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太陽観測衛星 ウィキペディアから
SOHO(Solar and Heliospheric Observatory、太陽・太陽圏観測機)とは、欧州宇宙機関 (ESA) と、アメリカ航空宇宙局 (NASA) によって開発された、太陽観測機(observatory)である(探査機(probe)と呼ばれていることは少ない)。1995年12月2日に打上げられた。なお、NASAが太陽に関して「探査(機)」(probe)という表現を使っている宇宙機ないしミッションの例としては、Parker Solar Probe(パーカー・ソーラー・プローブ)がある。
SOHOによる観測計画は当初2年間であったが、その後20年以上にわたり太陽観測を続けており、2015年現在も継続されている。科学ミッションに加え、太陽風など宇宙天気予報を行うための、太陽データの主要な(ほぼ)リアルタイム情報源として活動している。ACE衛星 (ACE; Advanced Composition Explorer) と共にSOHOは地球から150万km(0.01天文単位)離れた、太陽-地球系のラグランジュ点L1近傍に位置している。
質量610kgのSOHOはラグランジュ点L1の周りのハロー軌道に位置している。この軌道はL1を焦点とする楕円軌道であり、太陽と地球を結ぶ線と垂直なL1を通る面上にある。この軌道を6ヶ月周期で周回している。また、L1軌道自体は地球と共に、太陽の周りを12ヶ月周期で周回している。このような軌道に位置するSOHOは、常に地球とは良好な通信環境を保っている。なお、L1上に位置してしまうと、太陽と地球を結ぶ線上であるため、太陽からの放射による通信障害を受けてしまう。
通常SOHOは、画像データやその他の観測データを、NASAのディープスペースネットワークの地上局に200 kbpsで送信している。SOHOの太陽活動に関するデータにより太陽フレアの発生予報が行われている。この予報は、太陽フレアの高エネルギー荷電粒子によって通信衛星網や人工衛星が受ける損傷を未然に防ぐために用いられている。
2003年に主アンテナの方向を制御するステッピングモーターの1つが故障した。故障当初は、3ヶ月のうち2,3週間は通信が途絶してしまうと懸念された。しかしながら、ESAとNASAの技術者は、SOHOの二次アンテナと大型の地上局アンテナを組み合わせ、さらにSOHOの記録装置 (SSR; SOHO's Solid State Recorder) を上手く活用することで、データーの損失を防ぐことに成功した。故障の影響は3ヶ月ごとに発生する通信速度低下にとどまっている。
2013年6月に、2016年12月までのミッション拡張が承認された[2]。
SOHOの主な目的は以下の通りである。
SOHOのペイロードモジュールには12個の観測機器が搭載されている。それぞれの機器は独立した太陽に関する測定を行う。以下に観測機器の一覧を示す。
上記の装置のうち、いくつかによる観測結果は画像として得られており、そのほとんどについて、公共目的や研究目的にインターネットを通じて閲覧可能である(以下に示すSOHOの公式サイトを参照)。これらの画像は可視光線 (Hα) から超紫外線にかけて幅広い波長範囲にわたるものである。SOHOのウェブページで見られる可視光線の範囲外で撮影された写真には、波長に応じて便宜上の色がつけられている。
他の宇宙望遠鏡や地上の天文台と異なり、SOHOでは個別の提案に対する観測時間の割り当ては行っていない。
サングレーザーと呼ばれる太陽をかすめる彗星は、太陽光によって遮られるため地上からでは観測することは出来ない。SOHOはこのような彗星を2,000個以上発見し、それらはSOHO彗星と名づけられている。
2010年12月26日にSOHOが発見した彗星の数が2,000個に達した[3]。このうち85%がクロイツ群に含まれる彗星だという。2015年9月13日にはSOHOが発見した彗星の数は3,000個に達した[4]。
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