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法服(ほうふく)とは、裁判官、検察官、弁護士、裁判所書記官、廷吏など、職務上法廷に立ち合う法曹関係者及び裁判所職員が法廷で着用する制服。 法服の色は黒と定められている[要出典]。黒はどんな色にも染まることがないことから、裁判官の公正さを象徴している。
明治政府が近代法制の整備を進める中、初期の法廷では判事・検事の服装もまちまちで、「甚だ見苦し」とも評された[1]。そこで、ヨーロッパ諸国で古くから使われてきたガウン型の法服(Court dress)に倣い、日本でも法廷で着用する制服を導入することが初代司法大臣山田顕義より提案された。これを受けて、1890年(明治23年)2月10日に制定された裁判所構成法[2]では、公開の法廷に於いて判事、検事及び裁判所書記は制服を(同法第3編司法事務ノ取扱第1章開廷第114条第1項[2])、弁護士は職服を(同条第2項)着用する旨が規定された。そして、明治23年10月22日勅令第260号(判事検事裁判所書記及執達吏制服ノ件)[3]により判事、検事並びに裁判所書記が法廷で着用する制服及び執達吏の制服が制定され、続いて1893年(明治26年)、弁護士資格制度の施行に伴い明治26年4月5日司法省令第4号[4]を以って弁護士の職服も制定された[5][6]。
このうち執達吏の制服は、上着が紺又は黒の毛織製で(明治23年10月22日勅令第260号執達吏制服表[7])、立襟シングルブレストのフロック型(同第9図[8])。袴も紺又は黒の毛織製(同執達吏制服表)で長ズボン(同第10図[8])。帽子は黒ラシャ製で(同執達吏制服表)、帽章は五条の旭日章 であった(同第12図[8])。
判事、検事並びに裁判所書記の制服及び弁護士の職服は、山田顕義が東京帝国大学教授・黒川真頼へ依頼して考案された[9]。前年に開校した東京美術学校の和文・歴史教員も兼務し、古代美術や
司法官らの制服及び職服は上衣と帽から成っていた。帽は黒地雲紋で、古代の官人が被っていた冠に似た形状であった[16]。上衣は黒地の闕腋袍で、襟と胸に唐草模様と桐の刺繍が施され、刺繍の色で官職、桐の個数で裁判所の等級を区別した[13][17] [18]。
服制を定めた当時、弁護士であった砂川雄峻は、「判事が職服を着て始めて訟廷に臨んだときは、言ひ合はした
戦後、裁判所構成法が廃止され、裁判所法が制定されたとき、特に法服の規定はなかった。そのため、従来の法服を着用する者、法服を着用しない者とが混在した。
最高裁は1949年(昭和24年)に「裁判官の制服に関する規則」(最高裁判所規則)で裁判官について新しく「制服」(法服)を定めた[22]。なお、裁判所書記官も裁判官に似た法服を着用している。
裁判官の法服着用を定める実質的な理由については、「法廷が非常に手続きが厳粛にかつ秩序正しく行われなければならない場所であるということからいたしまして、一方ではその公正さと人を裁く者の職責の厳しさをあらわすとともに、他方では法服を着用することによりまして裁判官みずからそのような立場にあることを自覚させるもの」と説明されている[23]。
イギリス及び一部の旧イギリス植民地だった国では、黒の法服とともに中世風の白いカツラを着用している。
アメリカ合衆国でも法服が使用されている。
中華民国成立後の1913年、推事(裁判官)、検察官、律師(弁護士)、書記官、承発吏(執行官)、庭丁(廷吏)に法服が導入された。法冠には青天白日章があしらわれており、法服の袖と襟の刺繍で官職の区別をした。
満洲国では、1913年制定の中華民国の法服をそのまま採用していたが、中華民国から分離した以上、独自の法服の制定が必要との論議が高まった。
法冠は当初、敦煌莫高窟に描かれた「獬豸冠」(獬豸は正義や公正を象徴する祥獣)を元にしようという意見があったが、不評であった。そこで発想を転換し、日本の鎌倉時代の青砥藤綱に倣い、折烏帽子型の法冠となった。
満洲国の法服には黒のビロードが付いていたのが大きな特徴であった。
中華人民共和国では、これまで軍人や警察官のような制服を着用していたが、2001年5月に諸外国にあわせて黒の法服を着用するようになった。
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