数学の集合論関連分野における集合族(しゅうごうぞく、英:family of sets)は集合の「あつまり」である。ここで「集合の集合」といわず「集合のあつまり」としているのは、文脈によっては集合族が同じ集合をいくつも重複して持つ場合(しばしば添字付けられた族 (indexed family of sets) として扱われる)があったり[1][2][3]、別の文脈では集合でない真の類 (proper class) となる場合があるなどの理由による。
部分集合族 A が有限交叉について閉じているとき π-系(英語版)であるといい、π-系が空集合を含むとき乗法族、さらに可算交叉について閉じているとき δ-系(ドイツ語版)(δ-乗法族)であるという。任意濃度の交叉で閉じているものは閉包族(ドイツ語版)と呼ぶ[注釈 1]。また、乗法族が包含関係を持つ任意の二つの集合に対し、一方から有限回の非交和を行って他方へ達する列を持つとき集合半環という。
A が(有限)和と(有限)交叉について閉じているとき、集合束(ドイツ語版)あるいは環という。A が空集合でなく(あるいは空集合を元として含み)、和と差について閉じている(あるいは同じことだが対称差と交叉について閉じている)場合に限って集合環と呼ぶ場合もある。さらに可算交叉について閉じていれば δ-集合環、可算和について閉じていれば σ-集合環という。また、これらが全体集合を含むならば代数あるいは体という。δ-集合体は σ-集合体である。
A が空集合を含み、有限合併および補について閉じているとき加法族、特に有限加法族であるという。さらに可算合併について閉じているならば σ-加法族あるいは完全加法族という。集合族 A が加法族であることは集合体であることと等価であり、同様に完全加法族は σ-集合体の別名である。任意濃度の合併について閉じているならば開核族(ドイツ語版)と呼ぶ[注釈 2]。