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ロシア連邦(開始当時はソビエト連邦)内の送信所から送信されている短波放送の名称。 ウィキペディアから
UVB-76(ロシア語: УВБ-76)とは、周波数4625kHzまたは6998kHzで、ロシア連邦(開始当時はソビエト連邦)内の送信所から送信されているとみられる短波放送の名称である[1]。
ソ連時代の1973年から放送が始まり現在も放送が続けられている。
ほぼ1日中ブザーのような音を鳴らし続ける放送内容が確認されているが、放送の目的は明らかになっていない。短波受信家などからは「ザ・ブザー(英語: The Buzzer)」と愛称されている[1][2]。
この送信所は、ほぼ1日中[注釈 1]、1分間に約21回から34回のペースで、短い単調なブザー音を繰り返し流し続けている[1][4]。
電波型式はSSBであり[1]、ブザー音の合間にロシア語による音声メッセージが放送されることもがある[1][4][5]が、この放送の目的は公には明らかにされていない。
時折聞こえる音声(後述)冒頭の呼び出しから「UVB-76」の名で呼ばれているが、これが正式なコールサインかどうかは不明である。(UVB-76はUZB-76の誤記である可能性が高く実際に局自体によって使用されたことは無い)2010年9月の音声が放送されて以降は「MDZhB(ロシア語: МДЖБ)」、2015年12月以降は「ZhUOZ(ロシア語: ЖУОЗ)、2019年3月以降は「ANVF(ロシア語: АНВФ)、 2020年12月以降は「NZhTI(ロシア語: НЖТИ)が用いられている。いずれもロシア語の人名を用いた、頭文字のフォネティックコードであると思われる。
ブザー音は遅くとも1990年から放送されている[6]。1982年の確認では2秒おきに短い電子音を繰り返し放送しており、1990年初頭ごろにブザー音へと切り替わった[6][7]。2003年1月16日から音程が高く[要出典]、0.08秒長いブザー音に変更されていた時期があったが、2010年11月に元に戻されている[1]。2010年6月までは、正時1分前になると、ブザー音が途切れのない連続音に切り替えられており、この連続音は、ブザー音が再開されるまでの1分間続けられていた[6]。しかし、それ以降は途切れのない連続音は放送されなくなり、一定の周期(2秒おき)に変更されている[6]。
2010年6月5日、切れ目なく放送を続けていたブザー音が突如停止したが、翌日には放送が再開された[8][9]。同年8月中旬ころから放送は断続的に停止されるようになり、8月25日には誰かが放送ブース内にいるかのような足音や物音、ガイガーカウンターのような音が聞こえるようになった[8][10]。9月第一週には音楽が流れてブザー音の放送が中断されるようになり、9月7日には新しいコールサインが放送された[8][11][12]。
2022年1月4日、ブザー音が消えザ・ピップ (The Pip)に非常に似た音に一時的に変更されていたが、2022年1月27日に元のブザー音に戻された。
2022年ごろから、4612kHz(4625Khzとは同期していなく信号も非常に弱い)でもブザー音が発せられていることが確認されている。2023年6月からブザー音が消え、ビープ音になっていたが、現在は消失している。
2024年4月22日(日本時間4月22日15時43分)、FM変調での放送に切り替え、数日後にUSB変調に戻された。
ときおり、かすかな雑音や会話音がブザー音の背後に聞こえることがある(後述)[8][13]。これは録音放送や再生装置による自動送信によって放送されているのではなく、ブザーを発生させている装置からマイクで音を拾う形で生放送されているためであると考えられている。
時々ブザー音が中断され、ロシア語による音声メッセージが放送されることがある。1973年から放送が始まって間もない1970年代から確認はされていたものの極めて稀で[14]、2000年代に入っても数える程であった。ところが2010年代に入ると急増し、ほぼ毎月のように放送されるようになり、一日のうちに複数の音声メッセージが発せられる事もある[15]。特に2016年10月17日には、およそ24時間の間に少なくとも18回もの異なる音声メッセージが放送された[12][16]。
≪Ya - UVB-76. 18008. BROMAL: Boris, Roman, Olga, Mikhail, Anna, Larisa. 742, 799, 14.≫
≪UVB-76, UVB-76. 93 882 NAIMINA 74 14 35 74. 9 3 8 8 2 Nikolai, Anna, Ivan, Mikhail, Ivan, Nikolai, Anna. 7 4 1 4 3 5 7 4≫
≪T-E-R-R-A-K-O-T-A. Mikhail, Dmitri, Zhenya, Boris. Mikhail, Dmitri, Zhenya, Boris. 81 26 T-E-R-R-A-K-O-T-A.≫
≪Я – 143. Не получаю генератор... ...идёт такая работа от аппаратной.≫ ≪訳:私は143。発電機(発振器)を受け取ってないわ。(中断)あれはハードウェア室から来たものよ。≫
UVB-76はWebの発達もあって、西側諸国の一般市民であるアマチュア無線家などの間で有名になり、電波ジャックなどが始まる。特に著名なものとして、2022年1月にテレグラムユーザー「AlexBOY_05」ら3人による電波ジャックがある。彼のTelegramに送られてきた楽曲が再生され、スペクトログラムにロシア語や英語で「BYE everyone」と表示させ、Trollguysやガイ・フォークス・マスクを模した顔の映像を表示させるなどいくつかのメッセージが複数回送信された。以降も日本のアニメソングなど有名な楽曲が不定期で送信されていることが確認されている[20][21]。
西側諸国のリスナー達は2021年の末頃から、UVB-76で音声放送が従来よりも頻発したことを観測し、当時のロシア政府はウクライナ領土に野心が見られて西側諸国と関係が悪化していたことから、「大規模な軍事行動の予兆か」と推測された。2022年2月24日にロシアは宇露の実効支配線を突破し、2022年ロシアのウクライナ侵攻が始まった。
送信所は、2010年6月5日まではロシア連邦のゼレノグラードとソーネチノゴルスクの中間、モスクワの北西40kmに位置するポヴァロヴォ近郊、ヴォイェニ・ゴロドックに所在した[1][4]。位置とコールサインは、1997年の最初の音声放送まで明らかになっていなかった[22]。送信はMolniya-2M ( PKM-15)、Molniya-3 (PKM-20) 送信機と、Viaz-M2バックアップ用送信機を使用し、アンテナは高さ約20mのソ連製水平ダイポールアンテナ「VGDSh」が使われた[3]。
放送が中断した後の2010年9月に送信所が移転し、現在はモスクワ州ナロ=フォミンスクに所在する第69通信基地から送信されている[1]。従来のモスクワ軍管区に加えて西部軍管区がカバー範囲となり、移転以降はメッセージ送信が頻繁化したと推測される[15]。
ポヴァロヴォ近郊にあった旧放送局跡地の対面は現在メルセデス・ベンツの自動車工場が建っている。
Google マップストリートビューで放送局の建屋が確認できる。
UVB-76の放送の目的は諸説ある。
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