北神急行電鉄
かつて存在した阪急阪神ホールディングス傘下の鉄道事業者 ウィキペディアから
かつて存在した阪急阪神ホールディングス傘下の鉄道事業者 ウィキペディアから
北神急行電鉄株式会社(ほくしんきゅうこうでんてつ)は、かつて兵庫県神戸市で北神線を運営していた鉄道会社である。略称および通称は北神急行、北神、北急(ほくきゅう)であった[注釈 1]。神戸電鉄SHビル内に本店を置き、本社事務所は谷上駅西側の車両基地敷地内にあった。
本店所在地の谷上駅 | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
略称 | 北神急行、北神、北急(ほくきゅう) |
本社所在地 |
日本 〒651-1243 兵庫県神戸市北区山田町下谷上字大橋27番地 北緯34度45分35.9秒 東経135度9分47.7秒 |
本店所在地 |
〒651-1245 兵庫県神戸市北区谷上東町1番1号(谷上駅) 北緯34度45分41.8秒 東経135度10分14.7秒 |
設立 | 1979年(昭和54年)10月29日 |
廃止 |
2020年(令和2年)8月31日 (株主総会での決議による) |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 7140001015407 |
事業内容 |
旅客鉄道事業(第2種鉄道事業者) 賃貸事業 |
代表者 | 代表取締役社長(代表清算人) 三田和司 |
資本金 | 32億円(2020年3月31日現在)[1] |
発行済株式総数 | 640万株 |
売上高 | 21億0900万円(2020年3月期) |
営業利益 | 4億9500万円(2020年3月期)[1] |
経常利益 | 4億2100万円(2020年3月期)[1] |
純利益 | 4億1800万円(2020年3月期)[1] |
純資産 |
△314億5800万円 (2020年3月31日現在)[1] |
総資産 |
93億4300万円 (2020年3月31日現在)[1] |
従業員数 |
59人 (2018年3月31日現在[2]) |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 |
|
外部リンク |
www |
特記事項:2020年5月31日時点でのデータ、2020年8月31日をもって解散し清算会社となった。 |
阪急電鉄や神戸電鉄などの出資で設立された純民間出資会社であり、第三セクターではない。阪急阪神ホールディングスの連結子会社であり、神戸電鉄の持分法適用会社であったため、阪急阪神東宝グループと神戸電鉄グループに所属していた。
神戸電鉄開発部や神戸市による北神地区の大規模住宅地開発によって、神戸電鉄有馬線の輸送力は昭和50年代にすでに飽和状態にあった[4]。これを打開すべく、同線と同じように北神地区と都心を結ぶ北神線の建設が計画されたが[4]、建設費が多額であることや、神戸電鉄単独建設では同電鉄在来路線の輸送力増強投資計画に支障をきたすことから、北神線は別会社を設立して運営することに決定[5]。1979年(昭和54年)10月29日、神戸電鉄のほか阪急電鉄と神戸財界の出資によって設立された[5]。
その後、神戸電鉄をはじめとする官民デベロッパーによる沿線開発がさらに加速度的に進行し、昭和60年代には神戸電鉄の輸送能力が限界に達することが試算されたため[6]、建設工事が急ピッチで進められ、1988年(昭和63年)4月2日に北神線(谷上 - 新神戸間)が開業した[5]。初代社長は神戸電鉄中田大三社長が兼務し、当初の主な社員は神戸電鉄などからの出向者・OBであった[7]。本店は神戸電鉄が運営するSHビル内に置かれた。
当初の計画では建設費の710億円は約25年間で返済予定で[8]、開業8年後には単年度黒字を目指していた[8]。この時点で親会社の神戸電鉄に吸収合併され[8]、神戸電鉄は大手私鉄へ参入する予定であり[9]、この計画は覚書も締結されていた[9]。
債務負担の増加から、2002年に北神線の線路などの施設を神戸高速鉄道へ売却し、列車の運行業務のみを行う第二種鉄道事業者となっていた。ただし2020年5月末までは谷上駅など一部施設を保有していた[10]。
2018年12月27日には、神戸市北区における郊外開発や地域振興、人口増加を図ることを目的に、北神急行電鉄の事業を神戸市交通局が譲り受けて北神線を市営化(公有化)し、相互直通運転を行っている神戸市営地下鉄西神・山手線の一部にすることで運賃を値下げしたいという神戸市の意向が明らかにされ、神戸市の提案に阪急が応じ協議を始めることになった[報道 1]。そして2019年3月29日には、遅くとも2020年10月1日までに「神戸市交通局が阪急電鉄グループが保有する北神急行線にかかる資産等の譲渡を受ける」こと、および「北神急行線と市営地下鉄の一体的運行」を実施することにつき、基本合意が成立したと神戸市から発表された[広報 1]。これを受けてマスコミ各社は「市営化」と報道した[報道 2]。
