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メジャーリーグベースボールの第43回ナショナルリーグ優勝決定シリーズ ウィキペディアから
2012年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは10月5日に開幕した。ナショナルリーグの第43回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 43rd National League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、14日から22日にかけて計7試合が開催された。その結果、サンフランシスコ・ジャイアンツ(西地区)がセントルイス・カージナルス(中地区)を4勝3敗で下し、2年ぶり22回目のリーグ優勝および19回目のワールドシリーズ進出を果たした。
2012年のナショナルリーグ チャンピオンシップシリーズ | |||||||
第3戦試合前の式典が行われているブッシュ・スタジアムの様子 | |||||||
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シリーズ情報 | |||||||
試合日程 | 10月14日–22日 | ||||||
観客動員 | 7試合合計:31万1326人 1試合平均: 4万4475人 | ||||||
MVP | マルコ・スクータロ(SF) | ||||||
責任審判 | ゲイリー・ダーリング[1] | ||||||
NLDS | SF 3–2 CIN STL 3–2 WAS | ||||||
チーム情報 | |||||||
サンフランシスコ・ジャイアンツ(SF) | |||||||
シリーズ出場 | 2年ぶり | 6回目||||||
GM | ブライアン・セイビアン | ||||||
監督 | ブルース・ボウチー | ||||||
シーズン成績 | 94勝68敗・勝率.580 西地区優勝 | ||||||
分配金 | 選手1人あたり37万7002.64ドル[2] | ||||||
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セントルイス・カージナルス(STL) | |||||||
シリーズ出場 | 2年連続11回目 | ||||||
GM | ジョン・モゼリアク | ||||||
監督 | マイク・マシーニー | ||||||
シーズン成績 | 88勝74敗・勝率.543 中地区2位=第2ワイルドカード | ||||||
分配金 | 選手1人あたり12万2558.29ドル[2] | ||||||
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ワールドシリーズ |
両球団がポストシーズンで対戦するのは、2002年のリーグ優勝決定戦以来10年ぶり3度目。今シリーズでは、カージナルスがリーグ連覇を目指し第4戦で先に王手をかけたが、ジャイアンツが第5戦からの3連勝で逆転優勝した。ポストシーズンの7戦4勝制シリーズにおいて1勝3敗から逆転優勝したのは、2007年アメリカンリーグ優勝決定戦におけるボストン・レッドソックス以来5年ぶり延べ12球団目である[3]。3勝1敗からの逆転敗退は、他29球団が未経験または1度しか食らっていないなか、カージナルスにとってはこれが1996年ナショナルリーグ優勝決定戦以来16年ぶり4度目のことだった[4]。シリーズMVPには、第5戦を除く6試合で複数安打を放つなど、7試合で打率.500・4打点・OPS 1.140という成績を残したジャイアンツのマルコ・スクータロが選出された。このあとジャイアンツは、ワールドシリーズでもアメリカンリーグ王者デトロイト・タイガースを4勝0敗で下し、2年ぶり7度目の優勝を成し遂げた。
10月11日にまずジャイアンツ(西地区優勝)が、そして12日にはカージナルス(中地区2位=第2ワイルドカード)が、それぞれ地区シリーズ突破を決めてリーグ優勝決定戦へ駒を進めた。
ジャイアンツは、2011年は86勝76敗の地区2位でポストシーズンに4.0ゲーム差届かなかった。オフには打線強化のためにトレードでアンヘル・パガンやメルキー・カブレラを獲得し、2010年ワールドシリーズ制覇時の主力だった選手をその交換相手にしたり、FA後の再契約を見送ったりして戦力の入れ替えを進めた[5]。2012年は序盤こそ勝利数が伸びず、5月27日には地区首位ロサンゼルス・ドジャースに7.5ゲーム差をつけられたものの、1か月後の6月27日にはそのドジャースとの直接対決3連戦に全て零封で勝利し首位に並ぶ[6]。前半戦終了時点では46勝40敗の地区2位で、ドジャースとの差は0.5ゲームのみ。この首位争いは後半戦開始後もしばらくもつれ、ジャイアンツは7月下旬に内野手マルコ・スクータロや外野手ハンター・ペンスをトレードで補強した。8月に入ると、首位打者候補だったカブレラが禁止薬物使用で50試合の出場停止処分を受け、ドジャースが大型トレードで戦力を増強するなど、苦しい局面が続く[7]。それでも8月20日以降は首位の座を譲らず、9月22日に2年ぶりの地区優勝を果たした[8]。平均得点4.43はリーグ6位、防御率3.68はリーグ5位。カブレラの出場停止以外にも、抑え投手ブライアン・ウィルソンが開幕早々に右肘の怪我でシーズンを終えたり、エース右腕ティム・リンスカムが不振に喘いだりと様々な困難に見舞われたが、チーム全体でその穴を補った[9]。地区シリーズではシンシナティ・レッズを3勝2敗で下した[10]。
