クラッシャブルゾーン:Crushable zone, Crush space)またはクランプルゾーンCrumple zone)は、衝突時に潰れることでそのエネルギーを吸収し、荷物機械などを保護する働きを持つ空間や部分のことである[1]

概要

クラッシャブルゾーンは、その仕組み上あえて潰れやすく造ってある。車両などで万が一の事故時に、衝突箇所がクラッシャブルゾーンであれば、その部材が変形することで衝突時のエネルギーを効果的に吸収し、かつ、他の構造材へと伝えて分散する。

「ミスター・セーフティ」の異名を持つメルセデス・ベンツの天才エンジニア、ベラ・バレニーがベンツ入社前の1937年に思いついたもので、1952年にコンセプトが具体化され、メルセデス・ベンツが特許を取得した[2]ドイツ特許第854157号)。

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メルセデス・ベンツ・W120

1953年発売のメルセデス・ベンツ・W120Ponton」に一部が取り入れられ、1959年のメルセデス・ベンツ・W111 フィンテールのセダン型において完成を見た。当初は自動車においてのみ採用されたが、後に鉄道車両にも取り入れられた。

単純に潰れやすくしてあるわけではなく、潰れる過程におけるエネルギー消費や、力の方向と分散の割合を綿密に計算して設計されている。自動車などで軽度の衝突による変形をボディー修正(フレーム修正)や板金修理で修復した場合、外見上は元通りに見えても部分的に強度が変わって設計通りに潰れない可能性がある[注 1]。このため、例えばフロントインナーフェンダーのように、部品メーカーで組み立てられて一体構造となったものは、ASSY単位での交換となることもある。また、軽自動車コンパクトカーなどを中心に、エンジンのシリンダーブロック[注 2]トランスミッション[3]などのパワートレイン自体にクッション材の機能を持たせることで、衝撃吸収力をさらに高めている車種も登場している。そのため、衝突時にこれらの機器が大きく損傷し、経済的全損に至るケースが増加している。

衝突時のエネルギーが増すにつれてクラッシャブルゾーンの変形度合いも大きくなる。当然のことではあるが、クラッシャブルゾーンで吸収できるエネルギーを超えた場合は、エネルギーを分散する要素が他にない限り、生存空間(セーフティゾーン、サバイバルゾーン)などの非クラッシャブルゾーンにまで変形が及ぶ。

具体例

自動車

鉄道車両

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JR東日本E217系電車
先頭部(右側の青のラインで図示した範囲)が乗務員室サバイバルゾーン、乗務員室扉部(中央の赤のラインで図示した範囲)がクラッシャブルゾーン、客室部(左側の青のラインで図示した範囲)が客室サバイバルゾーンとなっている。

機械・道具類

脚注

関連項目

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