DIC川村記念美術館
千葉県佐倉市にある私立美術館 ウィキペディアから
千葉県佐倉市にある私立美術館 ウィキペディアから
DIC川村記念美術館(DICかわむらきねんびじゅつかん、英表記:Kawamura Memorial DIC Museum of Art)は、千葉県佐倉市にある私立美術館。川村喜十郎ら川村家3代の収集品を収蔵展示、運営はDIC株式会社(印刷インキ・顔料・ポリマー材などの製造・販売)。 DICと関連会社が収集した美術品を公開するために、DICの総合研究所敷地内に設立、1990年5月2日開館[2]。かつての名称は川村記念美術館、2011年4月1日から現在の名称となる[3]。
DIC川村記念美術館 Kawamura Memorial DIC Museum of Art | |
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施設情報 | |
専門分野 | 現代美術、西洋絵画 |
事業主体 | DIC株式会社 |
開館 | 1990年(平成2年) 5月2日[1] |
所在地 |
〒285-0078 千葉県佐倉市坂戸631 |
位置 | 北緯35度39分18秒 東経140度13分24秒 |
プロジェクト:GLAM |
千葉県佐倉市郊外にある、広大な庭園のなかに建つ美術館。近現代美術のコレクションとしては、日本でも有数の規模をもつ。 DIC(創業時は「川村インキ製造所」、美術館開館時は「大日本インキ化学工業株式会社」)の創業者・川村喜十郎をはじめとする川村家3代の収集品を公開するため、1990年(平成2年)に開館した。
広さ30万平方メートルのDIC株式会社総合研究所の敷地内に建つ、ヨーロッパの古城かワインセラーを思わせる展示館は、海老原一郎の設計である。
所蔵作品群は、パブロ・ピカソやクロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワールなどの知名度が高い大家に加え、マーク・ロスコなどの抽象表現主義、フランク・ステラらのミニマリズムなど、第二次世界大戦後の現代美術の中心地となったアメリカ合衆国の良質な作品からなり、「美術手帖」総編集長の岩渕貞哉は、「日本が誇る、至宝ともいえる美術館」と評価する。館内は、巨大な現代美術の作品群がゆったり鑑賞できるよう、体育館を思わせる広大な展示室が設けられている。20世紀抽象絵画の巨匠、マーク・ロスコが、ニューヨーク・シーグラム・ビルディング内にあるフォーシーズンズ・レストランのために描いた7点の作品のみを展示した「ロスコ・ルーム」は白眉であり、岩渕は「ロスコが最良と考えた自然光に近い環境にたたずんでいると、最初は見えなかった色彩が浮かび上がってくる。他の画家の作品と並べて展示されていては得られない感覚。これが常設展示で必ず見られるのは本当に貴重で、海外からもファンが見に来るほどだ」と評価している。
一方、DICに資本効率改善の一環として美術館運営の見直しを要求した香港のヘッジファンドオアシス・マネジメント最高投資責任者のセス・フィッシャーは、その立地条件から「見学している人よりも警備員の方が多い日が目立つ」としている[4]。
2024年8月、DICは2025年1月下旬を目処に長期休館を検討していることが報じられた[5][6]。社外取締役などで構成している「価値共創委員会」からの助言を受けたことによるもので、DICは2024年12月までに東京都内への移転並びに規模の縮小または美術館の運営自体の休止を含めて検討するとしていた[5][7]。
しかし、休館予定発表後、土日祝日の来館者数が発表前の5倍に急増したため[8]、休館開始予定を2ヵ月延期し、2025年3月下旬までは開館を続けることが2024年9月30日に[9]発表された[10]。また地元佐倉市では、美術館の地元存続を求める署名が、10月1日までに4万7千件以上集められ[11]、近々DICに提出される予定である[12]。
公式ウェブサイトの「主なコレクション」より抜粋[13]。
当館が所蔵していたバーネット・ニューマン『アンナの光』(1968年)は、2013年に日本国外の企業へ譲渡されたことが館から公式発表されている[14]。
館蔵品には尾形光琳、長谷川等伯など、日本の近世絵画にも優れたものがあったが、収集方針の変更にともない、当館は日本画の展示を2017年12月3日で終了し、収蔵する日本画は他へ譲渡することを公式サイトで発表した。重要文化財の長谷川等伯筆『烏鷺図』は実業家の前澤友作に譲渡された [15]。
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