カージナルスでは前年ワールドシリーズ優勝後に監督のトニー・ラルーサが勇退し、中心打者アルバート・プホルスもFAで他球団へ移籍した。チームは新監督にマイク・マシーニーを据え、打線には右翼手のカルロス・ベルトランを補強、ランス・バークマンを右翼から一塁へコンバートした[11]。また、二大エースの一角アダム・ウェインライトが前年全休から復帰する一方で、入れ替わるようにクリス・カーペンターが故障により無期限離脱となった[12]。シーズン開幕後は5月下旬まで地区首位に立ち、その後はレッズやピッツバーグ・パイレーツに抜かれて3位に落ちるが、前半戦終了時点では46勝40敗で、首位パイレーツとのゲーム差は2.5にとどめる。後半戦に入るとパイレーツの失速に乗じて2位へ浮上したが、首位レッズとのゲーム差が10前後まで広がったため、西地区のドジャースらと第2ワイルドカードをかけて競った。争いはシーズン終盤までもつれ、10月2日に第2ワイルドカードの座を確保した[13]。平均得点4.72はリーグ2位、防御率3.71は同6位。打線では捕手のヤディアー・モリーナをはじめ5人が20本塁打を放ち[14]、そのなかでもアレン・クレイグはバークマンが膝の怪我で長期離脱した穴を埋めた[11]。投手陣もカイル・ローシュやウェインライトら4人が13勝以上を挙げるなど厚い陣容を有していた[14]。ワイルドカードゲームではアトランタ・ブレーブスに6-3で勝利し[15]、地区シリーズではワシントン・ナショナルズを3勝2敗で下した[16]。
リーグ優勝決定戦の第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、地区優勝球団どうしが対戦する場合はレギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に、地区優勝球団とワイルドカード球団が対戦する場合は地区優勝球団に与えられる。したがって今シリーズでは、ジャイアンツがアドバンテージを得る。この年のレギュラーシーズンでは両球団は6試合対戦し、3勝3敗の五分だった[17]。
両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。
サンフランシスコ・ジャイアンツ | セントルイス・カージナルス | ||||||||||||
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守備位置 | 背番号 | 出身 | 選手 | 投 | 打 | 年齢 | 守備位置 | 背番号 | 出身 | 選手 | 投 | 打 | 年齢 |
投手 | 41 | ジェレミー・アフェルト | 左 | 左 | 33 | 投手 | 41 | ミッチェル・ボッグス | 右 | 右 | 28 | ||
40 | マディソン・バンガーナー | 左 | 右 | 23 | 29 | クリス・カーペンター | 右 | 右 | 37 | ||||
18 | マット・ケイン★ | 右 | 右 | 28 | 58 | ジョー・ケリー | 右 | 右 | 24 | ||||
46 | サンティアゴ・カシーヤ | 右 | 右 | 32 | 26 | カイル・ローシュ | 右 | 右 | 34 | ||||
70 | ジョージ・コントス | 右 | 右 | 27 | 31 | ランス・リン★ | 右 | 両 | 25 | ||||
55 | ティム・リンスカム | 右 | 左 | 28 | 40 | シェルビー・ミラー | 右 | 右 | 22 | ||||
49 | ハビアー・ロペス | 左 | 左 | 35 | 30 | ジェイソン・モット | 右 | 右 | 30 | ||||
50 | ホセ・ミハレス# | 左 | 左 | 27 | 44 | エドワード・ムヒカ# | 右 | 右 | 28 | ||||
59 | ギレルモ・モタ | 右 | 右 | 39 | 64 | トレバー・ローゼンタール | 右 | 右 | 22 | ||||
54 | セルジオ・ロモ | 右 | 右 | 29 | 34 | マーク・ゼプチンスキー | 左 | 左 | 27 | ||||
32 | ライアン・ボーグルソン | 右 | 右 | 35 | 59 | フェルナンド・サラス | 右 | 右 | 27 | ||||
75 | バリー・ジト | 左 | 左 | 34 | 50 | アダム・ウェインライト | 右 | 右 | 31 | ||||
捕手 | 28 | バスター・ポージー★ | 右 | 右 | 25 | 捕手 | 48 | トニー・クルーズ | 右 | 右 | 26 | ||
