース、乃村健次がハルクをそれぞれ担当していたが、ラファロに交代後の『アベンジャーズ』以降はブルースとハルクの両方を宮内敦士が担当している。
本シリーズでブルースがハルクに変身する体質となった理由は、第2次世界大戦期に“スーパーソルジャー計画”で用いられた“超人血清”の再現実験に失敗したためとなっている。
本項は、“アース616”(正史の宇宙)におけるブルース/ハルクを主軸として表記する。
ブルースとハルクは別人格であり、普段はブルースの姿と人格だが、怒りなどの負の感情で心拍数が1分間に200回を超えるとハルクへと変身する。ブルース/ハルクの血液にはガンマ線などの放射性物質が多量に含まれており、他の生物に極めて有害である。
『インクレディブル・ハルク』ではアメリカ陸軍に追われる身として、以降の作品では他のヒーローたちと共闘する役割で登場する。
2023年時点のブルースは、5年前にハルクとしてもブルースとしてもサノスに敵わなかった経験から、18ヶ月もの間“ガンマ・ラボ”[21]で自身の頭脳とハルクの筋力を融合させ、その結果、両者の中間のような肉体とブルースの基本人格を保った状態である通称“スマート・ハルク”となった。ブルースは、ハルクのパワーも完全に自分の意志で駆使できるようになれたのが嬉しいためか、街の子どもたちから求められた写真撮影に快く応じたり、食そうとしたタコスを吹き飛ばされたスコット・ラング/アントマンに自分のタコスを分け与えるなど、アベンジャーズの僚友たち以外の人々に対する外向性が高くなっており、顔付きと性格も明朗さを感じ取れるものに変わっている。一方で、2012年時のハルクの戦いぶりに触発されて自身も暴れたくなったり、ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウの最期を知って皆が悲しみに沈んだ時にはベンチをもぎりとって遠投するなど、ハルクの人格の影響も受けていることを示唆する描写もある。
その後姪のジェニファー・ウォルターズとのドライブでハルクを制御できなくなったため人間の姿を維持するための装置を左腕に装着したと語っている。ジェニファーと共に事故に巻き込まれ装置は故障するがジェニファーがシー・ハルクに変身した原因を調査する過程で発見した彼女のガンマ線を合成できる性質を用いることでスナップで負傷した右腕は完治、再びブルースとハルクの融合を果たす。
スマート・ハルクとなってからは、基本人格がブルースであるため、その姿のままで驚異的なパワーと天才的頭脳の双方を発揮できるようになった。
このほかにも、ブルースが北極で自決を図ろうとした際にS&W M10を取り出しており[26]、ウルトロン軍団との決戦の直前にはナターシャを救うため“ヒドラ H3L-A エネルギーライフル”[27]を、自身がスナップの実行役に立候補した際には“ナノ・ガントレット”を使用する。また、専用のビークルは保有していないが、“ニューヨーク決戦”の際にはタイガーデイトナを運転して戦地に駆けつけ、サカールでは“コモドール”を操縦している。
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