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『黒い雪』(くろいゆき)は、1965年の日本映画。作中のシーンが「わいせつ物頒布等の罪」に問われ、監督および配給担当スタッフが刑事裁判(黒い雪事件)の被告人となったことで議論を呼び、社会問題となった。
前年に谷崎潤一郎原作の『白日夢』『紅閨夢』を相次いでヒットさせた監督・武智鉄二が自らオリジナル・シナリオを執筆した、性描写と反戦メッセージを込めた作品。
崎山次郎の母弥須は、横田基地で売春宿を経営している。弥須の妹由美が、駐留軍のボスの情婦なので、商売は秘密裡に運んでいた。次郎は娼婦たちと関係をもっているが、彼女らが平然と黒人兵と同衾しているのを見て、言いようのない挫折感に襲われた。彼は、ハイヤーの運転手堀田の娘静江の清純さに魅かれたが、自称共産党員黒瀬に、静江を譲った。
だまされて犯された静江は、基地を裸のまま逃れたが、ジェット機の衝撃波によって地上に打ち倒された、-まるで弱小民族の運命を象徴するかのように。次郎は黒人兵を殺し、由美がボスから二万ドル受けとることを知ると、由美のキャバレーを襲い、金を奪い、由美と関係すると、途中次郎は、由美を射殺した。次郎の心の中で、民族的な怒りと、人間的憐みが走ったのだ。
娼婦の同情の中で、次郎は静江にかわる人間像を娼婦の皆子に求めようとするが、その矢先駐留軍に捕えられた。駐留軍は二万ドルの公金紛失と、殺人事件の罪で次郎をせめた。自白を拒否する次郎のもとに、堀田と静江が面会に来た。次郎は、静江の純粋な愛情を知って罪の一切を告白した。
ところが、自白が駐留軍ボスの横領罪に触れると、事件はうやむやにほうむられ、次郎は殺人罪で起訴された。日本の警察に引渡される日、弥須は「本当に悪い奴は他にいるんだよ、基地なんかなければいいんだ」と絶叫した。かつて占領軍に協力的だった母に、こう叫ばせたのは何か、黒い雪は降り積って止むを知らない。
公開直後の6月16日、警視庁が上映フィルムを一斉押収し[1]、のちに監督の武智および、日活の配給部長がわいせつ図画公然陳列罪で起訴された。武智らは一審および二審で無罪の判決となり、裁判は終結した。
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