29 | ヘクター・サンチェス | 右 | 両 | 22 | 4 | ヤディアー・モリーナ★ | 右 | 右 | 30 | ||||
内野手 | 13 | ホアキン・アリアス | 右 | 右 | 28 | 内野手 | 13 | マット・カーペンター | 右 | 左 | 26 | ||
9 | ブランドン・ベルト | 左 | 左 | 24 | 33 | ダニエル・デスカルソ | 右 | 左 | 25 | ||||
35 | ブランドン・クロフォード | 右 | 左 | 25 | 23 | デビッド・フリース★ | 右 | 右 | 29 | ||||
17 | オーブリー・ハフ | 右 | 左 | 35 | 38 | ピート・コズマ | 右 | 右 | 24 | ||||
48 | パブロ・サンドバル★ | 右 | 両 | 26 | 55 | スキップ・シューマッカー | 右 | 左 | 32 | ||||
19 | マルコ・スクータロ# | 右 | 右 | 36 | 外野手 | 3 | カルロス・ベルトラン★ | 右 | 両 | 35 | |||
5 | ライアン・テリオ | 右 | 右 | 32 | 56 | アドロン・チェンバース | 左 | 左 | 26 | ||||
外野手 | 7 | グレゴール・ブランコ | 左 | 左 | 28 | 21 | アレン・クレイグ | 右 | 右 | 28 | |||
12 | ゼイビア・ネイディ# | 右 | 右 | 33 | 7 | マット・ホリデイ★ | 右 | 右 | 32 | ||||
16 | アンヘル・パガン | 右 | 両 | 31 | 19 | ジョン・ジェイ | 左 | 左 | 27 | ||||
8 | ハンター・ペンス# | 右 | 右 | 29 | 43 | シェーン・ロビンソン | 右 | 右 | 27 |
ジャイアンツの外野手メルキー・カブレラは、8月15日付で禁止薬物使用による50試合の出場停止処分を受けた。この処分では、ポストシーズンの試合も消化試合数に加算される。ジャイアンツが8月14日までにレギュラーシーズン117試合を終えていたため、カブレラの処分は残る45試合と地区シリーズ5試合をもって満了した。したがってジャイアンツは、今シリーズ初戦からカブレラを出場させることもできたが、彼をロースターに加えず復帰させないことにした[18]。初戦開始前の記者会見では、同じ外野手のグレゴール・ブランコに対して記者のひとりが「メルキー、ジャイアンツは……」と名前を間違えて質問するという場面がみられた[19]。ブランコはカブレラと仲が良く、処分後に個人的に話をした際にはカブレラから、フィールドで最善を尽くすようにと励ましを受けたという[20]。ただ、カブレラは球団に対して違反行為についての釈明を行わずに雲隠れしており、また球団もカブレラがいなくなったあとに生まれたチームの雰囲気を壊さないように配慮したため、カブレラの復帰を見送った[18]。
2012年のナショナルリーグ優勝決定戦は10月14日に開幕し、途中に移動日を挟んで9日間で7試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 | |
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10月14日(日) | 第1戦 | セントルイス・カージナルス | 6-4 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | AT&Tパーク | |
10月15日(月) | 第2戦 | セントルイス・カージナルス | 1-7 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | ||
10月16日(火) | ||||||
10月17日(水) | 第3戦 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 1-3 | セントルイス・カージナルス | ブッシュ・スタジアム | |
10月18日(木) | 第4戦 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 3-8 | セントルイス・カージナルス | ||
10月19日(金) | 第5戦 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 5-0 | セントルイス・カージナルス | ||
10月20日(土) | ||||||
10月21日(日) | 第6戦 | セントルイス・カージナルス | 1-6 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | AT&Tパーク | |
10月22日(月) | 第7戦 | セントルイス・カージナルス | 0-9 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | ||
優勝:サンフランシスコ・ジャイアンツ(4勝3敗 / 2年ぶり22度目) |
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