神戸新聞によると、神戸市交通局は駅や車両、トンネルなど北神急行に関係する資産(簿価約400億円)を198億円で譲り受けるとされているため[報道 3][注釈 2]、阪急阪神ホールディングスは2019年3月期連結決算において約190億円の減損損失を計上することとした[広報 2]。
2019年10月10日には、北神急行電鉄の従業員を神戸電鉄へ出向させ、神戸電鉄が受託する北神線の運行業務に充当する見込みであることが報道された[報道 4]。
2020年3月4日、北神急行電鉄から神戸市への北神線の第二種鉄道事業の譲渡が、神戸高速鉄道から神戸市への同線の第三種鉄道事業の譲渡とともに国土交通大臣に認可され[広報 3][広報 4][11]、同年6月1日に神戸市営地下鉄北神線となった[報道 5]。なお、北神急行電鉄の運行に携わる社員は神戸電鉄鉄道事業本部北神営業部に移籍し、神戸電鉄が北神線の運行を受託した[広報 5]。その他、筆頭株主の阪急電鉄へ異動した社員もいる[広報 6]。
2020年8月31日の株主総会で解散を特別決議した。その後は社長である三田和司が代表清算人となり清算業務を行うために転籍しなかった社員と共に清算業務にあたり[12]、2021年3月3日付で清算結了により法人格が消滅した。
かつては430円だったが、兵庫県および神戸市から交付される補助金により1999年4月1日に350円に値下げされた[15][報道 1]。2014年4月1日に消費税の税率引き上げに伴い360円、2019年10月1日の消費税の税率引き上げに伴い370円にそれぞれ値上げされた。
北神線ではPiTaPaや西日本旅客鉄道(JR西日本)のICOCAなどの全国相互利用対応カード(前記のほか、Kitaca・Suica・PASMO・manaca・TOICA・nimoca・はやかけん・SUGOCA)が利用できた[広報 10]。さらに2017年4月15日より北神急行電鉄にてICカード「ICOCA」および「ICOCA定期券」(神戸市交通局などとの連絡定期を含む)の発売も開始した[広報 8][広報 11]。
なお、土休日や学休期(夏休みと年末年始)の平日に「エコファミリー」と申告することで、大人1人につき小児2人までの北神急行及び神戸市営地下鉄・バス(神戸交通振興バス含む)の小児運賃が無料になるサービスを実施していた[16]。
2002年度以降の経営状態は次のとおりである。運賃引き下げなどにより乗客数は少しずつ増加傾向にあった。
年度 | 純利益 | 累積欠損金 | 出典 |
---|---|---|---|
2018年度 | ▲73億5100万円 | 350億9800万円 | [1] |
2017年度 | 1億3500万円 | 279億1300万円 | [17] |
2016年度 | 1億7800万円 | 280億4800万円 | [18] |
2015年度 | 1億2800万円 | 282億2600万円 | [19] |
2014年度 | 1億5400万円 | 283億5400万円 | [20] |
2013年度 | 2億8900万円 | 285億900万円 | [21] |
2012年度 | 3億8400万円 | 287億9900万円 | [22] |
2011年度 | 3億300万円 | 291億8400万円 | [23] |
2010年度 | 2億6600万円 | 294億8800万円 | [24] |
2009年度 | 1億7500万円 | 297億5400万円 | [25] |
2008年度 | 8800万円 | 299億2900万円 | [26] |
2007年度 | 1億6300万円 | 300億1700万円 | [27] |
2006年度 | 1億8900万円 | 301億8100万円 | [28] |
2005年度 | 2億4900万円 | 303億7100万円 | [29] |
2004年度 | 1億4600万円 | 306億2100万円 | [30] |
2003年度 | 1億6400万円 | 307億6700万円 | [31] |
2002年度 | 1億7100万円 | 309億3200万円 | [32] |
2014年に行われた「北神急行コンテスト」において以下の3キャラクターがマスコットとして選出されている[広報 12]。
2016年秋より以下のキャラクターが追加されている。
2020年6月の北神線市営化に伴い、北神弓子の著作権が神戸市交通局へ移譲となり、同年9月に残り3キャラクターの著作権も神戸市交通局に移譲している[36]。
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